製造業の営業が抱える課題とは|解決策や必要な営業スキルとは?

専門的な知識が必要な製造業やメーカーでは、営業がさまざまな課題を抱えています。

営業が抱える課題を解決するためには、営業部のみならず、企業全体で解決に向けて取り組む必要があります。

本記事では製造業の営業が抱える課題や解決方法、営業が身につけるべきスキルを紹介します。

製造業の営業の仕事内容とは

営業は顧客との窓口を担う役割で企業の売上に直結します。製造業の営業は新規リードの獲得からアフターフォローまでを一貫しておこないます。営業の仕事の一連の流れは下記です。

  1. リード獲得
  2. ヒアリング・ニーズの把握
  3. 商談・クロージング
  4. アフターフォロー

リード獲得

製造業の営業の主な仕事としてリードの獲得があります。自社製品やサービスの発注・契約をもらうために、顧客を獲得します。

営業方法は企業や各個人によってさまざまですが、飛び込み営業やテレアポ、メールでのアポイント獲得のほか、展示会への出展や紹介での営業などの方法があります。

ヒアリング・ニーズの把握

顧客にヒアリングをおこない、顧客が抱えている課題やニーズを把握することも営業の重要な仕事です。

ヒアリング・ニーズの把握は今後の提案の重要なポイントになるため、課題を的確に把握する必要があります。しかし、顧客自身が課題を認識・言語化できていないケースも多いため、話を深掘りして話を引き出すスキルも重要です。

商談・クロージング

ヒアリングした内容をもとに自社製品・サービスで顧客の課題を解決するための提案をします。

商談の段階では、競合他社がいる場合もあるため、競合他社の製品・サービスとの違いを明確にし、自社製品の魅力を十分にアピールできる提案をする必要があります。

クロージングをおこなう際は、契約・発注をするのかを明確にし、顧客の意思確認をするとともに、次にするアクションを明確にするようにしましょう。

アフターフォロー

製造業の営業は契約後のアフターフォローもおこないます。クレームの処理なども営業の仕事です。アフターフォロー時には納品した製品に不具合はないか、改善の希望はあるかなどをヒアリングをします。

手厚いアフターフォローをすることで、新しい顧客を紹介してもらったり、継続発注に繋がったりするため、顧客からの信頼を獲得できるようなアフターフォローを心がけましょう。

製造業の営業が抱える課題とは

製造業の営業が抱える課題には下記があります。

  • 新規顧客が獲得できない
  • 売上の見通しが立てづらい
  • 属人化しやすく、育成ができていない
  • 工場や生産管理部門など他部署との対立

製造業の営業では、新規顧客の獲得ができないほか、属人化により、売上の見通しが立てづらく、個人の経験・スキルに依存しているため育成ができないなどの課題があります。

新規顧客が獲得できない

新規顧客の獲得は多くの企業が課題として抱えています。

時代の変化に伴い、顧客のニーズが多様化しているため、顧客の抱えている課題にパーソナライズした提案ができないと顧客の獲得は難しいでしょう。特にコロナ禍で対面営業が減る中で、新規顧客とどのように接点を取ればいいのか苦戦している企業も多いです。

従来は、1つの主軸商品で売上を立てる戦略をとっている企業が大半でしたが、近年では複数の商品で売上を構成する企業が増加しています。複数の商品を持つことで、提案の幅が広がり、多様化した顧客ニーズに応えやすくなるとともに、1つの商品に依存しない経営が可能です。

また、新規顧客の獲得するためには、おこなっているマーケティング施策を見直し、戦略的な営業活動をおこなうことも有効です。特にデジタルマーケティングを実施していない企業では、デジタルマーケティングを活用することで、営業人員を増やすことなく狙ったターゲットに適切なコミュニケーションを取ることができます。

製造業のWebマーケティングの戦略策定の考え方などについてはこちらで詳細に解説してますので良ければご覧ください。

製造業のWebマーケティングを成功させるための戦略・施策とは?

