インサイドセールスのアポ獲得率を上げる9つの施策|トーク例と案件化を増やす方法

インサイドセールスのアポ獲得率を上げる9つの施策|トーク例と案件化を増やす方法

インサイドセールスのアポ獲得率を上げるには、トークスクリプトを直す前に、接続・会話・課題確認・アポ打診・承諾のどの工程で顧客が離脱しているかを数字で特定することが先決です。

たとえば100件架電して10件の担当者と会話し、2件のアポを得た場合、架電数に対する獲得率は2%でも、会話数に対しては20%です。このケースで見直すべきはトークではなく、リストや架電時間かもしれません。

トーク例を交えた9つの施策、しくじり事例、改善の5つの手順を順に紹介します。

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アポ獲得率はトークだけでは改善できない

インサイドセールスのアポ獲得率を上げるには、営業プロセスを「接続」「会話」「課題確認」「アポ打診」「承諾」に分け、どの工程で顧客が離脱しているかを確認します。

そのうえで、次の3点を改善していくのがおすすめです。

  • 相手企業の直近の変化をもとに、連絡した理由をつくる
  • 同じ状況の企業で起こりやすい課題を仮説として提示する
  • 日程確定後も、案件化に必要な情報を確認してフィールドセールスへ共有する

アポが取れない原因が、必ずしもトークスクリプトにあるとは限りません。

担当者につながらないのであれば、リストや架電時間を見直す必要があります。アポは取れているのに案件化しないのであれば、ターゲット選定や事前ヒアリング、フィールドセールスへの引き継ぎに改善余地があるかもしれません。

まずは数字を工程ごとに分けて、改善する場所を絞ることが大切です。

関連記事:【効果絶大】インサイドセールスのトークスクリプト作成方法を解説!

インサイドセールスのアポ獲得率とは

インサイドセールスのアポ獲得率とは、電話やメールなどで顧客へアプローチした件数のうち、どれだけ面談を獲得できたかを示す指標です。

一般的には、次の計算式で算出します。

アポ獲得率=獲得したアポ数÷アプローチ数×100

ただし、「アプローチ数」の定義によって、アポ獲得率の意味は変わります。

例えば、100件架電して10件の担当者と会話でき、そのうち2件のアポを獲得したとします。

この場合、架電数に対するアポ獲得率は2%です。一方で、担当者との会話数に対するアポ獲得率は20%になります。

「アポ獲得率2%」だけを見ると、トークに問題があるように感じるかもしれません。しかし、接続後には20%の確率でアポを獲得できているため、改善したいのはトークではなく、リストや架電時間である可能性があります。

アポ獲得率を改善する際は、分母が何かをそろえたうえで数字を比較しましょう。

関連記事:MQL(有効リード)とは?リード・SQLとの違いとCPAで見る運用のコツ

関連記事:アポCPA・MQL改善の打ち手|リードが増えてもアポが取れない理由

アポ獲得・商談実施・案件化の違い

営業組織によって用語の定義が異なるため、本記事では次のように整理します。

用語

本記事での定義

アポ獲得

顧客と営業担当者の面談日程が確定した状態

商談実施

実際に顧客との面談が開催された状態

案件化

顧客の課題や検討可能性が確認され、継続して提案する対象になった状態

受注

提案や契約手続きを経て、契約が成立した状態

インサイドセールスの成果を見る場合は、アポ獲得数だけでなく、商談実施率や案件化率も合わせて確認したいところです。アポ数が増えても案件化率が下がっているのであれば、顧客の課題や情報収集の背景を十分に確認しないまま、面談を設定している可能性があります。

インサイドセールスのアポ獲得率の平均は一律に比較できない

インサイドセールスのアポ獲得率は、顧客との接点やアプローチ方法によって大きく変わります。

例えば、次のアプローチを同じ数字で比較することはできません。

  • 問い合わせ直後の顧客への電話
  • 資料をダウンロードした顧客への電話
  • セミナーに参加した顧客への電話
  • 過去に商談した顧客への再アプローチ
  • 接点のない企業への新規架電
  • 展示会で名刺交換した顧客への電話

問い合わせをした顧客は、自社サービスへの関心が比較的高い状態です。

一方、接点のない企業への新規架電では、相手がサービスの存在を知らないところから会話を始めます。両者を同じアポ獲得率で比較しても、現場の実態を正しく評価できません。

