受託で年商1億円未満の社長が「BtoBマーケ・セールス」を自分にインストールすべき

受託で年商1億円未満のフェーズこそ、社長自身がBtoBマーケティング・セールスの全体像を頭に入れておく必要があります。専任担当を雇う余裕がない今だからこそ、「地上戦と空中戦の使い分け」「粗利とLTVから逆算した投資枠の設計」「アクセルを踏めるタイミングの見極め」を経営判断として持てるか否かが、売上が伸びる会社と伸び悩む会社を分けます。現場での支援実績をもとに、具体的な取り組み方法をご紹介します。

1. 年商1億未満でもBtoBマーケへ解像度を高めよう

年商1億円の手前にいる受託系企業の多くが、こんな状況に陥っています。

  • 売上の大半がリファラル(紹介)頼み
  • 紹介が止まると即、商談がゼロになる
  • 「マーケはお金がかかる」と思って後回しにし続けている

これは決して珍しいことではありません。しかし、紹介だけで年商1億を突破しようとすることは、構造的に難しいのです。

なぜなら、紹介という獲得チャネルは「自分でコントロールできない」からです。市況が悪化したとき、既存顧客の業績が落ちたとき、紹介ネットワークが疲弊したとき。突然、商談がゼロになります。既存のお客さんの契約が永遠に続くことはないです。どこかで途切れます。

だからこそ、年商1億を突破するフェーズでは、自力で商談を生み出せる仕組みを持てるかどうかが勝負になります。そしてその仕組みを設計・判断するのは、マーケ専任がいない規模なら、社長しかいないのです。

2. BtoBマーケ・セールスの全体像を「二軸」で捉える

BtoBの商談獲得を整理するうえで、まず押さえておくべき基本的なフレームがあります。

軸①:地上戦(アウトバウンド系)

地上戦とは、自分たちから能動的にアプローチして商談を作りにいく活動です。

  • テレアポ・架電(リスト作成→架電→アポ取得)
  • メール・DM送付(ターゲットリストへの一斉or個別アプローチ)
  • 展示会・イベント出展
  • 人的ネットワークの活用(紹介依頼の仕組み化)

地上戦の特徴は「即効性が高い反面、人件費がかかる」こと。特に受託ビジネスの初期フェーズでは、地上戦によって最初の10〜20社の顧客を作り、サービスのPDCAを回しながら単価・解約率・LTVのデータを取っていく、というアプローチが現実的です。

軸②:空中戦(インバウンド系)

空中戦とは、コンテンツや広告を通じて「向こうから来てもらう」仕組みを作る活動です。

  • SEOコンテンツ・ブログ
  • ウェビナー・オンラインセミナー
  • Meta/Google広告
  • SNS(LinkedIn・X・note)
  • ホワイトペーパー・事例コンテンツ

空中戦の特徴は「立ち上がりに時間がかかる反面、スケールしやすい」こと。特にSEOは成果が出るまで3〜6ヶ月かかることがほとんどですが、一度資産が積み上がればCACを大幅に下げることができます。

大事なのは「どちらが正しいか」ではなく「両方を組み合わせること」

年商1億未満のフェーズで一番陥りがちなのが、「どちらか一本に賭ける」ことです。

  • 「アポ取りだけやっていれば売上は作れる」
  • 「SEOさえやれば広告費はかからない」

どちらも誤りです。何か一つの施策だけで突き抜けることは、現実的に非常に難しい。BtoBマーケティングは今や、複数の施策を並行して仕掛け続けることが前提になっています。地上戦で短期の商談を刈り取りながら、空中戦で中長期の流入基盤を作る——この両輪を同時に回せているかどうかが問われます。

3. 「いくらかけられるか」をLTVと粗利から逆算する

打ち手の話の前に、もう一つ重要な観点があります。それが「投資できる金額の設計」です。

CAC(顧客獲得コスト)の許容範囲を定める

B2Bマーケへの投資判断において、最も重要な指標の一つがCAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)です。計算を単純化する場合、正直アポ獲得単価とほぼ同義なので、アポ単価で考えて頂いてもOKです。

CACの計算式はシンプルです。

CAC = マーケ・セールスにかかった全コスト ÷ 新規獲得顧客数
※シンプルにする場合は、アポ単価でOKです。

このCACが、顧客のLTV(Life Time Value)に対して許容範囲内かどうかを常に意識する必要があります。

一般的には「LTV ÷ CAC ≧ 3」が健全とされますが、受託ビジネスの場合は契約期間や解約率によって大きく変わります。まず自社のLTVをざっくりでも試算することが第一歩です。

月々の「許容マーケ予算」を設計する

たとえば月の営業利益が100万円ある会社が、そのうちの20~30%である20〜30万円をマーケ・セールス費用(広告費+外注費+人件費按分)に回せるとします。この場合、年間で240〜360万円の投資が可能です。

