AI時代のBtoBマーケティング組織とは?少人数で成果を出す体制と責任者の役割
生成AIの普及によって、BtoBマーケティングの仕事はかなり変わり始めています。施策のアイデア出しや企画、コンテンツ制作はAIによって大幅に効率化できるようになりました。
一方で、チャネルごとの成果を見て投資配分を決めたり、営業や事業責任者と方針を合わせたりする仕事は、むしろ重要になっています。これからのBtoBマーケティングでは「どんな施策を知っているか」以上に、「誰が判断し、どのような組織で実行するか」が差になっていくと考えています。

AI時代のBtoBマーケティング組織はどう変わるのか
先に結論をお伝えすると、これからのBtoBマーケティングでは、判断する人にしっかり投資し、実行部分はAIや外部リソースを使って軽くするという組織が増えていくのではないかと考えています。
マーケティング責任者は、営業や事業方針との接続、チャネルごとの評価、予算配分、施策の優先順位を考えることに時間を使う。
一方で、広告運用、コンテンツ制作、ウェビナー運営、データ集計などの実行業務は、AIや業務委託、BPOなどを組み合わせて進める。
少人数でも質の高い施策を複数動かせる状態を作れるかどうかが、今後はかなり重要になると思っています。
「施策を考えること」だけでは差がつきにくくなる
これまでBtoBマーケティングでは、「次に何をやるか」を考えること自体にも大きな価値がありました。
SEOを強化するのか、リスティング広告を始めるのか、ウェビナーを企画するのか、ホワイトペーパーを作るのか。こうした選択肢を出し、施策を企画することもマーケターの仕事です。
ただ、この部分は生成AIとの相性がかなり良い領域です。
商材、ターゲット、現在の課題、競合、予算といった前提条件を渡せば、施策の選択肢そのものはかなり簡単に出せるようになりました。広告文や記事構成、ウェビナーテーマ、メール文面なども同様です。
もちろん、AIが出したものをそのまま採用できるわけではありません。
それでも、出てきた案に対して「これは使える」「これは自社には合わない」と判断できる人がいれば、企画をゼロから考える時間はかなり短縮できます。
そのため今後は、マーケティング施策をたくさん知っていることや、施策案をたくさん出せることだけでは、以前ほど差がつきにくくなると思っています。
大事になるのは、その先の「では、どれをやるのか」です。
これから価値が高まるのは「リソース配分を決められる人」
BtoBマーケティングの責任者に、これからより求められるのがリソース配分の判断です。
たとえば、リスティング広告のCPAが高くなったとします。ここで「CPAが高いから広告費を減らそう」と判断するだけでは、少し情報が足りません。
リスティング広告から入ったリードは、その後どの程度商談になっているのか。Meta広告で獲得したリードと比べたとき、商談化率や受注率はどう違うのか。展示会はリード獲得単価だけを見ると高くても、その後に大きな商談につながっていないか。
このあたりまで見て初めて、チャネルごとの本当の良し悪しが分かります。
実際、BtoBマーケティングでは「リード獲得単価が安い施策=良い施策」にならないことが珍しくありません。
CPAではMeta広告が優秀に見えても、営業が追える企業が少なければ、結果として商談獲得コストは高くなることがあります。逆に、獲得単価が高いチャネルでも、狙っている企業からの問い合わせが多ければ、そちらに予算を寄せたほうが事業全体では合理的です。
そのため、チャネルを見るときはリード数だけで終わらせず、有効リード、商談、受注、売上までできる限りつなげて見たいところです。
AIが施策をたくさん出せるようになるほど、「何をやるか」よりも「何をやらないか」「どこにお金を寄せるか」を決める仕事の価値は上がっていくと思います。
なぜ営業・事業とのコミュニケーションが重要になるのか
もう一つ、AIでは置き換えにくいのが社内のアラインメントです。
マーケティング施策は、マーケティング部門だけで考えてもなかなかうまくいきません。
たとえば営業部門が今期は大企業を増やしたいと考えているのに、マーケティング部門がCPAだけを追い、小規模企業のリードを大量に獲得している状態です。
マーケティングのダッシュボードだけを見れば、リード数もCPAも良く見えるかもしれません。
しかし営業からすると、「追いたいリードが来ていない」という状態になります。
これは広告運用の細かい改善では解決できません。
今期どの市場を狙うのか。どの規模の企業を増やしたいのか。どの商材を伸ばしたいのか。営業がどのような案件を求めているのか。直販なのか間販なのか。
