「展示会に出展してみたいけど、出展の仕方がわからない」
「そもそも展示会ってどんなメリットがあるの?」
このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
コロナウイルスの流行が落ち着いた2023年以降、BtoBのマーケティング戦略として、オフラインの展示会が注目されています。展示会で得られるメリットは多数ありますが、準備が不十分だと期待した効果は得られません。
そこで、本記事では、下記について解説します。
- BtoBマーケティングにおける展示会とは
- 展示会へ出展する目的・メリット
- 展示会の出展費用
- 展示会への出展手順
展示会への出展を検討されている方や展示会を成功させたい方は、この記事をぜひ参考にしてください。
BtoBマーケティングにおける展示会とは
BtoBマーケティングの展示会とは、特定のテーマや業界に特化した企業やメーカーが自社のサービス・商品を広め、見込み顧客を獲得する目的で開催されます。
展示会の開催場所は、関東なら東京ビッグサイト・パシフィコ横浜、関西ではインテックス大阪などがよく使用されます。展示会1回あたりの来場者数は、会場の規模によって数千人~1万人以上と変動します。
来場者のほとんどは業界や分野に関わっているため、展示会はBtoBマーケティングにとって重要な「つながり」をつくったり、強めたりする場になります。また自社のサービスや商品を広めるだけでなく、顧客のリサーチや競合他社の販売戦略を知る機会ともいえるでしょう。
展示会へ出展する目的・メリット
展示会への出展を検討する場合、まずは出展目的を明確にしましょう。設定すべき目的は各社の状況に応じて大きく異なります。目的として代表的なものは以下の4つです。
- 新規リードの獲得
- 既存顧客との接点の強化
- 新しいニーズの発掘
- 自社や自社商品の認知度向上
また、展示会に出展する際は、目的を達成できたか、出展によって何が得られたかを判断する指標の設定も欠かせません。それぞれの目的における出展のメリットと指標の決め方について解説します。
新規リードの獲得
BtoBマーケティングにおける展示会への出展の目的の1つが新規リードの獲得です。
展示会はジャンルや業界を絞って開催されます。来場者は事前に目星を付けた企業だけでなく、同じ業界のトレンドを掴むためや、目的に類似したサービスを提供している企業を探すために、複数の企業のブースを訪れます。そのため、BtoB向けの展示会は自社にマッチした見込み客を獲得できる機会になります。
リード獲得の指標には、名刺などの連絡先の獲得数を設定すると分かりやすいでしょう。展示会が3日間に分けて開催される場合、自社社員1人が1日に獲得する名刺、または名刺情報に代わる来場者カードに記載されたバーコードの数を明確に設定できます。
関連記事:BtoBのリード獲得施策一覧|8施策のメリット・デメリットも解説
既存顧客との接点の強化
既存顧客を展示会に招待することで、接点の強化につながります。展示会はBtoBマーケティングの中でも、自社の表立った活動を示し、信頼を得られる数少ない施策です。
展示会は商談に比べて砕けた場であるため、これまで聞き出せなかった既存顧客の課題や真のニーズを引き出せる可能性もあります。
ただし、既存顧客が来場するかどうかは顧客次第のため、普段から関係性を築いておくことが重要です。指標の設定については、新規リードに比べ数値化が難しいため、招待した既存顧客のうち来場してくれた顧客の来場率にとどめても良いでしょう。
関連記事:リードナーチャリングとは|基礎知識から具体的な手順・施策を解説
新しいニーズの発掘
展示会には多くの来場者が訪れるため、自社で想定している顧客層や活用方法とは異なる新たなニーズの発掘ができる場合もあります。
新しいニーズを発掘するには、新規リードや既存顧客との交流だけでなく、ブースを訪れてくれた来場者とコミュニケーションをはかり、顧客ニーズの深掘りが不可欠です。なぜ興味を持ってくれたのか、どんな問題を抱えているのかを詳細に聞き出します。
BtoB向け商品の購買目的は課題解決です。想定外の顧客が持つ課題を解決できれば、新たな自社商品のニーズがある新たな顧客層を発掘できる可能性があります。
