ひとりマーケターとは?仕事内容・年収・必要な心得を経験者が解説
ひとりマーケターとは、社内でマーケティング業務を一人で担う人のことです。BtoBのスタートアップや成長期の企業に多く、広告運用からリード獲得の仕組みづくりまでを一手に引き受けます。
近年よく聞く言葉になりましたが、実際どんな仕事で、どんな心構えが必要なのでしょうか。私自身も元ひとりマーケターで、今もご支援先には一人で奮闘されている方が多くいます。この記事では、仕事内容・キャリア・年収といった基本に加え、私が現場で味わったつらさとやりがいまでお伝えします。

ひとりマーケターとは
ひとりマーケターとは、社内でマーケティングを一人で担当している人を指します。より正確に言うと、マーケティングの専任実行者が自分一人で、上司は営業部長や事業部長、代表取締役など他の領域を管轄している、という状態です。中小企業やスタートアップに多いですが、大手企業でも事業部にマーケティング担当が一人しかいなければ、実質的にひとりマーケターと言えます。
私自身、以前は事業会社でひとりマーケターをしていました。今はBtoBマーケティングの支援をする立場ですが、ご支援先を見渡しても、マーケティング担当が一人という会社は本当に多いです。だからこそ、この立場ならではの大変さもやりがいも、実感としてよく分かります。
ひとりマーケターの仕事内容
ひとりマーケターが担う業務は、リード獲得の入口から商談・受注の出口まで、ファネル全体に及びます。
代表的なものは次のとおりです。
- SEO・コンテンツ制作
- リスティング広告、Meta広告、LinkedIn広告などの広告運用
- 展示会・ウェビナーの企画運営
- ホワイトペーパー制作、LPO(ランディングページ最適化)
- 手紙(レター施策)などのオフライン施策
- インサイドセールス、フィールドセールスの一部
チームが大きい会社では担当が分かれるこれらの施策を、一人で横断して見るのがひとりマーケターの特徴です。
関連記事:スタートアップのBtoBマーケティング戦略|フェーズ別の施策と指標
ひとりマーケターのキャリアと年収
先に、多くの方が気になるキャリアの話をしておきます。
ひとりマーケターの経験は、BtoBの事業会社への転職ではかなり有利に働きます。多くの企業がマネージャークラスのマーケターを募集していて、しかもこのポジションは採用が難しい職種のひとつだからです。
理由はシンプルで、ファネル全体を理解して施策を回せる人材が限られているためです。ひとりマーケターとして一通りの施策を経験していれば、まさにその希少な人材に当てはまります。年収でいえば、800万円以上を狙える水準です。
つまり、今まさにひとりマーケターとしてしんどい思いをしている方は、その分だけ市場価値の高い経験を積んでいるということです。
ひとりマーケターのつらいこと
振り返ってみて、いちばんきつかったのは「正解が分からない」という状態でした。
BtoBのマーケティングは、施策を打ってすぐ結果が出るものばかりではありません。それでもリードやMQL(商談につながる見込み顧客)を増やしていかないと、その先の商談が積み上がっていきません。事業計画で掲げた目標を達成するために、限られた予算をどこにどう投じるか。投資と成果のバランスを見ながら、一人でPDCAを回して数字を出していくのは、なかなかにしんどいものがありました。
相談できるマーケティングの先輩が社内にいないことも多く、施策の良し悪しを自分で判断しなければなりません。「この打ち手で合っているんだろうか」という不安を抱えながら手を動かし続ける。この孤独感は、経験した人でないと分かりづらいかもしれません。
上司・経営に成果を説明するむずかしさ
もうひとつ、地味だけれど大きいのが、上司や経営に成果を説明する場面です。
上司がBtoBマーケティングの経験を持っている場合は、施策の相談ができたりアドバイスをもらえたりするので、まだ心強いです。ただ、ひとりマーケターの上司は他領域の管轄であることが多く、マーケティングの経験がないケースも珍しくありません。そうなると、施策の意図や、成果が出るまでに時間がかかる理由をうまく理解してもらえず、説明が難しくなりがちです。
しかも自分自身もまだ経験の浅い中で、非専門の上司に納得してもらうのは、けっこう大変でした。ここで効いてくるのが、やはり数字で説明できる仕組みです。感覚や熱量で語るのではなく、施策がどれだけのアポ数につながっているかを示し、投資対効果の観点で話せるようにしておく。この形にできると、役員クラスにも話が通りやすくなります。「この予算を投じると、これくらいのアポと商談が見込める」という言葉で語れることが、一人で動くうえでの大きな支えになります。
こちらのお役立ち資料で上記について詳しく説明をしているので良かったら見て下さい。
【テンプレ8種類】BtoBスタートアップのマーケティングガイドブック
ひとりマーケターのやりがい・よかったこと
一方で、得られたものもとても大きかったです。
一人で全部やるということは、裏を返せば、あらゆる施策を自分の手で経験できるということでもあります。私の場合、SEO、リスティング広告、Meta広告、LinkedIn広告、展示会、ウェビナー、ホワイトペーパー制作、LPO、手紙、インサイドセールス、フィールドセールスと、BtoBで使う打ち手をひと通りやりました。
