リードナーチャリングとは|基礎知識から具体的な手順・施策を解説

リードナーチャリングは現代のマーケティングにおいて必要不可欠です。リードナーチャリングをおこなうことによって、商談化率の改善や営業リソースの最適化に役立ちます。

リードの獲得はできているが、なかなか商談化できない企業や、リード数が多く営業がリードのフォローをしきれていない企業はぜひリードナーチャリングに取り組んでみてください。

またリードナーチャリングについて、YouTubeでも解説していますので是非ご参照ください。

リードナーチャリングとは|リードの購買意欲を高めるためのマーケティング活動

リードナーチャリングとは、マーケティング活動の一環で、リードの購買意欲を高めるためにおこないます。

時間をかけて潜在的なリードとの関係性を構築することで、自社商品やサービスに興味関心を抱き、最終的には購買や契約をすることを目的としています。リードとの関係性を構築するには、適切なタイミングで適切なアプローチをすることが重要です。

リードジェネレーションとの違い

リードナーチャリングと混同される言葉に、リードジェネレーションという言葉があります。リードジェネレーションとは、リードナーチャリングの前におこなうもので「見込み客を獲得する活動」のことです。

リードジェネレーションの具体的な手法としては、Web広告やコンテンツマーケティング、セミナーや展示会への出展などが挙げられます。リードジェネレーションで集めた顧客に対して、リードナーチャリングをおこない、商談や契約につなげていきます。実際のBtoBマーケティングにおける施策一覧はこちらで解説しています。

BtoBマーケティングの施策一覧|ポイントや成功事例も紹介

リードナーチャリングが重要な理由

リードナーチャリングが重要視される背景には、下記の理由があります。

  • 検討の長期化
  • 興味関心の薄いリードの増加
  • 長期的なリードのフォローによる差別化

以前はテレビ・新聞・雑誌・ラジオが4大メディアと呼ばれており、人々の購買行動に大きな影響を与えていました。この時代はAIDMAと呼ばれる購買行動のプロセスが一般的でした。AIDMAは、Attention(認知)・Interest(興味)・Desire(欲望)・Memory(記憶)・Action(購買)の4つの頭文字を取ったものです。

しかし近年、インターネットの普及で人々の購買行動のプロセスはAISASに変化しました。AISASは、Attention(認知)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(購買)・Share(共有)の頭文字を取ったものです。

人々の購買プロセスに「検索」や「共有」が組み込まれたことで、顧客は自分自身で情報を取得し、判断するようになったため、購買情動のプロセスが多様化・長期化しています。インターネットが普及した現代において、顧客に選ばれ、購入してもらうためにリードナーチャリングは非常に重要視されています。

検討の長期化

近年、インターネットの普及による購買プロセスの多様化により、商品の購入・契約までの検討期間が長期化しています。この検討の長期化に対応するため、リードナーチャリングをおこない、長期的にリードと接点を保つことが重要です。

以前は情報を得る手段が少なく、顧客の検討材料が少なかったため、検討期間が短い傾向にありました。しかし、現在はインターネットを通じてWebサイトやSNSで欲しい情報がいつでも手に入るようになりました。

これにより、顧客は自分自身で情報を検索し、比較検討するようになったため、検討期間の長期化が進んでいます。また、法人の場合は企業規模が大きくなればなるほど、稟議や決済の承認が必要であるため、検討が長期化する傾向にあります。

興味関心の薄いリードの増加

インターネット広告を通じてより広い層にまでリーチが可能になったことや、企業間の競争が激化したことにより、企業はより多くのリードを獲得するようになりました。その結果購入検討段階のリードだけではなく、興味関心が薄いリードの数も増加しました。興味関心が薄いリードは購入や契約などのアクションにつながるまでに時間がかかります。