アポ獲得率は、少なくとも次のような単位に分けて確認するのがおすすめです。

  • インバウンドとアウトバウンド
  • 問い合わせ、資料請求、セミナーなどの流入経路
  • 新規リードと過去商談リード
  • 業界や企業規模
  • 役職や担当部門
  • 顧客の検討段階
  • 全架電数と担当者接続数

市場全体の平均値だけで良し悪しを判断するよりも、自社の過去数値や流入経路ごとの数字を比較したほうが、改善箇所を見つけやすくなります。

アポ獲得率が低い原因をKPIから特定する

アポ獲得率が低い場合、いきなりトークスクリプトを作り直すのではなく、顧客がどの工程で離脱しているかを確認します。

現在の症状

見る指標

考えられる原因

主な改善策

電話をしても担当者につながらない

接続率

リスト、電話番号、架電時間、連絡手段が合っていない

リストの見直し、架電時間の変更、メールとの併用

接続してもすぐに断られる

会話化率

連絡理由が弱い、自社紹介から始めている

企業シグナルの活用、冒頭トークの改善

会話はできるが課題を確認できない

課題確認率

質問が抽象的、課題仮説が顧客に合っていない

業界・役職・事業段階別に課題仮説を用意する

ヒアリングはできるが面談を提案できない

アポ打診率

ヒアリングが長い、打診する条件が決まっていない

会話の流れと面談打診の基準を決める

面談を提案しても断られる

アポ承諾率

面談の価値や目的が伝わっていない

顧客が面談で得られる情報を具体的に伝える

日程は決まるが商談が実施されない

商談実施率

面談目的が曖昧、日程確定後のフォローが不足している

面談内容の明確化、事前案内、リマインド

商談は実施されるが案件化しない

案件化率

ターゲット選定、事前ヒアリング、ISとFSの連携が不十分

商談獲得基準と引き継ぎ項目を見直す

例えば、担当者とは会話できているものの、冒頭ですぐに断られている場合は、連絡理由を見直します。

一方、アポは獲得できているのに案件化率が低い場合は、トークの問題とは限りません。ターゲット選定や日程確定後のヒアリング、フィールドセールスへの情報連携を確認したほうがよいでしょう。

インサイドセールスのアポ獲得率を上げる9つの施策

ここからは、アポ獲得率と案件化率を改善する9つの施策を、接触前、会話中、アポ獲得後の3つに分けて解説します。

タイミング

施策

主に改善するKPI

なぜ効果があるのか

接触前

顧客の段階に応じてターゲットを分ける

会話化率、課題確認率

顧客の理解度や運用状況に合った話ができるため

接触前

「なぜ今連絡したのか」を明確にする

会話化率

自社に関係する連絡だと理解してもらいやすいため

接触前

相手企業の「今」を示すシグナルを見つける

会話化率、課題確認率

顧客の直近の変化を起点に会話できるため

会話中

“あるある課題”を仮説として提示する

課題確認率

顧客が自社の状況と照らして回答しやすくなるため

会話中

アポ獲得までの会話を4段階に分ける

アポ打診率、アポ承諾率

会話の目的と次の行動が明確になるため

会話中

顧客の行動別に商談化シナリオを用意する

アポ承諾率

顧客の関心に合った面談価値を提示できるため

アポ獲得後

日程確定後も現状と課題を確認する

案件化率

FSが顧客に合わせて商談を準備できるため

アポ獲得後

「進みやすい商談」の獲得基準を設ける

案件化率

アポの量だけでなく、商談の質も管理できるため

アポ獲得後

ISからFSへの情報連携を標準化する

案件化率、受注率

商談で確認する論点や説明内容を調整できるため

1.顧客の段階に応じてターゲットを分ける

顧客へのアプローチは、業界や従業員数だけでなく、対象となる業務や施策の成熟度に応じて変えるのがおすすめです。

同じ企業規模でも、まだ取り組みを始めていない企業と、すでに複数のツールを運用している企業では、知りたい情報が異なるためです。

顧客の段階

顧客の状態

インサイドセールスの役割

立ち上げ期

取り組みを始めていない、または始めたばかり

課題や取り組む必要性を認識してもらう

拡大期

取り組みを進めているが、成果や運用に課題がある

現在の課題を具体化する

効率化期

既存の仕組みがあり、改善や統合を検討している

改善幅や費用対効果を確認する

例えば、営業管理ツールを提案する場合、立ち上げ期の企業に細かな機能比較を説明しても、まだ話が早いかもしれません。

一方、すでにCRMを運用している企業へ一般的な課題を説明すると、「その話はすでに知っています」と思われる可能性があります。

顧客の段階を判断するために、次のような情報を確認します。

  • 現在、その業務に取り組んでいるか
  • どのような方法やツールを使っているか
  • 専任の担当者や部署があるか
  • 今後、取り組みを拡大する予定があるか
  • 現在の運用に不満を感じているか

