こんにちは、リードファクトリーの遠藤です。
BtoBサービスを運営している事業会社において、組織拡大が必要になったタイミングでよく議論になるのが、マーケティングの組織や業務の役割分担についてどうするのか?という点です。
- どのレイヤーに何をどこまで任せればいいのか?
- どの業務を兼任させれば担当者の成長を最大化させることができるのか?
今回は、上記の疑問を解決するために、いくつかの具体的をもとに、BtoBマーケターの役割と求められるスキルを一覧表で網羅しましたので良ければ最後までご覧ください。
BtoBマーケターの役割とスキル一覧表
一覧表に登場する役割(レイヤー)を簡単に説明すると以下の通りです。
- CMO:経営レイヤー・ボードメンバー
- ディレクター:部長レイヤー
- マネージャー:課長レイヤー
- プランナー:チームリーダーレイヤー
- オペレーター:担当者レイヤー
BtoBマーケタースキル(職務)一覧
スキル(職務) | 説明 | 具体的な業務 |
---|---|---|
経営 | 経営判断全般 | – |
全社マーケ戦略 | 事業計画を達成するための全社マーケティング戦略の策定(ヒト/モノ/カネ) | – |
全社P/L | 企業全体の収益と費用の管理、利益の最大化 | – |
全社KGI・KPI | 事業計画を達成するための管理指標であるKGI・KPIの策定・管理 | – |
組織構築 | 事業計画を達成するために、メンバーやチームの構造、システムなどの作成・見直しを図る | – |
事業部マーケ戦略 | 管掌事業部におけるマーケティング戦略の策定(ヒト/モノ/カネ) | – |
部門P/L | 管掌事業部門の収益と費用を管理し、利益を最大化する | – |
部門KGI・KPI | 管掌事業部門の事業計画を達成するための管理指標であるKGI・KPIの策定・管理 | – |
採用・育成 | KGI・KPI達成のためのメンバー採用と育成 | – |
MOps | 企業のマーケティング活動を効率的に運営し、最適化するための環境整備、オペレーション改善 | ダッシュボードの構築、マーケティングツールの導入検討、オペレーションの改善、部門間調整など |
広告出稿 | オンライン/オフラインにおける広告出稿の戦略策定、施策実行、改善活動全般 | メディアプランニング、媒体別予算配分、指名検索数・ROAS・CPA・CTR改善、クリエイティブ制作など |
SEO・コンテンツ | コンテンツマーケティング戦略策定、施策実行、改善活動全般 | 記事コンテンツ企画・制作、外部・内部対策、ホワイトペーパー企画・制作、お問い合わせ用の資料制作など |
イベント/ウェビナー | イベントマーケティング戦略策定、施策実行、改善活動全般。オンライン・オフライン(展示会)の両方を管理 | イベント・展示会の企画・運営、ウェビナーの企画・運営、登壇者リサーチ、共催先開拓、イベント用販促物の企画・制作など |
Webサイト/LPO | Webサイト/LPO戦略策定、施策実行、改善活動全般。セッション、CVR、CTA改善など。 | ホームページの改修、導線の追加、多言語化、FAQ導入、VR・CTR改善、CTAの設計・設置など |
メルマガ | メールマーケティング戦略策定、施策実行、改善活動全般 | メールマガジンの企画・制作・送信、開封率・CTR・CVRの改善など |
SNS運用 | SNSマーケティング戦略策定、施策実行、改善活動全般 | SNS投稿内容の企画・制作、インフルエンサーリサーチ・依頼、imp・エンゲージメント率・フォロワー数の改善など |
PR/広報 | PR/広報戦略策定、施策実行、改善活動全般 | コンテンツ配信、メディア掲載、事例インタビュー、採用イベント開催など |
MAツール | MAツールの導入、運用、改善活動全般 | MAツールの運用・改善、CRMなど他システムとの連携、命名規則の設計など |
データ分析 | データ分析の活動全般 | データの加工方法や加工ツールの設計、データ集計・分析・アウトプット |
①CMOあり&複数の事業部&組織規模30名~
イメージした会社としてはベンチャー企業ではなく、マーケティング部門は成熟しており、複数のサービス・製品を販売している比較的大手の事業会社です。大手のBtoBなどが当てはまるかと思います。
マーケ部門は「事業部横断」でも「事業部専属」でも成り立ちます(会社の部門間パワーバランスによる)。
<前提条件>
- サービス・製品が複数ある
- サービス・製品ごとにマネージャーがいる
- 権限・役割が明確化している
役割レイヤーはシンプルで4階層
◎:主担当 〇:副担当
CMO:1名、ディレクター:部門数に応じる、マネージャー:2,3名程度(チーム数に応じる)、プランナー:4~7名程度(業務量に応じる)、オペレーター:8~15名程度
CMO | ディレクター | マネージャー | プランナー | オペレーター | |
---|---|---|---|---|---|
経営 | ◎ | ||||
全社マーケ戦略 | ◎ | ||||
全社P/L | ◎ | ||||
全社KGI・KPI | ◎ | ||||
組織構築 | 〇 | ◎ | |||
部門マーケ戦略 | ◎ | 〇 | |||
部門間連携 | ◎ | 〇 | |||
部門P/L | ◎ | 〇 | |||
部門KGI・KPI | ◎ | 〇 | 〇 | ||
採用・育成 | ◎ | 〇 | |||
MOps | ◎ | 〇 | |||
広告出稿 | ◎ | 〇 | |||
SEO・コンテンツ | ◎ | 〇 | |||
イベント/ウェビナー | ◎ | 〇 | |||
Webサイト/LPO | ◎ | 〇 | |||
メルマガ | ◎ | 〇 | |||
SNS運用 | ◎ | 〇 | |||
