BtoBのオウンドメディアの成功事例10選|成果を出すためには?

BtoBマーケティングにおいて、オウンドメディアの運用は非常に有効な手段です。

しかし、オウンドメディアの運用には中長期的な投資が必要で専門的な知識も必要であるため、断念してしまう企業も多数あります。

本記事では、BtoB企業がオウンドメディアに取り組むメリット・デメリットや成功させるポイント、成功事例を紹介します。下記のようなお悩みがある方は参考になれば幸いです。

  • オウンドメディアにおけるKPIの考え方を知りたい
  • BtoBのオウンドメディアの成功事例を知りたい

オウンドメディアとは|マーケティングを目的として情報発信用のWebサイト

オウンドメディアとは広い意味では自社が所有するメディアを指す言葉ですが、BtoBマーケティングにおいては、マーケティングを目的として情報発信用のWebサイトを指します。

オウンドメディアは、中長期的に取り組んでいく必要がありますが、LTVが高い業種や製造業やメーカーなど、ニッチな領域においては非常に有効です。逆に、小売りなどの単価の低い業種などは費用対効果を感じづらいです。

BtoB企業がオウンドメディアに取り組むメリット

BtoB企業がオウンドメディアに取り組むメリットは下記の3つです。

  • 中長期的に安定したリードが獲得できる
  • ブランディングにつながり、競合との差別化になる
  • 顧客育成や信頼関係の構築につながる

オウンドメディアを持つことで広告費をかけずとも、中長期的な集客が見込めるだけでなく、ブランディングや顧客育成にもつながります。どんな業種であっても競合の参入などにより手軽なリスティング広告へ出稿する会社は増える傾向であり、いかにオーガニックで流入を獲得できるかが重要です。

しかし、このメリットを享受するには、ユーザーニーズを満たす良質なコンテンツを蓄積することが前提です。

中長期的に安定したリードが獲得できる

オウンドメディアを運用することで、中長期的に安定したリード獲得ができます。オウンドメディアを運用することで、検索流入が見込めるため、安定的にリードを獲得しやすくなります。

また、オウンドメディアは資産性があるのも特徴です。広告のみで集客をしていた場合、広告を止めてしまうと集客がなくなってしまいますが、オウンドメディアはリライトなどの定期的なメンテナンスは必要であるものの、お金をほとんどかけずに資産としてWeb上に残ります。

Web上に半永久的に残るコンテンツが広告や営業マンに代わり、集客をおこなってくれると考えるとイメージがつきやすいでしょう。

ブランディングにつながり、競合との差別化になる

オウンドメディアを運用することで、企業や製品、サービスの認知度の向上やブランディングにつながります。業界名や商品のジャンルで検索をした際に、自社のオウンドメディアを上位表示させることで、ユーザーの信頼感を醸成できます。

また、オウンドメディアは競合との差別化にも有効です。ユーザーは自社と他社の製品の違いをなかなか把握することができません。しかし、オウンドメディア上に自社の独自のコンテンツを発信、蓄積することによって、自社の強みやメリットを訴求でき、競合との差別化にもつながります。

顧客育成や信頼関係の構築につながる

オウンドメディアに有益な情報を発信・蓄積することで、ユーザーが情報に価値を感じ、オウンドメディアを信頼してくれるようになります。オウンドメディアで信頼を獲得することで、企業や製品、サービスに対しての信頼感も高まります。皆さんも、情報収集をする際に良くみるサイトなどはいくつかあるのではないでしょうか。

また、自社商品やサービスに関連するキーワードを検索するユーザーは、購買や契約につながりやすいユーザーです。このようなユーザーがオウンドメディアのコンテンツに触れることで、商品やサービスに興味を持つ可能性が高いといえます。

BtoB企業がオウンドメディアに取り組むデメリット

BtoB企業がオウンドメディアに取り組むデメリットは下記の2つです。

  • 中長期的に投資が必要
  • SEOの知識やスキルが必要

オウンドメディアは、中長期的に投資が必要なうえ、運用にはSEOの知識やスキルが必要です。自社で運用をおこなうことで、外注費を抑えられますが、SEO人材を育てるための研修や採用が必要になります。

一方で、専門の会社に依頼する場合は費用はかかってしまいますが、自社のリソースを割かずに、専門家が効果的な運用をおこなってくれます。

中長期的に投資が必要

オウンドメディアは短期間で結果の出る施策ではありません。中長期的に取り組んでいく必要があり、オウンドメディアの立ち上げ費用やコンテンツの制作費用が発生します。

また、オウンドメディアは必ずしも結果が出る施策であるとは限りません。相性などももちろんありあります。新規コンテンツの制作以外にも、サイト自体のメンテナンスや分析、コンテンツをより良いものにするためのリライトも必要です。オウンドメディアを運用する際は半年から年単位で時間を要することを把握しておきましょう。