売上の見通しが立てづらい

製造業では業界的に売上の見通しが立てづらい傾向にあります。製造業は材料や原油などを輸入しているため、戦争や感染症、各国の経済状況などの環境要因に大きく影響されてしまう産業の1つです。

しかし、環境要因に関しては1つの企業では対策が難しいのが現実です。

一方で、内部的要因で売上の見通しが立てられないケースもあります。営業個人に売上予測を任せており、営業部門全体で受注・契約に対する進捗が可視化できていない場合も、部門全体で売上の見通しが立てづらい状況であるといえるでしょう。

後者に関してはSFA/CRMを導入し、各営業の行動を可視化し、分析結果をもとに売上予測を立てることで解消できます。

属人化しやすく、育成ができていない

製造業の営業は、個々の経験やスキルに依存しており、新人や若手社員の育成が十分にできていないという課題があります。特に中小企業の場合、属人化が強い傾向にあります。

また、製造業の営業は顧客に説明するために、自社製品や技術の十分な理解が必要です。しかし、営業が属人化していると、各個人が持つ知識やノウハウが共有されずらく、若手人材も育ちません。

ベテランの営業の知識やノウハウをを可視化・共有できる体制をつくり、どの社員も一定の成果が出せるようにセールスイネーブルメントに取り組みましょう。

工場や生産管理部門など他部署との対立

製造業において、営業と生産管理部門や工場など他部署との対立がよく見られます。

多くの製造業やメーカーでは、販売計画や生産計画を立て、その計画をもとに日々の営業・生産活動をおこないます。販売計画がそのまま生産計画と一致すれば需給調整は必要ありません。

しかし、急な増産などにより、販売計画が変更になると、人員や原材料の確保が必要になり、生産計画も崩れてしまいます。

このようなケースで、生産部門は営業の販売計画の精度の悪さに不満を感じる一方、営業は生産部門の融通の効かなさに不満を感じます。

この課題を解決するためには、営業と製造部門の連携を高め、販売計画を部門を超えて共有し、双方の視点から計画の精度を向上させることが重要です。

例えば、この課題を解決した好事例として、製造部門から営業に人員を送り込み、現実的な販売計画を検討したり、売上達成率を営業の評価にせず、販売計画の精度をKPIに設定したりするなどの事例があります。

製造業の営業が身につけるべきスキル・知識

製造業の営業が身につけるべきスキルや知識は下記です。

  • 業界知識
  • 自社製品・他社製品の知識
  • コミュニケーション力

営業の知識やスキルで受注率が大きく変わるため、製造や開発担当と比べても遜色のないレベルの知識が必要です。

業界知識

製造業の営業は、自社が属している業界だけでなく、顧客の業界についても知っておく必要があります。

顧客の属している業界の情勢や市場規模、顧客の競合相手などを把握しておくことで、顧客と対等な立場で話ができ、顧客の目線に立った提案ができます。

自社製品・他社製品の知識

営業は自社の製品はもちろん、他社製品についての知識も必要です。

自社製品がどのような技術や機械、材料を使って、どのような工程で製造されているのかを把握しておきましょう。自社製品の製造工程や保有している技術について、十分に理解していないと顧客に説明できません。

どこまでいっても製造限界を超えて製品を作ることはできませんし、納期を短くするのにも限界があります。また、時期によって稼働率は変動するため常に現場の状況を意識した提案が必要です。

そして、製造原価についての理解も重要です。顧客の要望を100%満たした上で、一定の利益が出るなら問題ないですが、多くの場合価格交渉などが発生するかと思います。その際に、先方の予算を元に値引きを意識した価格提案するためにも製造原価は理解しておく必要があります。

また、営業活動をするうえでは、自社製品が他社製品と比べてどこが違うのか、他社製品では解決できない顧客の課題を、自社製品でどのように解決できるのかを説明できる必要があります。

競合をリサーチしたうえで、自社製品の差別化ポイントを言語化しておくようにしましょう。

コミュニケーション力

営業は企業の窓口にあたる役割であるため、コミュニケーション力は必須です。

営業に求められるコミュニケーション力とは、顧客の課題を適切に把握し、その課題解決のために必要な情報を引き出す力を指します。また、顧客に自社製品の魅力をわかりやすく説明する能力も重要です。