顧客の今の状況が詳細に分かれば、使う事例や質問、提案する面談内容を変えられます。

2.「なぜ今連絡したのか」を明確にする

アプローチの冒頭では、自社サービスの紹介より先に、相手企業へ連絡した理由を伝えます。

突然電話を受けた顧客が最初に気になるのは、「なぜ自分に連絡してきたのか」だからです。

基本的な会話の流れは次のとおりです。

  1. 連絡したきっかけを伝える
  2. 相手企業との関連性を伝える
  3. 起こりそうな課題の仮説を伝える
  4. 現在の状況を質問する

例えば、営業職の採用を強化している企業には、次のように話せます。

御社が営業職の採用を強化されているのを拝見し、ご連絡しました。営業組織を拡大している企業では、案件管理や新人教育が担当者ごとにばらつくケースがありますが、御社では現在どのように運用されていますか。

あまり良くないのは、次のように自社紹介だけで始めるパターンです。

弊社は営業管理システムを提供しておりまして、御社でもお役に立てるのではないかと思い、ご連絡しました。

これでは、なぜ自分の会社へ連絡してきたのかが分かりません。

企業の変化と課題仮説をセットで伝えると、顧客に「自社に関係する話かもしれない」と感じてもらいやすくなります。

3.相手企業の「今」を示すシグナルを見つける

アポ獲得率を上げるには、顧客の社内で何らかの変化が起きているタイミングを捉えることも重要です。

接触理由として活用できる情報には、次のようなものがあります。

  • 関連職種の求人を始めた
  • 新規事業や新サービスを発表した
  • 資金調達や上場を発表した
  • 組織変更や人事異動があった
  • 新しい拠点や店舗を開設した
  • 中期経営計画で関連領域を重点施策にしている
  • 代理店やパートナーの募集を始めた
  • 過去の商談時から組織や事業状況が変わった

見つけた情報は、そのまま読み上げるのではなく、次の順番で課題仮説に変換します。

企業の変化
→業務上起こりそうな変化
→発生しそうな課題
→顧客に確認する質問

例えば、「営業担当者を複数名採用している」という情報からは、次のように考えられます。

営業担当者を採用している
→営業組織が拡大する
→教育や案件管理の負担が増える
→管理方法のばらつきが発生する可能性がある
→現在の管理方法を質問する

実際のトークにすると、次のようになります。

営業担当者の増員に合わせて、案件管理や新人教育の方法も見直されているのでしょうか。

一つの企業情報から、複数の課題仮説を考えておくこともポイントです。

営業担当者の採用からは、教育、マネジメント、CRM入力、営業プロセスの標準化、評価方法など、複数の話題を展開できます。

相手の回答に合わせて使う仮説を変えられるようにしておくと、トークスクリプトを読み上げるだけの会話になりにくくなります。

4.“あるある課題”を仮説として提示する

顧客の課題が分からない場合は、同じ業界や事業段階の企業で起こりやすい課題を仮説として提示します。

アウトバウンドで連絡する顧客は、自社サービスへの関心をまだ持っていないことが多いため、機能を説明するだけでは自分に関係する話として捉えてもらいにくいからです。

例えば、営業組織を拡大している企業には、次のように伝えられます。

同じように営業組織を拡大している企業では、担当者ごとに案件管理の方法が異なり、マネージャーが状況を把握しづらいというご相談があります。御社では、そのようなことはありませんか。

課題仮説は、次の観点から作ると整理しやすくなります。

  • 成果が上がらない
  • 顧客や担当者の活動状況が見えない
  • 情報が複数の場所に分散している
  • 業務が特定の担当者に依存している
  • 管理や集計に時間がかかっている
  • 部門間で情報を共有できていない
  • 担当者によって成果や運用品質に差がある
  • 評価基準や優先順位が曖昧になっている