また、展示会で来場者のニーズ発掘をする際は、アンケートを事前に用意しておきましょう。展示会では多くの来場者の対応をしなければならないため、じっくりと考える時間はほとんどありません。アンケートを用意しておくことで、来場者の属性や悩みを可視化して記録に残せるため、後日、分析やアプローチをする際や、社内に共有する際にも役立ちます。
自社や自社商品の認知度向上
展示会では、数多くの来場者の目に触れるため、認知度向上も期待できます。しかし、認知度向上を目的とする際はいくつかの工夫が必要です。
特に規模の大きな展示会では、認知度向上を目的に各社がさまざまな施策を考えて出展しているため、その中で来場者に自社名やサービス名を覚えてもらう必要があります。
自社名やサービス名を、より多くの来場者に覚えてもらう際には下記のことに留意しましょう。
- 来場者の目に留まるブース設計をする
- 来場者の気を引くキャッチコピーを考える
- 自社や自社商品が端的にわかるキャッチコピーを考える
- ノベルティを用意する
- コンパニオンを呼ぶ
認知度の向上を目的に出展する際は、自社商品や自社のサービスをできるだけ分かりやすく伝え、来場者に覚えてもらう工夫が必須です。目標達成の指標は、計測ができる場合はブース来場者数に設定し、計測が難しい場合は、新規リード同様に名刺やバーコードを使用するか、アンケートへの回答数とすると良いでしょう。
BtoB企業の展示会への出展費用|150〜200万円が相場
展示会には出展料以外にもさまざまな費用がかかります。BtoB企業向け展示会に必要な費用と相場は以下の通りです。
費用項目 | 相場 | 概要 |
出展費 | 20~70万円 | 1小間(3m×3m)ごとの費用 |
ブース施工費 | 10~60万円 | ブースの床・壁の設置や電気工事、搬入・搬出などのブース設置にかかる費用 |
ブース装飾費 | 20万~100万円 | パネルや壁の製作・デザインの費用 |
集客・広告費 | 10万~100万円 | Web広告や案内状の製作・送付費用など。ホームページ制作費を含めると金額が大きくなる |
当日運営費 | 1日あたり5万~ | 当日ブースに立つスタッフを外注する場合の人件費、出張費等 |
出展費やブース施工費は必須ですが、ブースデザインや広告などは予算に合わせて設定します。搬入する大型の機材がない場合、小間数よりも展示会の動線から、来場者の目に留まりやすい位置を選ぶ方が効果的です。
BtoB企業が展示会へ出展するまでの手順
BtoB向けの展示会へ出展するために必要な手順は以下の通りです。
- 出展する展示会を探す
- 出展計画を立てる/目標設定をする
- 予算を決める/成果をシミュレーションする
- 出展の申し込みをする
- 小間サイズ・小間位置を選ぶ
- ブース・運営に必要なものを準備する
- 事前集客をおこなう
展示会を成功させるため、それぞれのタイミングで必要な準備と押さえるべきポイントを解説します。
出展する展示会を探す
自社に合っていない展示会に出展しても、BtoBマーケティングの効果はありません。自社に合ったBtoB向け展示会を見極めるポイントは2つです。
- 自社商品・サービスの分野を扱うBtoB向け展示会
- 顧客が属する業界のBtoB向け展示会
商品・サービスの競合他社が出展している展示会があれば、その展示会の来場者は顧客につながる可能性が高いと考えられます。自社と同じ業界の展示会が少ない場合、自社商品・サービスを購入してくれる顧客が出展する展示会も候補として検討ができます。
また、出展する展示会は以下の方法で検索できます。
- 日本貿易振興機構JETRO(ジェトロ)
- BtoBプラットフォーム(業界チャネル)
- 見本市展示会総合ハンドブック
JETROやBtoB向けのプラットフォームでは、業界・地域を選択して全国各業界の法人向け展示会を検索できます。見本市展示会総合ハンドブックは有料の冊子で、月別・都市別・業種別・50音順に展示会が紹介されています。
出展計画を立てる/目標設定をする
出展する展示会を決めたら、費用や準備期間の計算などの具体的な計画が必要です。
社内の手続きだけでなく、ブース設営やデザインを外注する際は、申込期限や製作期間の確認も必要です。また、展示会当日はブースの運営・接客をする人員も必要になるため、出展計画の段階で社内リソースの確認もする必要があります。
BtoBマーケティングにおける展示会の目標設定は、成果報告の際に社内で共有する情報として、定量的に設定します。事前に設定した出展目的を定量的な指標と数値に落とし込みましょう。
