こんにちは、リードファクトリーの遠藤です。
「カスタマージャーニー」はマーケティングに携わる方であれば聞いたことのある方も多い用語ではないでしょうか。
カスタマージャーニーはユーザーを理解し、事業の成長につなげる上で重要なフレームワークです。一方で、既にあるサービスなど、「今更カスタマージャーニーを作成して意味があるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
<カスタマージャーニーに関するよくある疑問>
- そもそもカスタマージャーニーとは?
- BtoBのカスタマージャーニーの特徴とは?BtoCとの違いは?
- どうやってカスタマージャーニーを作成するの?
今回は、上記の疑問を解決するために、カスタマージャーニーの概念の説明から、カスタマージャーニーの作成が重要な理由、作成フローまでご紹介します。
YouTubeでもBtoBのカスタマジャーニーの作り方を解説してますので、是非ご覧ください!
カスタマージャーニーとは何か?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを購入するまでに経験する一連のプロセスや感情のことです。カスタマージャーニーを理解することで、顧客のニーズや課題を把握し、適切なタイミングで最適なコンテンツやアクションを提供することができます。
カスタマージャーニーは細かく分けるとたくさんありますが、一般的に以下の4つのステージに分けられます。
- 認知:顧客が自分の問題やニーズに気づく段階
- 情報収集:顧客が課題を自分事化し、ベストな解決策を探し始める段階
- 比較・検討:顧客が複数の解決策や提供者を比較検討し、最適な選択肢を決める段階
- 購入:顧客が商品やサービスを使用し、満足度やロイヤルティを高める段階
カスタマージャーニーを作成する目的
カスタマージャーニーを分析する目的は、顧客のニーズや課題を理解し、それに応える最適なコンテンツや施策を提供することです。
具体的なイメージとしては、STP分析で自社が誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にした後を想定しています。つまり、「どんな人がターゲットか」がイメージできている状態であることが必要です。
そのターゲットが各ステージごとにどのようなプロセスを辿って自社のサービスを利用・購入してくれるかを言語化することで、ステージを移行させるための態度変容に必要なコンテンツ(What)やタッチポイント(Where)を洗い出すのが目的になります。
カスタマージャーニーのメリットと重要性
カスタマージャーニーを作成することには、以下のようなメリットがあります。
- コンテンツ企画・制作:ターゲットの視点に立ってコンテンツや施策を設計できる
- 解像度の高い施策:ターゲットの状況や動機に応じてパーソナライズされたコミュニケーションができる
- KPIの特定と改善:ターゲットの離脱ポイントや改善ポイントを発見できる
- LTVの最大化:ターゲットのライフサイクル全体にわたって関係性を築ける
カスタマージャーニーは、顧客の行動や感情を深く掘り下げる作業ですし、作成することでチーム全体で狙うべきターゲットの解像度と施策の解像度のどちらも上がることにメリットがあります。
もちろん、カスタマージャーニーを作成するだけでは不十分です。なぜならカスタマージャーニーは時やトレンドとともに変化するものなので、定期的に見直しや更新することが重要です。
マーケティング施策やクリエイティブなどに悩んだときに、カスタマージャーニーを確認することで原点に立ち返ることができるという使い方もありますね。
また、カスタマージャーニーを活用するためには、マーケティング組織だけでなくインサイドセールスやセールスチームとも共有や連携ができる仕組みが必要です。もしそのターゲットがロイヤルカスタマーなのであれば、ターゲットのことを1番深く知っているのはセールスやカスタマーサクセスのメンバーです。彼らの言葉に耳を傾けて、カスタマージャーニーを常にブラッシュアップしていきましょう。
なぜ、カスタマージャーニーは「時代遅れ」と言われるのか?
一部ではカスタマージャーニーについて、「無駄」「意味がない」と言われることがありますが果たして、本当にそうなのでしょうか?