ただし、顧客の課題を決めつけるのは避けたいところです。

「御社は〇〇が課題ですよね」と断定するのではなく、次のように確認します。

同じ状況の企業では〇〇が課題になりやすいのですが、御社ではいかがですか。

課題仮説の目的は、正解を当てることだけではありません。

仮説が外れていても、顧客が「当社の場合は少し違います」と説明してくれれば、その回答から現在の状況を把握できます。

5.アポ獲得までの会話を4段階に分ける

トークスクリプトは、一字一句固定するよりも、会話の目的ごとに分けて設計したほうが使いやすくなります。

段階

目的

主な内容

不信突破

警戒心を下げる

自己紹介、連絡理由、相手企業との関連性

興味喚起

話を聞く理由をつくる

企業の変化、他社事例、よくある課題

状況・課題確認

顧客の現在地を確認する

現在の体制、運用方法、課題、今後の方針

面談獲得

次の接点を設定する

面談の目的、提供できる情報、候補日

この順番は、必ず固定するものではありません。

顧客から早い段階で「一度話を聞いてみたい」と言われた場合は、先に日程を確定しても構いません。

ただし、日程が決まったからといって、状況や課題の確認を省略すると、フィールドセールスが十分な準備をできません。

会話の順番が変わっても、確認したい項目は残しておきましょう。

面談を打診するときは、単なるサービス説明ではなく、顧客にとっての面談目的を伝えます。

お話を伺う限り、営業担当者の増加に合わせて、案件管理や教育方法を見直す必要がありそうです。同じような企業の事例を交えながら、現在の運用で改善できそうな部分を30分ほど整理しませんか。

「サービスを紹介する時間」ではなく、「自社の状況を整理できる時間」として提示すると、面談を受ける理由が生まれます。

6.顧客の行動別に商談化シナリオを用意する

顧客から問い合わせや依頼があった場合は、その内容に回答するだけでなく、行動の背景にある関心を確認します。

例えば、セミナーに申し込んだものの参加できず、「アーカイブ動画を送ってほしい」と連絡してきた顧客がいたとします。

共催セミナーなどの事情で動画を個別に提供できない場合、断るだけで会話を終える必要はありません。

共催セミナーのため、アーカイブデータを個別にお送りすることが難しく、申し訳ございません。その代わり、セミナーでお伝えした内容を、御社の現在の状況に合わせて個別にご説明することは可能です。一般的なセミナー内容よりも具体的なお話ができると思いますが、30分ほどお時間をいただくのはいかがでしょうか。

これは、情報を渡せないことを商談の口実にするものではありません。

顧客が求めていた情報の代わりに、より自社の状況に合った情報を提供することがポイントです。

顧客の行動

想定される関心

商談化の切り口

セミナーを欠席した

テーマには関心がある

セミナー内容を自社に当てはめて説明する

アーカイブを希望した

より詳しい情報を知りたい

要点の説明と課題のディスカッションを提案する

資料をダウンロードした

課題について情報収集している

資料の補足と他社事例を紹介する

料金ページを閲覧した

費用感を確認している

条件別の費用や投資対効果を説明する

導入事例を閲覧した

自社に近い事例を探している

同業界や同規模の事例を紹介する

過去に商談した

一度は課題を認識していた

前回の商談から変化した点を確認する

問い合わせ後に止まった

関心はあるが優先度が下がった

検討が止まった理由を確認する

顧客の行動ごとに、「何を確認するか」「どのような価値を伝えるか」「どう面談を打診するか」を決めておくと、担当者の経験だけに頼らず対応できます。

7.日程確定後も現状と課題を確認する

面談の日程が決まった後は、商談内容を変える可能性がある情報を2〜3点確認します。

日程が確定すると、顧客の意識が「営業電話を受けている状態」から「面談の準備をしている状態」へ変わり、追加の質問にも答えてもらいやすくなることがあるためです。

次のように前置きすると自然です。

当日のお話を御社の状況に合わせて準備したいため、あと2点だけ伺ってもよろしいでしょうか。

確認できる情報には、次のようなものがあります。

  • 相手の役職と担当業務
  • 現在の取り組み状況
  • 使用しているツールや運用方法
  • 現在感じている課題
  • 情報収集を始めた背景
  • 過去に類似サービスを利用した経験
  • 面談で特に知りたいこと
  • 面談に参加するメンバー