リードを集める入口から商談・受注に至る出口まで、全体を通して見られること。この経験の積み重ねが、そのまま自分の専門性になっていきました。ファネル全体を実際に自分の手を動かして肌感で理解しているマーケターは、実はそれほど多くありません。ここは大きな財産だと感じています。
これからひとりマーケターになる方へ:必要な心得
もし今からひとりマーケターになる方がいたら、私がおすすめしたいのは大きく二つです。
- アクション数をしっかり担保すること。正解が分からない以上、試行回数を確保して当たりを探しにいくしかありません。少ない施策に賭けるより、動きの量を確保したほうが成果に近づきやすいです。
- 振り返りを、数字で追える仕組みとセットで行うこと。感覚での振り返りだと再現性が生まれません。
二つ目について、もう少し具体的にお話しします。
おすすめは、チャネル別に「リード数 → MQL数 → 商談数 → 受注数 → 受注金額」を追えるようにしておくことです。こうしておくと、「どのチャネルからのリードが、最終的にいくらの売上になったのか」が見えるようになります。
これがなぜ効くかというと、限られた予算の配分を判断できるようになるからです。
たとえば、リードは多いのに受注につながらないチャネルと、リードは少なくても受注単価が高いチャネルとでは、次に投資すべき先がまったく変わってきます。この判断を感覚ではなく数字でできるようになると、一人でも打ち手の精度が上がっていきます。そしてこの数字が、先ほどの上司への説明にもそのまま使えます。仕組みづくりは地味ですが、最初にやっておく価値は大きいです。
関連記事:MQL(有効リード)とは?リード・SQLとの違いとCPAで見る運用のコツ
どの施策から手をつけるか
「では、何から始めればいいのか」という質問もよくいただきます。
ここはサービスの内容や自社の強みによって全然違うので、一概には言えないというのが実際のところです。ただ、いくつか考え方の目安はあります。たとえばSMB向けの商材で、すでに検索需要がある領域なら、リスティング広告から入るのがおすすめしやすいです。すでに探している人にすぐ届けられるからです。一方で、AI関連のようにまだ市場が立ち上がりきっていないサービスなら、展示会から入って直接接点をつくったほうが効くこともあります。
このように、優先して打ちたい施策は商材の数だけ存在します。「自社の場合はどこから手をつけるのがいいか」を見極めるところが、実はいちばん腕の見せどころでもあります。ここで迷われている方は、よければお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. ひとりマーケターの年収はどのくらいですか?
A. BtoBの事業会社ではマネージャークラスの募集が多く、800万円以上を狙える水準です。ファネル全体を回せる人材が希少なため、市場価値は高めです。
Q. 未経験でもひとりマーケターになれますか?
A. 可能です。実際に私は未経験で施策をひとりで回せるようになりましたし、ひとりマーケターを卒業した後も、未経験の方を採用してひとりで施策を回せるところまで育成したことがあるので現実的だと考えています。
Q. ひとりマーケターは何をするのですか?
A. SEO、広告運用、ウェビナー、ホワイトペーパー制作、LPO、インサイドセールスなど、リード獲得から商談化までの施策を一人で横断的に担当します。
まとめ
ひとりマーケターは、正解が見えない中で成果を求められ、しかもその成果を非専門の上司に説明しなければならない大変な立場です。
ただ、その分あらゆる施策を経験でき、専門性とキャリアの両面で大きな財産が得られる仕事でもあります。大事にしたいのは、アクション数を確保すること、チャネル別に数字を追える仕組みを整えて振り返ること、そしてその数字で上司や経営と会話することの三つです。目の前の数字と向き合う日々は大変ですが、その積み重ねはちゃんと自分の力になっていきます。
もし「一人ではリソースが足りない」「どの施策から手をつけるか相談したい」という段階でしたら、私たちリードファクトリーがBtoBマーケティング・インサイドセールスの支援を行っています。ひとりマーケターだった経験のある立場として、現場感を持ってお手伝いできればと思います。
WRITTEN BY
代表取締役
一橋大学商学部を卒業後、ENEOS株式会社に新卒入社。その後、日本最大級の屋内型エンターテインメント施設 「アートアクアリウム美術館」の立ち上げに新規事業責任者として参画。2021年よりベンチャー支援のSOICO株式会社にて マーケティング・インサイドセールス責任者を務め、PHC株式会社ではAPACの海外BtoBマーケティング立ち上げに従事。 2023年5月、株式会社LEAD FACTORY.を創業。BtoBマーケティング・インサイドセールスの実務知見をもとに、 スタートアップから大企業まで幅広い規模の事業成長を支援している。
【 展開しているサービス一覧 】
BtoBマーケティング