導入事例インタビューで「本音」を引き出す3つの現場テクニック
導入事例コンテンツは、BtoBマーケティングにおける最強コンテンツのひとつです。
しかし、「インタビューしたものの、当たり障りのない内容しか得られなかった」という経験をお持ちの方は少なくないはずです。
本記事では、リードファクトリーが支援現場で蓄積してきた「インタビューで本音を引き出すための実践テクニック」を3つご紹介します。
なぜ導入事例インタビューは「薄い内容」になりがちなのか
導入事例コンテンツの価値は、課題・アプローチ・成果という具体的な文脈にあります。にもかかわらず、多くの場合、完成した記事は「導入してよかったです」「担当者の方が丁寧でした」といった感想止まりになってしまうことも少なくありません。
私が思う原因は大きく2つです。
ひとつは、インタビュー対象者が支援の詳細を把握していないケース。窓口担当者がプロジェクトの実務に深く関与しておらず、「何をやったか」を正確に語れない状態でインタビューに臨んでいるケースが非常に多く見られます。
もうひとつは、インタビュアーが場の雰囲気を作れていないケース。インタビューという言葉には「質問される」「評価される」というプレッシャーが伴います。インタビュイーが緊張していると、発言が表面的になり、本音の課題感や苦労話が出てきません。
これらを解消するために、リードファクトリーが現場で意識しているのが、以下の3つのテクニックです。
テクニック①:インタビュー前に「想定質問集」を共有する
なぜ事前共有が必要か
インタビュー当日に初めて質問を聞かされると、インタビュイーは「どう答えるか」を考えながら話すことになります。この状態では、記憶の引き出しを開けながら言語化するという二重の作業が発生し、発言が断片的・表面的になりがちです。
一方、事前に質問を共有しておくと、インタビュイーは当日までに「答え」を整理した状態で臨めます。すると会話の密度が上がり、具体的なエピソードや数字が自然と出てきます。
想定質問集の構成例
リードファクトリーが実際に使う想定質問集は、おおよそ以下の構造で組み立てています。
①導入前の状況(課題・背景)
- 支援をご検討された当時、どのような課題をお持ちでしたか?
- 社内では誰がその課題を一番感じていましたか?
②選定の経緯
- 他社との比較検討はされましたか?最終的にお選びいただいた決め手は何でしたか?
③支援中の体験
- 支援期間中、特に印象に残っているやりとりや出来事はありましたか?
- 正直、「難しかった」「大変だった」と感じた場面はありましたか?
④成果・変化
- 数字で変化を表すとしたら、どのような変化がありましたか?
- 社内での評価や、周囲からの反応に変化はありましたか?
⑤今後の展望
- 今後、さらに取り組んでいきたいことはありますか?
ポイントは、「苦労した点」「正直な話」といったネガティブ寄りの質問を意図的に含めることです。これがあるだけで、インタビュイーは「本音を話してもいい場だ」と感じ、発言のリアリティが上がります。
テクニック②:「インタビュー形式」か「座談会形式」かを正しく選ぶ
形式を間違えると何が起きるか
インタビューの形式は、インタビュー対象者が支援の詳細をどれだけ把握しているかによって決めるべきです。
よくある失敗パターンは、「営業担当者や購買担当者だけを呼んで1対1でインタビューしたが、支援の中身については担当コンサルタントしか知らず、肝心な部分が空洞になった」というケースです。
インタビュー形式が向くケース
インタビュー対象者が支援の詳細を深く理解しており、具体的なエピソードを自分の言葉で語れる場合は、1対1のインタビュー形式が向いています。集中して深掘りができるため、コンテンツとして強い「一人称の物語」が生まれやすいです。
座談会形式が向くケース
一方、インタビュー対象者が支援内容の詳細を把握していない場合は、座談会形式(複数名での対談形式)が適しています。
この場合、クライアント担当者に加えて、リードファクトリー側の担当コンサルタントも同席します。インタビュイーが答えに詰まったり、曖昧な部分が出てきたりした際に、コンサルタント側から補足できるからです。
具体的には、こんな場面で機能します。