すべてを一度の電話で確認する必要はありません。

特に優先したいのは、次の3点です。

  1. 類似サービスの利用経験
  2. 情報収集を始めた背景
  3. 面談で知りたい内容

この3点が分かれば、フィールドセールスは基礎説明に使う時間や、商談で重点的に確認する内容を調整できます。

例えば、顧客が過去に類似サービスを使っていた場合は、サービスの一般的な説明を短くし、以前との違いや現在の課題を中心に話したほうがよいでしょう。

日程確定後の数問が、商談当日の進め方を大きく変えることがあります。

8.「進みやすい商談」の獲得基準を設ける

アポ件数だけをKPIにすると、面談は増えても、案件化や受注につながらないケースが増えることがあります。

そこで、自社にとって進みやすい商談の条件を整理しておきます。

進みやすい商談には、次のような特徴があります。

  • 自社が支援できる課題を抱えている
  • 課題が売上や生産性などの事業指標に関係している
  • 情報収集を始めた理由がある
  • 関連する施策をすでに実施している
  • 今後の計画や期限がある
  • 社内で検討を進められる立場にいる
  • 必要に応じて責任者や決裁者を巻き込める

一方、次のような商談は、すぐには案件化しにくい可能性があります。

  • 個人的な興味だけで情報収集している
  • 課題や目的が明確になっていない
  • 会社として対象領域を重視していない
  • 自社では対応できない要望が中心になっている
  • 面談後に社内の関係者を巻き込めない
  • 自社の支援対象となる企業から大きく外れている

ただし、役職だけで一律に判断する必要はありません。

担当者が強い課題意識を持っている場合は、責任者を交えた勉強会や、関係部署を含めた面談を提案することで、案件を前に進められることがあります。

商談獲得基準は、面談を断るためだけのものではありません。

「何の情報が不足しているか」「どの関係者を巻き込めば前に進みやすいか」を判断するためにも活用できます。

9.ISからFSへの情報連携を標準化する

インサイドセールスからフィールドセールスへ共有する情報は、担当者任せにせず、CRMなどの入力項目として統一します。

インサイドセールスが丁寧にヒアリングしていても、情報がフィールドセールスへ伝わらなければ、商談では活かされないためです。

項目

確認・共有する内容

接触のきっかけ

求人、セミナー、資料請求、過去商談など

相手の役割

役職、担当業務、社内での立場

現在の状況

体制、運用方法、使用ツール

感じている課題

困っていること、改善したいこと

課題による影響

売上、コスト、工数、機会損失

情報収集の背景

なぜ今調べているのか

類似サービスの経験

利用経験、理解している機能や運用

検討条件

導入時期、予算、必要な機能

関係者

利用者、責任者、決裁者

面談への期待

当日確認したいこと

特に確認したいのは、次の3点です。

  • なぜ今、情報収集しているのか
  • 現在の状態から何を変えたいのか
  • 誰が検討や意思決定に関わるのか

インサイドセールスが、予算や導入時期をすべて確定させる必要はありません。

フィールドセールスが「商談で何を深掘りするか」「どの説明を省くか」「誰を巻き込む必要があるか」を判断できる状態まで共有することが大切です。

しくじり事例|サービスを知っている顧客に基本説明から始めてしまった

ある商談で、顧客が過去に競合サービスを利用していたことがありました。

顧客はシステムの基本的な仕組みを理解しており、以前利用していたときから機能がどの程度変わったのか、現在の会社で導入する場合はいくらになるのかに関心を持っていました。

条件が合えば、具体的な導入検討に進む可能性のある顧客です。

しかし、インサイドセールスからフィールドセールスへ共有されていた情報は、次の内容だけでした。

以前、類似サービスの話を聞いたことがある。

そのため、フィールドセールスは通常どおり、サービスの基本的な仕組みから説明を始めました。

すると、顧客から早い段階で次のように言われました。

仕組みは知っているので、基本的な説明は不要です。

そこから顧客の現在の運用や課題を確認し直しましたが、商談時間の一部をすでに使っていました。

結果として、次のような案件化に必要な情報を十分に深掘りできませんでした。

  • なぜ今、改めて情報収集しているのか
  • 過去に利用していたときから何が変わったのか
  • 現在、どの業務に負担がかかっているのか
  • 何を実現できれば導入を検討できるのか
  • どの程度の費用であれば検討できるのか
  • 誰が導入の判断に関わるのか