昨今では、Web広告のほか、ホワイトペーパーやウェビナーなど、さまざまな手段でリードを獲得できるようになりました。

しかし、獲得したリードがすべて営業活動に値するリードというわけではありません。自社の製品やサービスを知ったばかりで情報収集段階のリードも多く含まれています。

このような興味関心の薄いリードに対しては、リードの段階に応じて中長期的にアプローチをすることで、関係性を構築していく必要があります。

長期的なリードのフォローによる差別化

自社の他に競合他社がいる場合は、自社の製品・サービスを顧客に選んでもらう必要があります。競合他社との差別化をおこなううえでも、長期的なフォローが必要です。

長期的なリードのフォローをおこなうことで、競合他社との差別化になるだけではなく、顧客満足度やLTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上にもつながります。

重要なのは見込み顧客が自社の商品を再検討するタイミングをキャッチすることです。長期的にコンテンツを提供することで、自社を想起してもらう確率を上げつつ、再検討のタイミングで商談を提案できれば受注の確度はグッと上がります。

インサイドセールスにおけるリードナーチャリングの役割

インサイドセールスにおいて、リードナーチャリングは非常に重要な役割を持っています。リードナーチャリングの主な役割は下記です。

  • リード育成をし、購買意欲の高いリードを創出する
  • 休眠顧客の掘り起こし
  • 営業リソースの最適化

リードナーチャリングは、購入意欲の高いリードの創出だけではなく、営業が追いきれない休眠顧客の掘り起こしや営業リソースの最適化にも寄与します。

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リード育成をし、購買意欲の高いリードを創出する

購入意欲の高いリードを創出することがリードナーチャリングの目的の1つです。

獲得したばかりのリードには、購入までには長い時間を要する興味関心の低いリードも多数含まれています。この興味関心の低いリードを育成して、購入意欲を高めることが、リードナーチャリングの役割です。

リードを育成する際は時間をかけて、適切なタイミングで適切なコンテンツをリードに配信する必要があります。リードとの信頼関係が構築し、リードは具体的な商品やサービスに興味を持ってもらい、商談や最終的には受注へとつなげます。

休眠顧客の掘り起こし

リードナーチャリングは休眠顧客の掘り起こしの役割も担っています。過去に接点があったものの、何らかの理由で検討を中断したリードに対して、アプローチをおこないます。

休眠顧客に対しては、新商品やサービスのリリース情報や特別なキャンペーン情報の配信が有効です。これらの情報により、リードの抱えているネックを解消できると、再度関心を持ってくれる可能性があります。

リードナーチャリングをおこなうことで、営業が追いきれない潜在的なリードも逃さないため、機会損失を防げます。

営業リソースの最適化

リードナーチャリングは、リードの属性や行動履歴に基づいて顧客のランク分けをおこなうため、購入意欲の高いリードの抽出が可能です。

これにより、営業は時間や労力などのリソースを受注率の高いリードに集中できます。営業は無駄なアプローチを割け、効率的に営業活動がおこなえるため、業務の効率化や売上の最大化が期待できます。

リードナーチャリングをおこなう手順

リードナーチャリングをおこなう際は下記の手順でおこないます。

  1. ペルソナ・カスタマージャーニーマップの設定
  2. セグメントを分ける
  3. 施策を実行し、効果測定をする

ペルソナ・カスタマージャーニーマップの設定

まず最初に、ターゲットを設定したうえで、ペルソナとカスタマージャーニーマップを設定します。

獲得したリードには、さまざまな属性のリードが含まれています。ナーチャリングを誰に向けてするべきかを定めるために、まずはペルソナを設定しましょう。ペルソナは具体的なユーザー像をイメージするために必要です。できるだけ具体的に設定をし、今後はペルソナのニーズを満たす施策を検討していきます。

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また、設定したペルソナを基に、カスタマージャーニーマップを設定します。カスタマージャーニーマップはペルソナがサービスや商品を購入するまでのプロセスを可視化したものです。カスタマージャーニーマップを設定することで、リードの購買プロセスを把握でき、自社商品やサービスへの検討度や、リードの行動の予測が可能になります。