予算を決める/成果をシミュレーションする
展示会に出展する際は必要な費用に見合った成果が得られるか、具体的にシミュレーションし、予算を決めましょう。
たとえば、展示会で獲得した新規リードから10件受注することを目的とした場合をシミュレーションします。
- 受注率50%の場合、20件のアポが必要
- アポ率が50%の場合、40件の見込み顧客を獲得が必要
- 見込み顧客率が10%であれば400件のリード獲得が必要
つまり、展示会出展の目的達成には400件のリード獲得が必要となります。3日間の展示会であれば1日133件のリード獲得が目標です。
出展予算を決める際は、現実的なリード獲得数や自社の商材単価から出展予算を逆算し、費用対効果を見極める必要があります。展示会の目的に沿った指標を目標値とし、具体的に必要な人員・設営・資材・広告の予算を立てます。
しかし、展示会の規模や開催時期によって来場者数が変わるため、目標や計画が現実的に達成可能であるかは、出展する展示会の情報と併せて検討してください。
出展の申し込みをする
出展したい展示会には、可能であれば1年前、遅くとも半年前には申し込みしましょう。定例開催されている展示会の場合、開催期間中に翌年のブース申込を受け付けている場合があります。
BtoB向けの展示会は準備に時間がかかります。自社ですべて準備することも可能ですが、展示会を成功させるためには、手順を把握しているブース施行の専門会社への依頼も有効です。
また、ブース施工を外注し、自社で対応が必要な事前プロモーションや既存顧客へ送る招待状の準備に注力すれば、成功率も上がるでしょう。
小間サイズ・小間位置を選ぶ
小間サイズは商品・サービスをアピールするために必要なスペース、また出展の目的に合わせて選ぶ必要があります。自社商品・サービスを見せるために大きな機械が必要な場合や、セミナーや商談のスペースを確保したい場合は、2〜3小間が必要な可能性があります。
初出展の場合は、イメージしにくい部分も多いため、ブース装飾の専門会社がホームページに掲載している実例を参考にすると良いでしょう。
また、小間位置も展示会の結果に大きく影響します。展示会は多くの人の目に触れることも重要な要素であるため、来場者が多く通る場所を選びましょう。
展示会場の主要動線沿いにブースを出展できると、より多くの来場者の目に留まる可能性が高くなります。
ブース・運営に必要なものを準備する
ブース設営と当日運営の準備は展示会を成功させるうえで欠かせません。ブース・運営に必要な準備内容は以下の通りです。
これから出展に向けて社内で相談する場合はもちろん、ブースの施工・デザインの外注先との擦り合わせにもご活用下さい。
【ブース装飾に必要なもの】
呼び込みからブースを出るまでの動線を設計します。名刺交換やアンケートの回収場所などを決めておくとスムーズです。
- ブースの出入口などの動線設計
- デザインパネルなどの装飾(商品パネル、プロモーション動画など)
- 商品と展示台(実際の商品、サービスのデモ動画、解説パネル)
- 来場者との交流場所
- 商品・サービスを紹介するパンフレットやチラシなど
- アンケート
- ノベルティや景品
【当日の運営に必要なもの】
運営に必要な備品や要素は下記の通りです。資材や人員の事前準備から当日の動きまで具体的に決定しましょう。
- 当日のタイムテーブル
- 受付の設置(設置する場合は受付の仕事も決める)
- 担当者と必要な人数を決める(呼び込み、アンケート、名刺交換、商談対応など)
- リード獲得の方法(バーコードリーダー、または名刺交換)
- 服装・衣装
- 運営に必要な書類(運営マニュアル、備品リスト、運営スタッフ・シフトなど)
- ストックの把握(倉庫の場所や配布物の保管場所など)
【セミナーやプレゼンをする場合に必要なもの】
展示会でセミナーやプレゼンをする場合に必要な準備と注意点です。
- 時間割の作成と掲示
- 視聴方法(着席/立ち見)
- 使用機材の確認(パソコン、プロジェクター、投影機、マイクなど)
- 発表開始前の呼び込み方法と人員の確保
- 呼び込み後の動線と人員の確保
- リハーサル(発表者、機材、場所などできるだけ本番同様に行う)
これから出展に向けて社内で相談する場合はもちろん、ブースの施工・デザインの外注先との擦り合わせにもご活用下さい。
事前集客をおこなう