しくじりの原因

顧客が「類似サービスを知っている」という事実だけが共有され、どのサービスを、どの立場で、どこまで利用していたのかが共有されていませんでした。

「話を聞いたことがある」のか、「日常的に利用していた」のかでも、顧客の理解度は大きく異なります。

商談への影響

フィールドセールスが基本説明から始めたことで、顧客が本当に知りたかった機能の変更点や料金、現在の課題を確認する時間が少なくなりました。

また、顧客から見ると、「事前に伝えた内容が共有されていない」と感じる可能性もあります。

改善したいこと

類似サービスの利用経験を確認する際は、「利用経験あり」という選択項目だけで終わらせず、次の情報まで確認します。

  • 過去に利用していたサービス
  • 利用していた時期
  • 当時の役職や立場
  • 実際に利用していた機能
  • 理解している仕組みや運用方法
  • 当時解決していた課題
  • 現在の会社と以前の会社の違い
  • 今回の面談で知りたい内容

これらが共有されていれば、フィールドセールスは次のように商談を始められます。

現在は限られた人数で複数の取引先を管理されているとのことでしたので、活動状況の把握や対応の優先順位づけに課題があるのではないかと考えています。本日は、現在の運用を伺ったうえで、以前ご利用されていたときから変わった点と、御社で活用する場合の運用方法を中心にお話しできればと思います。

改善前と改善後

改善前

改善後

「類似サービスを知っている」とだけ共有

サービス名、利用時期、当時の役割まで共有

顧客の理解度が分からない

理解している機能や運用方法を共有

面談で知りたいことが不明

機能の変更点と料金を知りたいと共有

FSが基本説明から始める

現在の運用と課題の確認から始める

ヒアリング内容が担当者ごとに異なる

CRMの入力項目として統一する

この事例から分かるのは、顧客がサービスを理解していることと、営業側が顧客を理解していることは別だという点です。

インサイドセールスの役割は、単に面談日時を決めることではありません。顧客の状況を把握し、フィールドセールスが顧客に合わせた商談を準備できる状態で引き渡すことが重要です。

アポ獲得率を改善する5つの手順

アポ獲得率を改善するときは、一度にリストやトーク、ヒアリング項目をすべて変更しないようにします。

複数の要素を同時に変えると、どの施策が数字に影響したのか分かりにくくなるためです。

1.数字を工程別に集計する

まずは、次の数字を確認します。

  • アプローチ数
  • 担当者との接続数
  • 会話を継続できた件数
  • 課題を確認できた件数
  • アポを打診した件数
  • アポを獲得した件数
  • 実施された商談数
  • 案件化した件数

すべての数字を取得できない場合は、接続率、アポ獲得率、案件化率から始めても構いません。

2.最も離脱が大きい工程を特定する

接続率が低いのか、会話化率が低いのか、アポ承諾率が低いのかによって、改善策は異なります。

「アポ獲得率が低いからトークを変える」と決めず、数字をもとに改善箇所を選びます。

3.変更する内容を一つに絞る

例えば、会話化率が低い場合は、冒頭の連絡理由だけを変更します。

課題仮説、質問、面談の打診方法まで同時に変更すると、どの変更が効果につながったのか判断しにくくなります。

4.変更した箇所に近い指標を比較する

冒頭トークを変更した場合は、アポ獲得数だけでなく、接続後に会話を継続できた割合を確認します。

日程確定後のヒアリング項目を変更した場合は、案件化率やフィールドセールスからの評価を確認します。

施策に近い指標を見ることで、改善の効果を判断しやすくなります。

5.フィールドセールスからフィードバックを受ける

アポ獲得率が上がっても、案件化率が下がっていれば、良い改善とは言いにくいでしょう。

フィールドセールスには、次のような内容を確認します。

  • 事前情報は商談準備に役立ったか
  • 顧客の課題と商談内容は合っていたか
  • 顧客の理解度を把握できていたか
  • 面談の期待値にずれはなかったか
  • 事前に確認してほしかった情報は何か

アポ獲得数と商談品質の両方を見ながら、インサイドセールスとフィールドセールスで改善を続けていくことが大切です。

インサイドセールスのアポ獲得に関するよくある質問

インサイドセールスのアポ獲得率を上げるには、何から改善すればよいですか?