インタビュイー:「確か、最初の3ヶ月くらいは大変だったと思うんですけど……何でしたっけ?」
コンサルタント:「そうですね、ちょうど既存リストが枯渇していた時期で、新規リスト設計から一緒にやり直したんです。〇〇さんに週次で数字を確認いただきながら……」
インタビュイー:「そうそう!あれは結構しんどかった(笑)でも、あそこを乗り越えたから今があるというか……」
このように、コンサルタントが”呼び水”を注ぐことで、インタビュイーの記憶が引き出され、リアルな文脈が生まれます。座談会形式の真価はここにあります。
形式選びの判断基準(まとめ)
| 判断軸 | インタビュー形式 | 座談会形式 |
|---|---|---|
| 支援詳細の把握度 | 高い | 低い・曖昧 |
| インタビュイーの語彙・説明力 | 豊富 | 限定的 |
| 求めるコンテンツの性質 | 1人称の深い物語 | 対話形式のリアリティ |
| 社内調整のしやすさ | 容易 | 複数名の調整が必要 |
テクニック③:最初の2分で「気持ちよく話せる場」を作る
インタビューは「空気」で決まる
どれほど精度の高い質問集を用意しても、インタビュイーが緊張したまま話し始めると、発言は表面的になります。逆に、最初の数分で場が和めば、その後は自然と本音が出てくるようになります。
現場で実感しているのは、インタビュー冒頭の2〜3分が、その後の会話の質をほぼ決めるということです。
実践している「場づくり」の手順
ステップ1:インタビュアー側から自己開示する(約1分)
最初に、インタビュイーに自己紹介を求めるのではなく、インタビュアー側が話し始めます。
例えば、「今日はお時間いただきありがとうございます。私は普段こういう仕事をしているんですが、実は今日この取材、個人的にすごく楽しみにしていて。〇〇さんの会社、私も以前から気になっていたんです」といった一言です。
評価する・される関係から「一緒に何かを作る」という関係性に切り替えることが目的です。
ステップ2:ユーモアや余談を意図的に挟む(約5分)
「こういうインタビューって、緊張しますよね。私も取材される側になったことがあって、最初の質問で頭が真っ白になったことがあります」といった自己開示的なユーモアが有効です。
インタビュイーが笑うか、共感の表情を見せるかなど関係ない話で盛り上がることが大事です。
ステップ3:「正解のない質問」から始める
いきなり「導入前の課題を教えてください」と聞くのではなく、「今日は気軽に話していただければ十分です。まず、〇〇さんが今のポジションに就いたのはいつ頃のことですか?」といった答えやすく、正解・不正解のない質問から入ります。
この「ウォームアップ質問」によって、インタビュイーは「自分が話せる」「答えられる」という感覚を持ち始めます。この状態を作ってから本題に入ると、発言の密度が明らかに変わります。
まとめ:導入事例インタビューの質は「準備」と「設計」で決まる
導入事例インタビューをコンテンツとして機能させるためには、当日の質問力だけでなく、事前準備・形式選び・場の作り方という3つのレイヤーを整えることが欠かせません。
改めて整理すると、以下の通りです。
- 想定質問集の事前共有:インタビュイーに「整理する時間」を与えることで、発言の具体性と密度が上がる
- 形式の正しい選択:支援詳細の把握度によって、1対1インタビューか座談会形式かを使い分ける。理解が浅い場合は担当コンサルタントを同席させ、呼び水役にする
- 冒頭2分の場づくり:インタビュアーが先に自己開示し、ユーモアを挟み、答えやすい質問から入ることで、本音が出やすい空気を作る
導入事例コンテンツは、一度作れば長期間にわたって商談や提案の場で機能し続ける「資産型コンテンツ」です。取材にかける準備の質を上げることが、そのままコンテンツの価値に直結します。
リードファクトリーでは、BtoBマーケティング支援の一環として、導入事例コンテンツの企画・取材・制作までをご支援しています。「取材はしたいが社内にノウハウがない」「既存の事例コンテンツをもっと活用したい」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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