こうした情報を営業責任者や事業責任者と日常的にすり合わせ、それをマーケティング施策へ反映していく必要があります。
むしろAIによって実行スピードが上がるほど、ここは重要になると思います。
方向がずれた状態で施策を高速化しても、ずれた施策が大量に実行されるだけだからです。
AI時代のBtoBマーケティング組織はどう作るべきか
私たちが今後重要になると考えているのが、いわゆる「筋肉質なマーケティング組織」です。
単純に人数を減らすという意味ではありません。
社内で持つ仕事と、外部やAIに任せられる仕事を分け、固定費を必要以上に大きくしないという考え方です。
社内のマーケティング責任者には、事業方針との接続、予算配分、KPI管理、営業連携、施策の優先順位といった判断業務を担ってもらいます。
ここは事業理解が必要ですし、他部署との調整も多いため、優秀な人材を置きたいところです。
一方で、広告運用、LPや記事の制作、メール配信、ウェビナー運営、データ集計など、実行部分はすべて正社員で抱える必要はないと考えています。
業務委託やBPO、制作会社、そしてAIを組み合わせることで、必要なときに必要なリソースを使える体制にできます。
大切なのは、単価の安い人に置き換えることではありません。
責任者の時間を「作業」ではなく「判断」に使える状態にすることです。
責任者が自分で広告入稿をしたり、毎回ウェビナーの案内メールを作ったり、レポートの数字を転記したりしていると、本来時間を使いたい事業との連携や分析に手が回らなくなります。
この役割分担を変えることが、AI時代の組織設計ではかなり重要になると思います。
固定費を下げると「認知」にお金を回しやすくなる
筋肉質な組織を作る理由は、人件費を削減するためだけではありません。
マーケティング予算の使い方そのものを変えられるからです。マーケティングは、基本的にはお金を使う部署です。
人件費という固定費が大きくなるほど、残った予算には短期的な成果が求められやすくなります。
そうなると、リスティング広告やリード獲得施策のように、比較的成果を説明しやすい施策へ予算が偏っていきます。
一方でこれから重要になると思っているのが、認知やブランドへの投資です。
生成AIによって記事、広告、ホワイトペーパーなどを作るハードルが下がれば、世の中に出てくる情報量はさらに増えます。
情報そのものを作れることが差別化になりにくくなれば、「この会社を知っている」「このテーマならこの会社が思い浮かぶ」という状態の価値は相対的に高まります。
指名検索を増やしたり、業界内での認知を高めたりする活動です。
ただ、こうした施策は直接リード獲得につながらないことも多く、短期的なCPAでは評価しづらい領域です。
だからこそ、固定費を抑えてマーケティング予算に余白を作り、短期のリード獲得以外にも投資できる体制が重要になってくると思っています。
オンラインの情報が増えるほど、オフラインの価値も上がる
もう一つ、これから相対的に価値が上がると考えているのがオフラインのコミュニケーションです。
CxO向けの会や、業界特化の勉強会、ラウンドテーブルなど、参加者同士が直接話せるような場です。
これまでのBtoBマーケティングでは、広告で集客してリードを獲得し、インサイドセールスが接触するというモデルがかなり広がりました。
もちろん、このモデルがなくなるわけではありません。
ただ、オンライン上のコンテンツが大量に生成されるようになると、同じような記事、広告、ウェビナーが増えていく可能性があります。
そうなると、人と人が直接会って話した経験の希少性は相対的に高まります。特にBtoBでは、サービスの機能だけではなく、「この会社なら相談できそう」「この人たちは業界を分かっている」と感じてもらうことが商談に影響する場面があります。
オンラインで広く接点を作りながら、重要な顧客とはオフラインで関係を深める。こうした組み合わせは、これから改めて重要になるのではないでしょうか。
「たくさんリードを取る」前提の組織を見直す
これまで、特に成長期のSaaS企業では、マーケティング投資を増やし、大量のリードを獲得し、インサイドセールスで商談化するモデルがよく使われてきました。
投資意欲が高く、事業成長を最優先できる環境では合理的な方法です。一方で、以前ほど簡単に人員や広告予算を増やせない会社も増えています。
そうなると、「どうやって施策を増やすか」だけではなく、「どの規模の組織で回すのか」という視点が重要になります。