SEOの知識やスキルが必要

オウンドメディアを運用するには専門的なSEOの知識やスキルが必要です。

オウンドメディアを運用する際は、ユーザーニーズの把握やキーワード選定などのSEOに関する知識のほか、デザイン、コーディング、ライティング、サイト分析などさまざまなスキルや知識が必要です。

すべて自社でおこなえば外注費用を抑えることはできますが、膨大なリソースを必要とするため、自社のリソースを圧迫してしまいます。そればかりか、知識やスキルがないまま取り組んでも、ユーザーニーズを満たし、Googleに評価される記事は制作できません。

オウンドメディアに取り組む際は、マーケティング会社などの専門家に依頼することをおすすめします。

BtoB企業がオウンドメディアを成功させるポイント

BtoB企業がオウンドメディアを成功させるには下記のポイントが重要です。

  • オウンドメディア運用の目的を明確にする
  • 適切なKPIを設定する
  • 長期的に運用できる体制を構築する

オウンドメディアは目的によって、サイトの設計や狙うキーワードが異なるため、まずは目的を設定する必要があります。また、目的に応じて適切なKPIを設定することも重要です。

オウンドメディア運用の目的を明確にする

オウンドメディアを運用する際は目的を明確にしましょう。オウンドメディアの目的によってサイト設計や上位表示を狙うキーワードが異なるためです。

また、目的を設定したら「どのような状況になれば目的達成といえるのか」を言語化しておくことをおすすめします。できる限り定量的な数字で計測可能なものが望ましいでしょう。

適切なKPIを設定する

KPIとして設定する指標も目的やフェーズによって異なります。

下記が目的やフェーズごとのKPIとなりえる指標の例です。狙うキーワードや扱っている商材、オウンドメディアのコンセプトによって設定すべきKPIは異なるため、あくまでも下記は参考として、自社の状況にあったKPIを設定しましょう。

▼目的ごとのKPIの設定例

目的KPIになりえる指標
自社製品やサービスの認知PV(ページビュー)数・UU(ユニークユーザー)数
リードの獲得比較検討のファネルに該当するキーワードでの検索順位

▼フェーズごとのKPIの設定例

フェーズKPIになりえる指標
メディアの立ち上げ期月間の新規記事数
メディアの成熟期ユーザーの滞在時間・直帰率・CV(コンバージョン率)

上記のようにフェーズによって設定するKPIが変わってきます。CVをKPIと設定するならば、ホワイトペーパーなど他のコンテンツも並行して制作をする必要があります。

長期的に運用できる体制を構築する

オウンドメディアは長期的な運用が必要です。長期的に運用できる体制を構築しておくこともオウンドメディア成功の鍵となります。

コンテンツの制作を外注する場合、キーワードの管理やライティングの進行管理、上がってきた記事の確認や入稿作業が必要です。また、新規のコンテンツを追加するだけでなく、分析や改善のためのリライトも必要になります。

オウンドメディア運用は長期的にリソースを必要とするため、リソースは足りているのか、どこまでを自社でおこなうのかを決めましょう。

また、オウンドメディアから獲得したリードに対してナーチャリングをおこなうインサイドセールス部隊も必要です。オウンドメディアを長期的に運用し、成果につながるような組織体制の構築がオウンドメディアの成功には不可欠です。

またBtoB企業において、コンテンツを作成する上でカスタマージャーニーの設計も非常に重要です。カスタマージャーニーを設計することで、必要なコンテンツの洗い出しや優先すべきチャネルを見定めることができます。詳細は以下の記事で解説していますので、よければご覧ください。

BtoBマーケティングのカスタマージャーニーの特徴とは?作り方とBtoCの違いについて

BtoB企業のオウンドメディアの成功事例10選

BtoB企業のオウンドメディアの成功事例を紹介します。目的や市場でのポジショニングが似ている企業を参考にするのがおすすめです。

マーキング学習塾|株式会社キーエンス

センサや測定機を開発している株式会社キーエンス。キーエンスが運営している「マーキング学習塾」では、基礎知識から活用方法まで、レーザーマーカーの幅広い情報が掲載されています。

商材やその関連キーワードだけでなく、ユーザーが疑問に思うようなキーワードまで対策がされており、認知から比較検討、購入までのユーザーの態度変容や行動に関する情報を網羅しています。

ナイルのマーケティング相談室|ナイル株式会社

ナイル株式会社はマーケティング・DX支援をおこなっており、「ナイルのマーケティング相談室」というオウンドメディアを通じて、Webマーケティングの担当者に向け、SEOに関する知識を発信しています。