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セグメントを分ける

次に、リードをセグメントしていきます。セグメントの方法に決まったものはありませんが、まずは、業種や従業員数、役職などのわかりやすいものを基にセグメントをおこない、施策やコンテンツに落としこんでいくと良いでしょう。

セグメントすることで、それぞれのリードに合ったアプローチが可能になります。

例えば、会計ソフトを扱っている企業であれば、経営層には節税メリットを訴求、部長には業務の簡素化を訴求するなど、リードをセグメントすることで、おこなうべき施策や発信するコンテンツが明確になります。

施策を実行し、効果測定をする

最後に、各施策の実行・スコアリングをおこない、購買意欲が高まった段階で営業へリードを渡します。

効果測定をおこなう際は、実際にリードナーチャリングを通して、商談化率や案件化率、契約率が上がったのかを測定します。改善をする際には、どのような流れでナーチャリングを実施すれば、それぞれの数値を改善できるのか検討する必要があります。

しかし、リードナーチャリングの精度を上げるためには、PDCAを回していくほかありません。長期的に効果検証、改善を積み重ねる必要があります。

MAツールを導入している会社であれば、リードライフサイクルを設定している会社も多いと思うので、リードからのMQLの遷移率や、MQLからSQLの遷移率が上昇しているかを指標とするのが分かりやすい効果測定の手法の1つです。

リードナーチャリングの効果を高める方法

リードナーチャリングの効果を高めるためには、1つの部署だけではなく、複数部署で連携を取る必要があります。また、スコアリングの精度向上や業務の効率化には前述のMAツールやCRMの導入が有効です。

リード獲得から受注までを連携して実行できる組織・環境をつくる

リードナーチャリングの効果を高めるには、リードの獲得から受注までを各部署が連携しておこなう必要があります。

特に、マーケティング部門と営業部門の連携は非常に重要です。マーケティング部門が見込み客の獲得、育成をし、営業部門は商談をおこない契約を獲得します。マーケティング部門と営業部門での情報共有や連携がリードナーチャリング成功の鍵となります。

部門間の連携をおこなう際は、お互いの部署の評価基準や風土を理解したうえで、役割や業務領域に明確な線引きをするようにしましょう。

MAツールやCRMを導入し、スコアリングの精度向上・効率化を図る

MA(マーケティング・オートメーション)ツールは、リードに自動的にコンテンツを配信できるツール、CRM(顧客管理システム)は、顧客情報や履歴を一元管理できるツールです。

CRMを活用することで、顧客情報や履歴を管理し、MAツールと連携して活用することで、リードに対して適切なタイミングで適切なコンテンツを自動で配信できます。

MAツールやCRMを導入することで、適切に顧客情報を管理・スコアリングし、コンテンツ配信の自動化を図ることで、リードナーチャリングの効果を最大化できます。

例えば、ナーチャリングスコアは下記のように設定します。

属性担当者が役職者である+5点
従業員数が100人以上+5点
従業員数が500人以上+10点
興味関心メルマガを開封+1点
メルマガのリンクをクリック+3点
ホワイトペーパーのダウンロード+5点
ウェビナーへの参加+8点
行動直近1ヶ月でサイトへの訪問がない−10点
個別連絡に対して返信がない−15点
直近1週間で3回以上のサイト訪問+15点

ナーチャリングスコアを設定する際は、過去の契約に至ったパターンを分析し、それにつながる行動や属性にポイントをつけていくようにしましょう。

また、ナーチャリングスコアをつける際の指標は定量的に計測ができるものである必要があります。

リードナーチャリングの具体的な手法

リードナーチャリングにはさまざまな手法がありますが、代表的な手法を4つ紹介します。

メールマーケティング

メールマーケティングでは、メールを活用してリードの育成をおこないます。メールマーケティングではリードの属性や行動履歴に基づいてパーソナライズしたコンテンツを配信します。

