AIエージェントとは?中小企業が業務に取り入れる方法

AIエージェントとは?中小企業が業務に取り入れる方法

AIエージェントとは、目標を渡すと、自分で手順を考え、道具を使って仕事を進めるAIのことです。質問に答えて終わるチャットのAIと違い、メールの下書きを作る、画面を開いて入力する、結果を報告するといった一連の作業を、人の代わりに進めます。

中小企業でも、専任のIT担当がいなくても、契約しているAIのツールで業務のAIエージェントを作って動かせます。私たちリードファクトリーは、営業・SEO・バックオフィス・採用の4つの業務で、自社のAIエージェントを動かしています。

一方で、「AIエージェント」と調べると、大手企業のサービス紹介や技術の解説が多く、自社の仕事にどう置き換えればよいかが見えにくいと思います。ChatGPTとの違いや、いくらかかるのか、何が危ないのかも、はっきりしません。

この記事では、AIエージェントの基本から、中小企業の業務での使い方、始め方と費用、気をつけたいことまでを、自社で動かしている経験を交えて紹介します。

この記事では、次のことが分かります。

  • AIエージェントとは何か、生成AI・ChatGPTとの違い
  • AIエージェントの仕組みと4つのタイプ
  • 中小企業の業務での活用例6つ
  • 入れるメリット4つと、気をつけたいリスク3つ
  • 中小企業が始める5つのステップと、費用の目安

社長や経営者、導入を任された責任者の方に向けて、技術の話より「いくらかかるか、どう始めるか、どこが危ないか」を先に書きました。

1. AIエージェントとは?生成AI・ChatGPTとの違い

1-1. 目標を渡すと、自分で進める3つの特徴

AIエージェントとは、目標を渡すと、自分で手順を考え、道具を使って仕事を進めるAIです。特徴は、次の3つにまとめられます。

  1. 目標を渡せば動く:「今週の問い合わせを整理して」のように、結果を伝えるだけで始められる。細かい手順を人が指示しなくてよい
  2. 手順を自分で考える:目標に向けて、何から順に進めるかをAIが組み立てる。途中で結果を見て、手順を変えることもある
  3. 道具を使って実行する:検索、メールやカレンダー、表計算、ブラウザの画面など、つないだ道具を自分で使い、作業を最後まで進める

「自律的に動く」と説明されることが多いのは、この3つがそろっているためです。人が1回ごとに指示しなくても、決めた範囲の中で作業が進みます。

1-2. 生成AI・チャットボット・RPAとの違い

違いは、AIが「答えを返すだけ」か「作業を進めるところまで」行うかです。

  • 生成AI(チャットの形):質問に文章や画像で答える。答えを使って作業するのは人
  • チャットボット:決めた質問に、決めた答えを返す。想定外の質問には答えにくい
  • RPA:人が決めた手順を、そのとおりに繰り返す。手順を変えることや、状況を見て判断することはできない
  • AIエージェント:目標に向けて手順を考え、道具を使って作業を進める。状況に合わせて手順を変えられる

生成AIは、AIエージェントの頭脳にあたる部分として使われます。生成AIだけでは文章を返すだけですが、そこに「道具を使う力」と「手順を組み立てる力」を足したものがAIエージェントです。

1-3. ChatGPTはAIエージェントか

ふつうにChatGPTで質問して答えをもらう使い方は、AIエージェントではありません。答えを読んで作業するのは人だからです。

ただし、ChatGPTやClaude、Geminiには、道具を使って作業を進める機能も入っています。調べものを任せて報告書にまとめさせる、決まった手順を覚えさせて繰り返し動かす、といった使い方なら、AIエージェントとして使っていることになります。同じツールでも、どう使うかで変わります。

2. AIエージェントの仕組み|4つの動き

AIエージェントは、「目標を受け取る → 計画を立てる → 道具を使う → 結果を振り返る」の4つの動きを繰り返して、仕事を進めます。

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目標を受け取り、計画、道具の使用、振り返りの4つの動きを繰り返す