最初に、アポ獲得までの工程を接続率、会話化率、課題確認率、アポ承諾率に分けてください。

接続できていない場合は、リストや架電時間を見直します。接続しても会話が続かない場合は、冒頭の連絡理由や課題仮説を確認します。

アポは取れているものの案件化しない場合は、ターゲット選定や日程確定後のヒアリング、フィールドセールスへの情報連携を見直します。

インサイドセールスのアポ獲得率の平均は何%ですか?

アポ獲得率は、問い合わせ、資料ダウンロード、セミナー参加、新規架電など、顧客との接点によって大きく変わるため、一律の平均値だけで判断するのはおすすめできません。

インバウンドとアウトバウンド、流入経路、担当者接続前と接続後を分け、自社の過去数値と比較する方法が現実的です。

トークスクリプトは統一したほうがよいですか?

基本的な会話の流れと確認項目は統一しつつ、顧客の業界、役職、検討段階、行動に応じて内容を変える方法がおすすめです。

全文を一字一句固定するのではなく、複数の課題仮説や質問の中から、顧客に合うものを選べる設計にします。

顧客の課題が分からない場合はどうすればよいですか?

同じ業界、企業規模、役職、事業段階の企業で起こりやすい課題を仮説として提示します。

ただし、課題を断定せず、次のように確認します。

同じ状況の企業では〇〇が課題になりやすいのですが、御社ではいかがですか。

仮説が外れていても、顧客が違いを説明してくれれば、現在の状況を把握できます。

アポ獲得後には何をヒアリングすればよいですか?

顧客の現在の運用、情報収集を始めた背景、類似サービスの利用経験、面談で知りたい内容を優先して確認します。

フィールドセールスが商談内容を変える可能性がある情報から質問することがポイントです。

アポは取れているのに案件化しないのはなぜですか?

ターゲットとなる顧客の選定、商談獲得基準、日程確定後のヒアリング、フィールドセールスへの情報連携に原因がある可能性があります。

顧客の課題や検討背景が曖昧なまま面談を設定していないか、商談前に必要な情報が共有されているかを確認しましょう。

ISからFSへ何を引き継げばよいですか?

接触のきっかけ、顧客の役割、現在の運用、課題、情報収集の背景、類似サービスの利用経験、検討条件、関係者、面談で知りたい内容を共有します。特に、「なぜ今なのか」「何を変えたいのか」「誰が意思決定に関わるのか」が重要です。

まとめ

インサイドセールスのアポ獲得率を上げるには、トークスクリプトだけでなく、ターゲット選定からフィールドセールスへの情報連携まで、一連のプロセスを見直す必要があります。

特に意識したいのは、次の3点です。

  • 相手企業の「今」に関係する連絡理由をつくる
  • よくある課題を仮説として提示し、顧客の現在地を確認する
  • アポ件数だけでなく、案件化しやすい商談を増やす

また、セミナーの欠席や資料ダウンロードなど、顧客の行動ごとに商談化シナリオを用意しておくことで、これまで見逃していた接点も活かしやすくなります。

面談日程を確定することをゴールにせず、顧客がなぜ情報収集を始めたのか、何を変えたいのか、商談で何を知りたいのかまで確認しておきましょう。

インサイドセールスの役割を、「アポを取ること」から「フィールドセールスが顧客に合った商談をできる状態をつくること」まで広げることで、アポ獲得率だけでなく、案件化率や受注率の改善にもつながります。

株式会社リードファクトリーでは、BtoB企業向けに、インサイドセールスの立ち上げや運用支援、トークスクリプトの設計、リード獲得から商談化までの改善を支援しています。

アポ獲得数だけでなく、案件化につながる営業プロセスを整えたい企業様は、お気軽にご相談ください。

WRITTEN BY

株式会社リードファクトリー 代表取締役 遠藤由規

代表取締役

一橋大学商学部を卒業後、ENEOS株式会社に新卒入社。その後、日本最大級の屋内型エンターテインメント施設 「アートアクアリウム美術館」の立ち上げに新規事業責任者として参画。2021年よりベンチャー支援のSOICO株式会社にて マーケティング・インサイドセールス責任者を務め、PHC株式会社ではAPACの海外BtoBマーケティング立ち上げに従事。 2023年5月、株式会社LEAD FACTORY.を創業。BtoBマーケティング・インサイドセールスの実務知見をもとに、 スタートアップから大企業まで幅広い規模の事業成長を支援している。

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