開封やクリックの有無をMAツールなどを用いて追跡し、リード一人ひとりに沿ったフローを構築も可能です。

ウェビナーの開催

インターネット上で集客をおこない、セミナーを開催するウェビナーも効果的です。ウェビナーでは、オフラインで開催するセミナーと異なり、会場を用意する必要がなく、参加者も自宅から参加ができます。

ウェビナーでは、参加者との対話や質疑応答が可能なため、高いエンゲージメントが期待できます。

オウンドメディアの運用

オウンドメディアの運用もリードナーチャリングに有効な手段です。オウンドメディア上でコンテンツを発信することで、自社商品を認知させたり、ファン化につなげたりできます。

また、オウンドメディアはリードナーチャリングだけではなく、ホワイトペーパーのダウンロードや資料請求への導線も構築できるため、新規リードの獲得にも効果的です。BtoBのオウンドメディアは以下の記事で解説しています。

BtoBのオウンドメディアの成功事例10選|成果を出すためには?

SNSによる情報発信

SNSでの情報発信もリードナーチャリングに効果的です。各プラットフォームごとにユーザーの属性や拡散力が異なるため、各プラットフォームの特徴を把握したうえで、取り組む必要があります。

SNSを通じての情報発信やリードとのコミュニケーションをおこなうことで、親近感や安心感を醸成でき、リードの育成に貢献します。

リードナーチャリングの好事例を紹介

実際にリードナーチャリングに取り組み、成果に繋がった好事例を紹介します。

それぞれ、定義の見直しやオウンドメディア、メールマーケティングによる特徴的な施策をおこなっています。自社でリードナーチャリングに取り組む際の参考にしてみてください。

株式会社マイナビ

株式会社マイナビでは、ホットリードの定義とアプローチするリードの見直しをおこない、リードナーチャリングを成功させました。

今までは、「資料ダウンロード件数」をホットリードの指標としていましたが、顧客の商談をしようと思ったきっかけを改めてヒアリングをおこない、ホットリードの定義を見直しを実行。

また、マイナビの扱うTECH+は、そもそも市場にターゲットが少ないため、新規リードの獲得から、既存リードのナーチャリングをする施策に舵を切りました。

これらの施策の結果、商談数を前期比1.5倍にまで増加させることに成功しました。

株式会社マックスプロデュース

株式会社マックスプロデュースでは、企業総会などの会社イベントのプロデュースをおこなっている会社です。

ターゲットはコア業務に注力しているため、検討期間を設けておらず、比較検討をおこなわずに既存の外注先に依頼してしまうため、比較対象にも入らないという課題を抱えていました。

そこで、マックスプロデュースでは、オウンドメディアに自社コラムを用意し、イベント開催の手順やノウハウを紹介することで、幹事が情報収集をする際に自社を認知し、具体的な費用や会場レイアウトについてはホワイトペーパーとして提供し、関係性を構築することで、新規リードの獲得と効果的なリードナーチャリングを実現しました。

株式会社シンフィールド

株式会社シンフィールドでは、展示会で交換した名刺を活用できていない点に課題を感じていました。

そこで、獲得した名刺に対して、定期的にお役立ち情報をメールで配信するほか、不定期でリードを引き上げる目的で営業色の強いメールを配信しました。

お役立ち情報で興味を引き、引き上げ目的のメールに記載されているURLをクリックしたリードには営業担当が電話でのフォローを実施。メールの出し分けと、リードのアクションに基づいたフォローをおこなうことによってアポイントの獲得効率の改善を実現しました。

まとめ

リードナーチャリングは検討の長期化が進み、興味関心の薄いリードが増加している昨今では、非常に有効な手段であり、購買意欲の高いリードの創出や、休眠顧客の掘り起こし、営業リソースの最適化に役立ちます。

リードナーチャリングに取り組む際は、状況に応じてMAツールやCRMの導入、組織体制の構築もおこなうことで、より効果的なリードナーチャリングを実現できます。

リードファクトリーでは、リードナーチャリングに取り組みたい企業に向けて、無料相談をおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。

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一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。