PR/広報 | ◎ | 〇 | |||
MAツール | ◎ | 〇 | |||
データ分析 | ◎ | 〇 |
②CMOなし&単一事業部&組織規模5名~(ベンチャー企業)
イメージした会社としてはベンチャー企業です。マーケティング責任者がおり、マネジメントだけではなく、実務もする組織です。PMF後であり、広告宣伝費をかけてTOPラインを伸ばしていきたい企業が当てはまります。少なくともポストシリーズA、シリーズBあたり。
<前提条件>
- サービス・製品は1つ
- プレイングマネージャーがディレクターの役割を兼任
- プランナーとオペレータは兼任
◎:主担当 〇:副担当
CEO:1名、プレイングマネージャー:1名、プランナー兼オペレーター:3~4名程度
CEO | プレイングマネージャー | プランナー兼オペレーター | |
---|---|---|---|
経営 | ◎ | ||
マーケ戦略 | 〇 | ◎ | |
P/L | ◎ | 〇 | |
マーケKGI・KPI | ◎ | 〇 | |
採用・育成 | ◎ | 〇 | |
MOps | ◎ | 〇 | |
広告出稿 | 〇 | ◎ | |
SEO・コンテンツ | 〇 | ◎ | |
イベント/ウェビナー | 〇 | ◎ | |
Webサイト/LPO | 〇 | ◎ | |
メルマガ | 〇 | ◎ | |
SNS運用 | 〇 | ◎ | |
PR/広報 | 〇 | ◎ | |
MAツール | 〇 | ◎ | |
データ分析 | 〇 | ◎ |
BtoBマーケで兼任がしやすい業務
BtoBマーケを強化する際に、1つの役割だと業務量が少ない場合に、誰にどの業務を任せるか悩むことも多いと思ったので、いくつか具体的な例を挙げてみます。
イベント・ウェビナー×メルマガ×MA運用
イベント・ウェビナー×メルマガ×MA運用を兼任することで、リードナーチャリング分野の基礎~応用まで学べることが大きなメリットです。
BtoBマーケティングのリードナーチャリング分野において、最も力を入れるべき部分は間違いなく「コンテンツ制作」です。これは質と量どちらも大切ですが、どちらかと言えば「質」の方が重要です。そこで、コンテンツの「質」を担保するという大前提を考えたときに、イベントやウェビナー担当は必ずインハウスで1名設置した方が良いかと思います。
イベントやウェビナーは、記事コンテンツとは違って「質」が低いとユーザーのがっかり度が大きいです。というのもせっかく時間を作って観に来た(同時性)のに、期待していた内容よりも内容が薄かったり、ギャップを感じてしまうと余計に「損をした」感覚が強まってしまいます。
なので、イベントやウェビナー担当として1名インハウスで担当者を設置することが先決です。ただ、イベントやウェビナーも開催数によっては連続的に忙しい状況は少ないかと思います。そこで、他の業務の兼任を考えると、イベントやウェビナーの業務にリンクをしている業務となると、イベント・ウェビナー集客の要となる「メルマガ」が最適です。
また、企業によってはメルマガの運用をメルマガ配信ツールやMAツール(Hubspot、Pardot、Marketoなど)を使用してる会社もあるかと思いますので、その運用もお任せすることで、「企画、制作、集客、運営、改善」を一気通貫で学べるので非常に担当者にとっては良い経験になりますのでお勧めです。
また、未経験者でも対応できる領域なので経験者採用したい!と思っている事業会社にとっても経験者にこだわらなくても良いと思ってもらえれば幸いです。
広告運用×Webサイト/LPO×SEO・コンテンツ
次に、広告運用周りの業務の兼任案です。こちらはイメージしやすいと思います。
こちらはリード獲得分野の基礎~応用まで学べることが大きなメリットです。また、代理店出身のメンバーを採用するときに1番最適なパターンです。
そもそも広告運用については「インハウス or 外注」の議論が先に来ると思いますが、この場合はインハウスで広告運用をする前提で話を進めます。
広告運用の成果としては、「CTR・CPA・ROAS/ROI」指標を管理している会社が大半だと思います。上記の指標を改善する際に、必要な業務として以下があります。
- 最適な媒体選定とコントロール
- クリエイティブのPDCA
- 予算アロケーション
- LP、フォーム、CTAの最適化
外注する場合、4までサービス範囲としてる会社は多くないため痒いところに手が届かないのと、広告運用の基礎知識がないと代理店が何をしているか分からず、情報格差から正しいPDCAが回らないケースも多いです。
インハウスでLPOまで領域とすることで、なんとかCPAを下げるために媒体と格闘する日々からより広い視点でリード獲得という業務をみることができます。
また、SEO・コンテンツまで領域を広げることで「Organic(自然検索)」でのリード獲得について学ぶことができます。特に代理店出身者の場合には、これまではあまりやってこなかった自社のプロダクトについて深く学ぶことが求められます。
そこでSEO・コンテンツの領域まで担当してもらうことで、コンテンツ制作する中で必要な自社プロダクトについての知見を自然と深めることができ、広告運用の際によりユーザー目線でのLPやクリエイティブを作成できるという良い循環が生まれます。
まとめ
本記事では、BtoBマーケターの役割と求められるスキルやおすすめの役割分担ついて解説しました。
BtoBサービスを運営している事業会社において、組織拡大が必要になったタイミングでBtoBマーケターを採用する際には、参考になれば幸いです。
リードファクトリーではデジタルマーケティングについての無料相談会も実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。