この金額が「薄い」と感じるかもしれませんが、地上戦(インサイドセールスの外注や架電委託)と空中戦(コンテンツSEO+ウェビナー)のどれかに継続的に投資してPDCAを回すことができれば、安定して月4〜6件の商談創出は現実的な射程内に入ってきます。

短期で成果がでるものは今の世の中少ないので、そこを許容して継続して投資してPDCAを回せるかが重要です。

また、もう1つ重要なのは、この「月々の許容投資枠」を経営数値から逆算して明確にしておくこと。感覚で「あと少し売上が上がったら広告を始めよう」という判断をしている限り、アクセルを踏むタイミングは永遠に来ません。

4. マーケ費用のアクセルを踏むタイミングを見極める

多くの社長が見落としがちな視点として、「いつ・どこに・どれだけ投資するか」のタイミング設計があります。

法人税を払うくらいなら、マーケに投資せよ

法人税を払うということは、利益が出ているということです。その利益を翌期に繰り越して内部留保にするよりも、事業拡大に向けたマーケ投資に回した方が中長期のROIは高くなる。少なくとも、まだ年商1億円を超えていないフェーズではそう考えるべきです。

もちろん、「何に投資するか」が重要です。当てずっぽうに広告費を積んでも意味がありません。ここで活きてくるのが、事前に作っておいた「打ち手のベース(ノウハウ・コンテンツ・仕組み)」です。

アクセルを踏む前に「ノウハウのベース」を作っておく

投資できる余裕が出たとき、すぐにアクセルを踏めるかどうかは、それ以前にどれだけ準備してきたかにかかっています。

たとえばこういったケースがあります。

ある企業が半年かけて月の営業利益を200万円まで伸ばし、「そろそろ広告を本格化したい」と思ったタイミングで、LP(ランディングページ)もなく、事例コンテンツもなく、訴求メッセージも整理できていない状態だった。

このような状態で広告費をかけると、CVR(コンバージョン率)が低いまま費用だけがかさむ結果になりがちです。

「今すぐ結果を出す必要はないが、仕込みだけは今のうちにやっておく」。これが年商1億未満フェーズのマーケ・セールス投資の正しい姿勢です。

5. 社長がBtoBマーケの投資判断を間違えない

地上戦と空中戦の組み合わせ、LTV・粗利からのCAC逆算、投資タイミングの設計については、、経営判断そのものです。

実際に売上を伸ばしている会社の共通点として、社長自身がこのフレームを持っていることが挙げられます。

マーケ専任担当がいれば、その人に任せることもできます。しかし、年商1億未満の会社でマーケ専任を雇うことは、コスト的にほぼ不可能です(マーケターの市場年収は400〜700万円以上が相場)。

だとすれば、結論はシンプルです。

社長自身がBtoBマーケ・セールスの全体像を俯瞰し、打ち手を判断し続けられる状態になることが、年商1億円突破の最大の条件です。

これを「マーケは専門家の仕事」と外部化し続けている限り、「どこに・いつ・何のお金をかけるか」が定量的に見えず、感覚的な判断になってしまいます。それでは、市場の変化に対応したアジャイルな投資判断はできません。

6. 受託年商1億円までに社長が持つべき3つの判断基準

実務で使える形でまとめると、以下の3点になります。

① 月の「許容マーケ投資枠」を数値で持つ

  • 月粗利のうち、マーケ・セールスに使える上限額(広告費+人件費按分+外注費)を明確にする
  • 目安は「月営業利益の20〜30%」(フェーズや事業モデルによって異なる)

② LTV・CAC・回収期間のざっくり試算を常に更新する

  • 平均契約月数 × 月次粗利 = LTV(ざっくり)
  • マーケ・セールス費用 ÷ 新規獲得数 = CAC
    • アポ単価でもOKです
  • CAC ÷ 月次粗利 = 回収期間(月)
  • この3つが頭に入っていれば、「今の施策は続けるべきか」の判断軸が生まれる

③ 「地上戦で短期商談、空中戦で中長期の流入」を並走させる

  • 今すぐ商談が必要 → 地上戦(架電・メールアプローチ・紹介依頼の仕組み化)
  • 3〜6ヶ月後の流入基盤 → 空中戦(SEO・ウェビナー・SNS)
  • この両輪を「片方だけ」にしない

まとめ

年商1億円未満のBtoB企業にとって、マーケティング・セールスは「余裕ができたらやること」ではありません。むしろ、余裕を作るためにやり続けることであり、経営そのものです

地上戦と空中戦のバランス、CACとLTVからの逆算、そして「アクセルを踏むタイミング」の設計を社長が自分の言葉で語り、数字で判断できる状態になること。それが、伸びている会社に共通する一つの条件です。

「自社のマーケ・セールスを体系化したいが、何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひリードファクトリーにご相談ください。

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