2-1. 目標を受け取る

人が「何を、どこまで」を伝えます。たとえば「来週の商談の相手について、会社の概要と最近のニュースをまとめて」です。目標は、結果の形(誰が読む、何字、いつまで)まで書くと、やり直しが減ります。

2-2. 計画を立てる

目標を、小さい作業に分けます。上の例なら、会社の公式サイトを見る、最近のニュースを探す、要点を3行にまとめる、の順です。AIが自分で組み立てるので、人が手順書を書かなくても始められます。

2-3. 道具を使う

計画に沿って、検索、ファイルの読み書き、メールやチャット、表計算、ブラウザの画面などを使います。どの道具を使ってよいかは、人が先に決めて、つなぎます。使える道具が、そのままAIエージェントにできることの範囲になります。

2-4. 結果を振り返る

作業の結果を見て、目標に届いたかを確かめます。足りなければ、手順を変えてやり直します。最後に、人へ結果を報告します。私たちの場合は、報告をSlackのメッセージで受け取り、人が確かめたうえで次を決めています。

3. AIエージェントの種類|4つのタイプ

AIエージェントは、任せる仕事の進め方で、大きく4つのタイプに分けられます。自社でどのタイプから始めるかを考える目安にしてください。

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任せる仕事の進め方で分けた、AIエージェントの4つのタイプ

3-1. 調べてまとめるタイプ

検索や資料の読み込みをして、結果を整理して返すタイプです。商談前の下調べ、競合の動きの確認、業界ニュースのまとめなどに向きます。間違えても社外に影響が出にくいため、最初に試すのに向いています。

3-2. 決まった手順を進めるタイプ

毎週・毎月の決まった作業を、手順どおりに進めるタイプです。数字を集めて表にする、下書きを作る、結果をチャットで知らせる、などです。時間を決めて自動で動かせます。

3-3. 画面を操作するタイプ

人と同じように、ブラウザの画面を開いて、ボタンを押し、入力するタイプです。専用の接続口(API)がないサービスでも、画面を開ければ作業を任せられます。ただし、画面の作りが変わると動かなくなることがあるため、確かめながら使います。

3-4. 複数が役割を分けるタイプ

1つのAIがすべてをこなすのではなく、調べる役、書く役、確かめる役のように、役割を分けて動かすタイプです。量が多い仕事を並行して進めたいときや、別のAIに確かめさせたいときに使います。

最初から複雑に作る必要はありません。多くの中小企業は、3-1か3-2から始めれば十分です。

4. 中小企業の業務での活用例|6つ

中小企業では、営業・マーケティング・採用・問い合わせ対応・バックオフィス・社長の補佐の6つの業務で、AIエージェントを使いやすいです。

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中小企業で使いやすい6つの業務

私たちは、このうち営業・SEO・バックオフィス・採用の4つで、自社のAIエージェントを日常の業務で動かしています。下の4-1から4-4は、その実際の使い方です。4-5と4-6は、一般的に向いている使い方として紹介します。

4-1. 営業:商談や面談の準備

営業アシスタントのAIエージェントが、商談や面談の前に必要な下調べをして、準備の資料にまとめます。担当者は、資料を読んでから商談に入れるので、準備の時間が減ります。

4-2. マーケティング:SEOの数字の点検と記事の下書き

SEOのAIエージェントが、毎週、検索の数字を点検して、書く記事の候補や、直す記事の案を出します。記事の下書きもCMSに保存するところまで進めます。人が決めるのは、どの記事を書くか、タイトルをどう変えるかと、公開のボタンを押すことです。このサイトの記事づくりにも、このAIエージェントを使っています。

4-3. 採用:採用管理ツールの画面での作業

採用アシスタントのAIエージェントは、人がログインしたままのブラウザで、採用管理ツールの画面を開いて作業を進めます。専用の接続口を使わなくても、画面を操作できれば任せられるのが、3-3の画面を操作するタイプの強みです。

4-4. バックオフィス:毎月決まった作業

バックオフィス担当のAIエージェントは、毎月3日に決まった作業を進めます。ふだんは、聞かれたことを調べて答える役割です。毎月繰り返す作業は、手順が決まっているぶん、任せやすい仕事です。