展示会自体にも集客力はありますが、自社のターゲットとなる顧客層とは限りません。展示会成功のためには既存顧客を含め、事前集客が不可欠です。BtoB向け展示会への集客方法と連絡時期は以下の通りです。
- 招待状を贈る
特別な待遇でご来場いただきたい方に向け、高級感のある招待状を使用した案内を送ります。展示会の2ヵ月前に届くように調整しましょう。
- メールで案内する
プロモーションとしてメールを利用する場合は、開催までに複数回案内を送っても問題ありません。1ヵ月前、1週間前、前々日、前日と展示会の日付が近づくにつれてメールの頻度を上げます。
「展示会に行った」という共通言語は、顧客との信頼関係に直結するため、新たな商談のチャンスにもつながります。事前の案内で展示会に足を運んでくれた顧客には、展示会後に必ずお礼の連絡をしましょう。
BtoB企業が展示会へ出展した後のアフターフォローと効果計測
展示会へ出展した際は、出展して終わりにするのではなく、必ず顧客へのアフターフォローと効果測定をおこないましょう。
展示会へ出展した後に、おこなうべきことは下記の3つです。
- 展示会で集めた名刺やリード等の情報をマーケティング活動に活かせるように集計する
- それぞれの獲得リードに対してアプローチを実施する
- 展示会で獲得したリードからの成約状況を確認するなど効果計測を実施する
展示会で多くのリストを獲得したとしても、顧客へのアフターフォローをしなければ、成約につながることもないでしょう。
また、展示会の結果を計測・分析することで、これからのマーケティングに活かし、より効果的な施策やアプローチが可能になります。
展示会で集めた名刺やリード等の情報をマーケティング活動に活かせるように集計する
展示会で集めた名刺やリードの情報を、今後のマーケティング活動に活かせるように、整理して集計しましょう。
獲得した情報は、SanSanなどの名刺管理ツールなどを利用して整理し、MAツールやCRMツールにもインポートしておきましょう。
リードの情報を集計する際は、どのような分類・活用をするのかを事前に決めておくことが、非常に重要です。
それぞれの獲得リードに対してアプローチを実施する
展示会で獲得したリードを集計・整理したら、獲得したリードに対してアプローチをおこないます。
リードにアプローチをする際は、やみくもにアプローチするのではなく、顧客の検討状況に合わせて、効果的なアプローチをすることが重要です。
リードの検討状況とアプローチの例は下記の通りです。
顧客の検討状況 | アプローチ方法 |
商談に進みそうなリード | 営業へトスアップし、営業からアプローチ |
ホットリード | アポイントメントの打診 |
情報収集段階 | メルマガやホワイトペーパー等のコンテンツの案内 |
このように、顧客の検討状況を把握したうえで、それぞれに合ったアプローチ方法をおこないましょう。
展示会で獲得したリードからの成約状況を確認するなど効果計測を実施する
最後に、展示会で獲得したリードの成約状況や、費用対効果などの効果測定を実施します。展示会へ出展した際は、出展して終わりにするのではなく、必ず効果測定までをセットでおこなうようにしましょう。
例えば、効果測定では下記のようなことを確認しましょう。
- 展示会で獲得したリードが成約までたどり着いたか
- 展示会への出展の費用対効果は合っているか
- 事前に立てたシュミレーションと結果の齟齬はないか
- 自社のペルソナとマッチしているリードの獲得ができたか
効果測定をおこなう時点で、成約数が少なく、費用対効果が合ってなかったとしても、時間差で成約したり、今後、リードとして活用できたりするため、総合的に判断を下すことが重要です。
また、効果測定をおこなうことで、次の展示会に出展するのか、別の施策をおこなうのかなど、定量的に判断ができるため、合理的なマーケティング活動をおこなうことができます。
まとめ
BtoBマーケティングにおける展示会への出展メリットと、出展前に押さえたい具体的な出展手順について紹介しました。展示会を成功させるには、目的と目標となる指標の設定が必要不可欠です。
リードファクトリーでは、BtoB企業の展示会出展を含め、集客に関する無料相談を受け付けています。初めての展示会で何から始めればよいか迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。