数々のSEO関連のキーワードで上位表示を獲得しており、それぞれのお悩みに応じたホワイトペーパーも充実している点が特徴です。ホワイトペーパーのダウンロードや無料相談で獲得したリードに対してメルマガでナーチャリングをおこなっています。

サイボウズ式|サイボウズ株式会社

業務効率化のためのグループウェアを開発・販売しているサイボウズ株式会社は「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営しています。

サイボウズ式では「新しい価値を生み出すチームのメディア」をキャッチコピーに掲げており、働き方やチームワークに関する情報を発信しています。

インタビュー形式の読みやすいコンテンツが支持を集め、多くの集客を生み出しています。

Story|シナジーマーケティング株式会社

クラウドサービスやデジタルマーケティング支援をおこなっているシナジーマーケティング株式会社では「Synergy! ACADE」というオウンドメディアを運営しています。

Storyは集客はあったものの、CVが思うように獲得できていませんでした。しかし、CV導線の改善やCRO(コンバージョン率最適化)の施策をおこない、各ページ配下での施策も充実させたことで、約1年でCVを12%増加させました。

LIGブログ|株式会社LIG

株式会社LIGが運営している「LIGブログ」は、集客だけでなく、採用やファン化など、さまざまな役割を担っています。

LIGブログではWebやITに興味を持っている人に向けて、Webやメディア制作のノウハウや製品のレポート、セミナーの参加レポートなど、幅広いコンテンツが掲載されています。

このようなコンテンツが蓄積されているLIGブログは、ブランディングや認知拡大、採用などに大きく貢献しています。

マルケトブログ|アドビ株式会社

アドビ株式会社が運営している「マルケトブログ」では、SEOを強化し、安定的なリード獲得を実現しました。アドビ株式会社はMAツール「Adobe Marketo Engage」を取り扱っている会社です。

今まで、MAツールの受注はオフラインで受注することが多く、安定的なリード獲得ができていませんでした。そのため、オンラインからの安定的なリードの獲得を目的とし、オウンドメディアに注力。

最初の3ヶ月でサイトの分析を行い、ビッグキーワードでの上位表示の獲得施策やページ内の回遊率を上げる施策を実施した結果、リード獲得数を約150%にまで増加させることに成功しました。

経営ハッカー|freee株式会社

freee株式会社が運営する「経営ハッカー」は、経営者や個人事業主向けに会計や労務、税務、会社設立などの情報を発信しているオウンドメディアです。

freeeの無料体験を促すサイト設計となっており、検索流入で入ってきたユーザーに対して無料体験を促し、新規ユーザーを獲得しています。

サイト自体はユーザーが探している記事を探しやすく、ツールの使い方から、知識系のコンテンツ、インタビューまで、さまざまなニーズを満たせる記事が充実しています。

WORKSIGHT|コクヨ株式会社

コクヨ株式会社は企業のキーパーソンに向けて「働くしくみと空間をつくるマガジン」という体裁で、働く環境についての情報を発信しています。

コクヨ株式会社のオウンドメディア戦略の特徴的な点として挙げられるのが、オンライン上のオウンドメディアだけではなく、紙媒体での発信やリアルイベントなど、オフラインでの施策も織り交ぜて多角的にアプローチをおこなっている点です。

コクヨはWORKSIGHTを通じて、働く環境づくりの重要さを訴求し、自社商品である文房具やオフィス家具、オフィス用品の購買につなげています。

ANSWERS|川崎重工業株式会社

川崎重工業株式会社は船舶・鉄道車両・航空機・モーターサイクル・ガスタービン・ガスエンジンなどのさまざまな重工業に関わる製品の製造をおこなっています。

川崎重工業株式会社では、グローバル顧客の多い油圧機器の市場シェアを拡大するために、海外のBtoB企業をターゲットとした海外向けのSEO対策をおこないました。そのため、コンテンツもすべて英語で制作しています。

抽出した数千のキーワード候補を精査し、検索ボリュームなどの指標を加えてキーワードを精査。戦略的な重要キーワードを設定したうえでコンテンツ制作をおこないました。

オクレンジャー|株式会社パスカル

サイトのリニューアルに際してSEO対策をおこない、キーワードに沿ったサイト構造に再設計をおこないました。その結果、BtoBのニッチな業界ですが商材に近いKWで上位表示を獲得しています。

まとめ

BtoBマーケティングにおいて、オウンドメディアは非常に有効な手段で、特にニッチな領域では、絶大な効果を発揮します。

オウンドメディアは、資産性があり、中長期的なリード獲得やブランディングにつながりますが、中長期的に投資が必要であり、専門知識が必要なため、はじめるハードルが高いのも事実です。

リードファクトリーでは、SEO対策をはじめ、さまざまな形でのマーケティング支援をおこなっています。無料相談をおこなっておりますので、SEO対策にお困りの際はお気軽にご相談ください。

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一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。