正社員を増やし続けるのではなく、責任者にはしっかり投資する。その一方で、施策の実行部分はAIや外部の専門人材を活用する。
固定費を抑えながら実行量を落とさない組織を作れる会社は、その分を新しい施策や認知投資へ回せます。
AIによって生産性が大きく変わるほど、この組織設計の差は大きくなっていくと思います。
AI時代でもマーケティング責任者の価値は高くなる
「AIによってマーケターはいらなくなるのか」という話もあります。
私たちは、マーケター全体の仕事がなくなるというより、価値が生まれる場所が変わっていくと考えています。
施策案を作る。文章を書く。資料を作る。数字をまとめる。こうした作業に必要な時間は、今後さらに短くなっていくはずです。
その一方で、どの市場を狙うのかを決めること、チャネルごとの成果を評価すること、予算を配分すること、営業や事業責任者と方針を合わせること、社内外の人を動かすことは残ります。
むしろ、施策を実行できるスピードが上がるからこそ、判断を間違えたときの影響も大きくなります。
だからこそ、これからのBtoBマーケティングでは、
優秀な責任者にはしっかり投資し、その人が判断に集中できる組織を作ること。
そのうえで、実行部分をAIや外部リソースによって軽くしていく。
この形が、一つの有力な選択肢になると考えています。
リードファクトリーでも、広告運用やコンテンツ制作といった施策単位の支援だけではなく、企業のマーケティング責任者が分析や事業連携に時間を使える状態を作ることが、これまで以上に重要になると考えています。
AIによって施策そのものが作りやすくなるからこそ、最後に差がつくのは「何をやるか」ではなく、「何を選び、どこに資源を使い、どのような組織で動かすか」なのではないでしょうか。
リードファクトリーでは、マーケティング責任者クラスの役割を一部切り出してご支援することはもちろん、PMとして施策全体の進行を担う支援や、広告運用・コンテンツ制作・ウェビナー運営など、複数施策をまとめて代行する支援も行っています。
「社内にマーケティング責任者はいるものの、実行まで手が回らない」「施策ごとに複数の会社へ依頼するのが大変」といったケースでの支援実績も多くあります。
マーケティング組織を必要以上に大きくせず、外部リソースを活用しながら実行力を高めたい企業様は、ぜひリードファクトリーへご相談ください。
よくある質問
AIによってBtoBマーケターの仕事はなくなりますか?
企画案の作成や文章・資料制作など、AIによって効率化できる仕事は増えていくと考えています。一方で、チャネル評価や予算配分、営業・事業部門との連携など、事業を理解したうえで判断する仕事の重要性は高まっていくでしょう。
AI時代のBtoBマーケティング組織はどのような体制が向いていますか?
社内には事業とマーケティングをつなげられる責任者を置き、広告運用や制作、データ集計などの実行業務にはAIや外部パートナーを組み合わせる体制が一つの選択肢です。責任者が作業ではなく判断に時間を使える状態を作ることがポイントです。
これからマーケティング責任者に求められる能力は何ですか?
施策の知識だけではなく、チャネルごとの成果を比較してリソースを配分する力、営業や事業責任者と方針を合わせる力、社内外のメンバーを動かして実行する力がより重要になると考えています。
マーケティング組織を大きくする前に、
必要な役割だけ切り出してみませんか?
リードファクトリーでは、マーケティング責任者クラスの役割を一部切り出すご支援から、 PMとしての施策全体の進行管理、広告運用・コンテンツ制作・ウェビナー運営など 複数施策をまとめて代行するご支援まで、企業の体制に合わせて柔軟に対応しています。 「責任者はいるが実行まで手が回らない」「施策ごとに複数の会社へ依頼するのが大変」 といった場合も、ぜひご相談ください。
WRITTEN BY
代表取締役
一橋大学商学部を卒業後、ENEOS株式会社に新卒入社。その後、日本最大級の屋内型エンターテインメント施設 「アートアクアリウム美術館」の立ち上げに新規事業責任者として参画。2021年よりベンチャー支援のSOICO株式会社にて マーケティング・インサイドセールス責任者を務め、PHC株式会社ではAPACの海外BtoBマーケティング立ち上げに従事。 2023年5月、株式会社LEAD FACTORY.を創業。BtoBマーケティング・インサイドセールスの実務知見をもとに、 スタートアップから大企業まで幅広い規模の事業成長を支援している。
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