4-5. 問い合わせ対応:一次の返信の下書き

お問い合わせやメールの内容を読んで、返信の下書きを作る使い方が向いています。送る前に人が確かめる形にすれば、誤った案内を防げます。

4-6. 社長の補佐:予定と情報の整理

予定の確認、会議のメモの整理、決めることの一覧づくりなど、社長の手元の作業を減らす使い方です。社長が自分で使うAIエージェントなら、導入のための社内の調整も要りません。

業務ごとの使い分けは、こちらのセミナーのお知らせでも紹介しています。
セミナー登壇のお知らせ 中小企業リスキリング支援事業 運営事務局主催 「どのAIを使うべき?業務別にわかる中小企業のAI活用術」

5. 入れるメリット4つと、気をつけたいリスク3つ

5-1. AIエージェントを入れる4つのメリット

メリットは、時間が空くこと、抜け漏れが減ること、決まった時間に動くこと、仕事が人に頼りきりにならないことの4つです。

  1. 時間が空く:調べものや下書き、数字の集計を任せられ、人は確かめることと決めることに時間を使える
  2. 抜け漏れが減る:毎週の点検のように、忘れがちな作業を、決めた時間に必ず進める
  3. 決まった時間に動く:夜間や休日でも、決めた時間に作業が進み、朝には結果が届いている
  4. 仕事が人に頼りきりにならない:手順を文書にして渡すので、担当者の頭の中にあった進め方が残る

5-2. 気をつけたい3つのリスク

リスクは、間違えること、渡す情報と権限が広すぎること、動かす環境が業務に合わないことの3つです。

  1. 間違えること:AIは、古い情報をもとに答えたり、事実と違うことを書いたりします。料金や製品名のように変わる情報は、公式の情報で確かめさせます
  2. 渡す情報と権限が広すぎること:お客様の個人情報や社外秘の資料は渡さない、メールの送信や記事の公開のように外に出ることは人が押す、といった線を先に引きます
  3. 動かす環境が業務に合わないこと:すべてのAIエージェントが、同じ環境で動くわけではありません

3つ目は、実際に動かしてみて分かったことです。私たちの4つのAIエージェントは、役割も任せる範囲も違い、動かす環境も同じではありません。営業アシスタントとバックオフィス担当は、クラウド上で決まった時間に動かしています。一方で、採用アシスタントとSEOのAIエージェントは、ブラウザにログインしたままの画面や、パソコンに入れた道具を使うため、Mac miniで動かしています。クラウドで動かせる範囲には限りがあるため、業務ごとに、どこで動かすかを決める必要があります。

ポイント

任せるか迷ったら、「間違えたときに、誰が困るか」で分けます。社内の作業の途中なら任せて、結果を確かめれば十分です。お客様の目に触れるもの、お金や日程に関わるものは、人が決めます。

6. 中小企業が始める5ステップ|費用・期間・体制

中小企業は、業務を1つに絞り、いま契約しているAIのツールで作り、小さく動かしながら広げるのが安全です。

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業務を1つ選び、小さく動かして広げる5つのステップ

6-1. 5つのステップ

  1. 任せる業務を1つ選ぶ:毎週・毎月くり返す、手順が決まっている、社外に影響が出にくい、の3つに当てはまる業務から選ぶ
  2. 使うツールを決めて、作る:ChatGPT、Claude、Geminiなど、すでに契約しているツールで作る。IT担当がいなくても始められる
  3. 任せる範囲と、人が決めることを書く:公開・送信・お金の支払いは人が押す、などの線を文書にして、AIにも読ませる
  4. 報告の受け方を決める:私たちはSlackのダイレクトメッセージで受け取り、人が絵文字のリアクションで答えている。確かめる場所を1つにすると、見落としにくい
  5. 動かして直し、増やす:結果を見て手順を直し、うまくいったら次の業務に広げる

6-2. 費用と期間の目安

費用の目安は、月2万円前後です。どの程度のものを作るかによりますが、中心になるのはClaude Codeなどのツールの利用料です。作ったAIエージェントをWebアプリとして使えるようにするなら、Vercelのような置き場所の料金が加わります。ツールの料金は変わるため、契約の前に各社の公式ページで確かめてください。