コミュニケーション力を磨くには数をこなしたり、上司の営業に同行してトークを分析したりする方法があります。

製造業における効率的な営業方法

製造業の営業が効率的な営業活動をするには下記に留意すると良いでしょう。

  • マーケティングに注力をする
  • 営業フローを可視化してロールモデルをつくる
  • 顧客ニーズを適切に把握する
  • 他部署と連携をする

効率的な営業活動をするためには、営業部だけではなく、企業単位での取り組みが必要です。部門の垣根を超えて、マーケティングや他部署との連携を強化していく必要があります。

マーケティングに注力をする

営業の上流工程にあるマーケティングに注力をすることで、より効率的な営業活動がしやすくなります。ターゲット選定やポジショニングを明確にし、顧客ニーズの把握をすることで、自社製品やサービスにマッチしたリードを獲得しやすくなります。

新規リードのファネルの進め方として、複数のデジタルの施策を掛け合わせる施策が有効です。

まずは、SEO対策により自社製品に関連のあるキーワードからHPに流入させ、ホワイトペーパーやカタログダウンロードなどに誘導します。その後、獲得したリードに対して、メールマガジンを配信します。その後、営業が流入元のWebページの内容やリアクションのあったメールマガジンの内容を踏まえて商談をおこなうといった具合です。

有効なマーケティング施策はさまざまですが、その中でも特に、リスティング広告は非常に効率の良いマーケティングの手法であり、製造業であればまず最初に取り組んで頂きたい施策です。製造業がリスティング広告を取り組むにあたって意識して欲しい点を以下でまとめているので良ければご覧下さい。

製造業がリスティング広告を成功させるためのポイントは?メリットや成功事例も紹介

営業フローを可視化してロールモデルをつくる

属人化しやすい製造業の営業において、ロールモデルをつくることで、営業部全体の営業力の向上になります。

ロールモデルを作る際は、経験や知識のあるベテラン社員の営業フローやトークを分析し、各フェーズでのKPIを設けます。KPIを設定する際は、行動と結果の因果関係を把握しておくようにしましょう。

ロールモデルの分析をし、KPIを設定したら、実際に模倣したり参考にしたりしながら実際に営業活動をします。営業活動をする際はマネージャーが行動管理をして、KPIへの進捗確認や営業フローの改善をおこないます。

また、属人化を解消する方法として、SNSやチャットツールなどを導入する方法も有効です。SNSやチャットツールは一度に大人数に対して情報を発信できるため、各営業が持っている知識やノウハウを手軽に共有できます。

顧客ニーズを適切に把握する

営業をするうえで顧客ニーズを適切に把握することは最も重要なポイントの1つです。どれだけ自社の特性を活かした提案資料をつくっても、顧客のニーズとずれている場合、提案が採用されることはありません。

顧客ニーズを適切に把握するためには、顧客の属している業界知識や顧客の商材の理解が必要なほか、今までの営業活動の記録を元にヒアリングシートを作成するなどの方法が有効です。

特に、CRM(顧客管理システム)を導入することで、顧客の行動履歴や打ち合わせ履歴を一元管理できます。過去の行動や打ち合わせ記録からニーズを把握し、最適な提案ができるほか、複数人で動く場合や担当者が変更になった際にもスムーズな営業活動が可能です。

他部署と連携をする

営業を効率的におこなう方法の1つに、マーケティング部や製造部門など、他部署との連携を強化する方法があります。

マーケティング部が定めた戦略やマーケティング施策を理解・把握することで、自社にどのような顧客が集まりやすいのかを把握できるため、顧客のニーズに合った提案がしやすくなります。

また、製造部門との連携を強化することも効率的な営業活動にとって重要です。製造部門と連携を強化することで、適切な納期管理やスムーズなレスポンスができるようになるため、結果的に顧客満足度の向上につながり、継続発注や紹介につながる可能性があります。

まとめ

製造業の営業が抱える課題には、新規リードの獲得や売上の見込みが立ちにくいなどがあります。また、営業手法の属人化や他部署との対立などの社内環境による課題も多く見られます。

これらを解決するためには、マーケティング施策に注力したうえで、営業のロールモデルを作成し、他部署との連携を強化するなどの方法が挙げられます。

しかし、どの方法も短期的にできる方法ではないため、中長期的な目線での取り組みが必要です。

リードファクトリーでは、このような営業課題を抱えた企業様に向けて、営業・マーケティング支援をおこなっております。無料相談もおこなっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。