そのように言われる背景として、以下の理由が挙げられます。
- 一方向の流れではない一部では、カスタマージャーニーマップが一方向すぎると言われます。カスタマージャーニーは特定のステップに区切られ、一方向性の流れを示します。しかし、現代の消費者はより複雑で、非線形な行動を示すことがあり、このような単純なモデルでは彼らの実際の行動を反映しきれないという批判されることがあります。
- SNSなどの新技術発達による顧客行動の変化現代では、InstagramやTikTokなどのSNSが発達し、検索エンジンではなうSNSのハッシュタグなどでまず最初に検索されることも多いです。そうなると、カスタマージャーニーマップが一昔前の行動データに基づいている場合、現実の状況と合わないことがあります。
- 個別化と体験重視の優先度現代の消費者はより個別化された体験を求める傾向があります。そのため、単なる段階的なプロセスだけでなく、個々の顧客のニーズや好みに合わせたパーソナライズされたアプローチを提供する必要があるという考えです。
上記の主張はあるもののカスタマージャーニーマップは依然として有用なフレームワークです。依然として多くの企業がターゲットを深く理解し、精度の高いマーケティング戦略を立てるために活用しています。
重要なのはあくまでカスタマージャーニーをどのようにアップデートし、顧客体験の向上に活用できるかです。
BtoBマーケティングのカスタマージャーニーの特徴
BtoBマーケティングでは、BtoCのマーケティングとは異なり、購買決定に複数の関係者が関わり、費用対効果をもとに意思決定をし、長期的にサービスを提供することが一般的です。特徴的なポイントが以下の点です。
①登場人物の多い意志決定プロセス
BtoBでは、製品やサービスの購入には多くのステークホルダーが関与します。
製造業などであれば、
- 実際に製品を使用する現場の人たち
- 製品の規格などが問題ないか確認する設計担当
- より安い/より性能の良い製品がないか探し続ける購買部
- その製品を導入することによってそれだけKPIが改善するかが知りたいマネージャー
上記のように、BtoBのカスタマージャーニーは登場人物がたくさんいるため意思決定のプロセスが複雑になりがちです。しかし、多くの場合で各プレイヤーは経済的に合理的な判断をされることが多いため、逆算をして対応することが可能なのも特徴です。
②長期的な関係構築によるLTV最大化
BtoBマーケティングでは、顧客との長期的な関係構築が鍵となります。特にターゲットが少なく、1顧客あたりのLTVを伸ばしていかないといけない事業体であれば猶更です。
重要なのはLTVの最大化であり、目の前の一度の取引量最大化だけでなく、クロスセルやアップセルの機会を追求する必要があります。カスタマージャーニーはこの長期的な視点を考慮に入れ、顧客の価値を最大化する方法を模索する必要があります。
BtoBマーケティングのカスタマージャーニーの作成・活用
上記の特長を踏まえたうえで、BtoBマーケティングにおけるカスタマージャーニーの作成のプロセスを具体的に書いてみます。
- ターゲットを定義する
- ターゲットにインタビューをする(3~5人程度)
- 2をもとにカスタマージャーニー(ステージ、ニーズ、タッチポイント)作成
- 各段階に応じたコンテンツやアクションを考える
①ターゲットを定義する
冒頭でも触れましたが、まずはターゲットを定義する必要があります。ターゲットの設定の仕方も、これまでのLTV額の上位20社を分析する方法や、新規事業でまだそこまでクライアントがいない場合は、営業とコミュニケーションを取って、最も好反応であった商談内容や相手を参考にしましょう。
その中でも、再現性を担保するために以下の切り口(セグメント)でグルーピングができないか見ると良いです。②に繋げるためにも、ターゲットのセグメントを特定しておきましょう。
- 業種や業界
- 規模や売上
- 役職や役割
- 購買決定権や影響力
- 課題や目標
- 情報収集方法や媒体
- 商品やサービスに対する認知度や関心度
②ターゲットにインタビューをする(5人程度)
①で定義したターゲットにインタビューをしましょう。最低でも3人、できれば5人ほどに話を聞きたいですね。
既存クライアントにインタビューできるのが最もコスト的にもヒアリングのしやすさ的にもベストではありますが、もしそれが難しい場合はインタビュー用のサービスがあるので活用しましょう。インタビュー動画は可能な限り録画して共有できるようにしておきましょう。
③カスタマージャーニー(ステージ、ニーズ、タッチポイント)作成
②のインタビューをもとに実際にカスタマージャーニーを作成してみましょう。いきなり完璧を求めるのではなく、マーケティングを担当するメンバーだけでなく、セールスのメンバーを巻き込んで複数人でワイワイやるのがポイントです。
事前にインタビューの動画を見てもらうのはもちろんのこと、マーケティング部側である程度のたたき台を用意しておくのは重要です。たたき台がないと活発な議論が生まれません。
④各段階に応じたコンテンツやアクションを考える
最後のステップは、カスタマージャーニーの各段階で、顧客に提供するコンテンツやアクションを考えることです。コンテンツやアクションは、顧客のニーズや課題に応えるだけでなく、次の段階へと誘導する役割もあります。
例えば、認知段階で提供するコンテンツは、以下のようなものが考えられます。
- ブログ記事
- ホワイトペーパー
- ウェビナー
- 社長の個人SNS
これらのコンテンツでは、商品やサービスの紹介や宣伝は控えめにし、顧客の課題や目標に関する有益な情報や知識を提供します。
例えば、インタビューをもとに「○○な課題をもって△△と検索した」という事実が判明したなら、△△の検索ワードを実際に調査し、「どのようなコンテンツがSEO上位にあるのか?」「リスティング広告は出稿されているか?」「ランディングページはどのような訴求になっているか?」などを多面的に情報収集しましょう。
その中で、共通している課題感や重要な表現をリサーチをし、「自社も同じようなコンテンツが作成できるか?」「ブログ記事 or ウェビナー or 広告?」などを考えましょう。
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【保存版】BtoB企業のコンテンツマーケティングの基本と考え方
おまけ
リサーチをしていく中で、競合のコンテンツの最後にある、興味のある人を引き上げるためにもCTA(コール・トゥ・アクション)もチェックしておきましょう。CTAとは、顧客に何かしらの行動を促す文言やボタンのことで、例えば以下のようなものがあります。
- メールマガジン登録
- セミナー視聴登録
- サービス資料ダウンロード
- お問い合わせ
どう引きあがっていくのかやユーザーの動きが分かりやすいのでおすすめです。
まとめ
本記事では、BtoBマーケティングのカスタマージャーニーについて解説しました。
BtoBマーケティングにおいてもカスタマージャーニーを作成することで、マーケティング施策の精度や顧客の解像度があがることは間違いありません。作成していない企業は今回の記事を参考に作成してみてはいかがでしょうか。
リードファクトリーではデジタルマーケティングについての無料相談会を実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。