期間は、始めるまでが短いのが中小企業の強みです。私たちは、社長が決めたその日のうちに、最初のAIエージェントを動かし始めました。大きな社内調整がなく、決める人が動かせる会社ほど、始めるのが速くなります。

6-3. 体制

最初は、社長か担当者の1人で足ります。専任のIT担当は要りません。必要なのは、任せる業務を決めること、結果を確かめること、そして外に出ることを決めることの3つで、どれも業務を知っている人が担当します。

7. よくある質問

7-1. ChatGPTはAIエージェントですか?

質問に答えてもらう使い方なら、AIエージェントではありません。ただし、ChatGPTにも道具を使って作業を進める機能があり、調べものを任せたり、決めた手順を繰り返したりする使い方なら、AIエージェントとして使っていることになります。詳しくは「1-3」に書きました。

7-2. AIエージェントの料金はいくらですか?

作るものと使うツールによって変わります。私たちの目安は、月2万円前後です。中心はClaude Codeなどのツールの利用料で、Webアプリにするなら置き場所の料金が加わります。料金は変わるので、契約の前に公式ページで確かめてください。

7-3. 無料で使えますか?

無料で試せるツールもありますが、使える量や機能はツールごとに違い、変わることもあります。毎週・毎月の業務で動かすなら、有料のプランを前提に考えるほうが安全です。契約の前に、各社の公式ページで確かめてください。

7-4. AIエージェントの欠点やリスクは何ですか?

間違えること、渡す情報と権限が広すぎること、動かす環境が業務に合わないことの3つです。対策は、変わる情報を公式で確かめさせること、外に出ることは人が決めること、業務ごとに動かす場所を決めることです。詳しくは「5-2」に書きました。

7-5. AIエージェントは信頼できますか?

作業の途中は任せられますが、結果を信じきってはいけません。AIの出力は、人が確かめる前提で使います。私たちも、記事の公開やタイトルの変更、お客様に関わることは、人が確かめてから決めています。

7-6. IT担当がいなくても導入できますか?

できます。いま契約しているChatGPT、Claude、Geminiなどで、業務を1つ選んで作れば始められます。大切なのは、技術の知識より、任せる範囲と、人が確かめるところを決めることです。

8. まとめ

この記事では、AIエージェントの基本と、中小企業の業務での使い方を紹介しました。ポイントを振り返ります。

  • AIエージェントは、目標を渡すと、自分で手順を考え、道具を使って仕事を進めるAI。ChatGPTで質問するだけの使い方とは違う
  • 仕組みは「目標・計画・道具の使用・振り返り」の4つの動きの繰り返し
  • 営業・マーケティング・採用・バックオフィスなど、中小企業の業務で使える。私たちも4つの業務で動かしている
  • リスクは、間違えること、渡す情報と権限が広すぎること、動かす環境が業務に合わないことの3つ
  • 始めるときは、業務を1つに絞り、契約しているツールで作る。費用の目安は月2万円前後

少人数でAIを使いながら成果を出す体制は、下記の記事で解説しています。
AI時代のBtoBマーケティング組織とは?少人数で成果を出す体制と責任者の役割

リードファクトリーは、中小企業のAIの導入と、業務での活用を支援しています。
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WRITTEN BY

株式会社リードファクトリー 代表取締役 遠藤由規

代表取締役

一橋大学商学部を卒業後、ENEOS株式会社に新卒入社。その後、日本最大級の屋内型エンターテインメント施設 「アートアクアリウム美術館」の立ち上げに新規事業責任者として参画。2021年よりベンチャー支援のSOICO株式会社にて マーケティング・インサイドセールス責任者を務め、PHC株式会社ではAPACの海外BtoBマーケティング立ち上げに従事。 2023年5月、株式会社LEAD FACTORY.を創業。BtoBマーケティング・インサイドセールスの実務知見をもとに、 スタートアップから大企業まで幅広い規模の事業成長を支援している。

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