「ABMの戦略について知りたい」
「戦略をどのように決めるかわからない」
「戦略を最適化して、自社の売上を伸ばしたい」
近年、注目されているABMは明確な戦略を立てておくと、効果的な運用ができます。また戦略を決めた後の施策も考えておくと、顧客に対して最適なアプローチができるので、更なる効果アップが見込めます。
とはいえ「どのように戦略や施策を考えればよいかわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では以下の内容を解説します。
- ABMの特徴と向き・不向きな企業
- ABM戦略の進め方
- ABMの具体的な施策
- 気をつけるべきポイント
「戦略・施策を両方聞きたい」という方はぜひ参考にしてみてください!
株式会社リードファクトリーでは、ABMを含めたBtoBマーケティングの支援を実施しています。企業の状況から具体的なABMの戦略も紹介しますので「ABMのプロに相談したい」という方はぜひ一度無料相談にご参加ください!
【戦略の前に】ABMとは?サクッと簡単に解説
ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略で、契約見込みの高い企業や組織を選定し、自社の売上を最大化するマーケティング手法です。
ABMにおいて、ターゲティングした企業や組織を「アカウント」と呼びます。
アカウント内にいる意思決定者と接点を増やしながら、関係を構築します。最適なアプローチで確度を高めて、受注してもらうのがABMの目的です。
なお「【これで完璧!】ABMとは?メリットや導入ステップも紹介」では、ABMについて詳しく説明しています。
「ABMについて詳しく知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください!
ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が向いている企業、向いていない企業
意思決定者との関係性が重要なABMですが、どの企業にも使える万能なマーケティング手法ではありません。
ABMが向いている企業と向いていない企業については以下の表にまとめています。
向いている企業 | 向いていない企業 |
---|---|
高単価な自社商材を取り扱っている | 中堅・中小企業向けである |
エンタープライズ企業向けである | 単発の商材である |
アップセル・クロスセルができる | 少数の企業データを持っている |
明確なアカウントデータを持っている | マーケティング部門と営業部門が独立して機能している |
ABMの戦略を立てる前に向いているかどうかを確認しましょう。
より具体的に定義するならば、ターゲット社数が1,000社以内であればABM(アカウント・ベースド・マーケティング)戦略を実践するのが良いです。1,000社程度であれば、Meta広告などのディスプレイ広告では効率よくアプローチすることは非常に効率が悪いので、リードをたくさん集めてTHE MODEL(ザ・モデル)型を実践するのは向いていません。
また、仮にターゲット社数が1,000社だとして、LTVが1,000万円だとすると、自社が狙う市場は100億円規模であり、シェアが20%の場合は20億円規模は狙えると考えられます。このように自社の市場の制約等の条件下で、1アカウント当たりのCAC(顧客獲得費用)をどこまでかけられるかも併せて考える必要があります。
ABM戦略の進め方5ステップ
ABMが向いている企業とわかり、実際に運用するのであれば、まずは戦略から立てましょう。ABM戦略の進め方については以下の5ステップです。
- ステップ1. ターゲットアカウントを決める
- ステップ2. カスタマージャーニーの作成と課題の仮説を立てる
- ステップ3. フレームワークによる分析結果を活用する
- ステップ4. コンテンツとチャネルを決定する
- ステップ5. アプローチ開始と効果を測定・改善する
それぞれ順番に解説します。
ステップ1. ターゲットアカウントを決める
自社にとってどのアカウントに焦点を当てるべきなのかを決めます。闇雲に選定してABMを実行すると、膨大な時間とコストがかかってしまうからです。
以下の軸を使って、企業を選択します。
- 利益性:より高い利益を出す見込みのある企業
- 親和性:自社商材と相性がいい企業
- 重要性:自社が決めた戦略と一致する企業
- 競合利用性:競合他社のサービスを利用している企業
上記の設定が完了すれば、アカウント群を分析し、ペルソナを設計しましょう。ペルソナ設計に必要な項目は、資本金や従業員数などの企業属性や事業内容、課題やニーズなどです。
最もシンプルな方法は、受注した企業や見込み度が高い企業の課題やニーズから逆算してターゲットセグメントを特定する方法です。一方で、新規事業であればペルソナや顧客インタビューをもとに仮説でターゲットセグメントを設定するほかありません。
なお「顧客インタビュー(BtoB)の方法を徹底解説!質問内容あり」では、顧客インタビューについて詳しく説明しています。
ABMの戦略を考えるうえで、アカウント選定は売上に直結する見込み顧客なので、非常に重要なプロセスといえるでしょう。
ステップ2. カスタマージャーニーの作成と課題の仮説を立てる
ターゲットアカウントおよびペルソナが決まれば、カスタマージャーニーを作成し、課題の仮説を立てます。
カスタマージャーニーとは、アカウントが商品を発見してから商材購入、そしてその後の行動といった一連の流れのことです。
作成理由は以下の2つです。
- 顧客の立場を考えて、アプローチできるから
- チーム全体で共有し、アプローチに個人差が生まれないから
自社商材を提案する際に「売りたい」という気持ちが強くなると、主観で行動してしまうおそれがあります。顧客からすると「押し売り」と捉えてしまい、不信感を抱くでしょう。
カスタマージャーニーによって相手の状況を想定し、不快感のないアプローチを実行できます。
また顧客がどのフェーズにいるのかを可視化させておくと「購入の検討段階にいるので、促すアプローチを実施する」といった共有も可能です。
作成する際は、フェーズごとに顧客が持つ課題や悩みの仮説も立てておきましょう。
たとえば、自社商材を購入するフェーズでの悩みは「導入する金額は適切か」や「導入日はいつにするか」そして「思っていた効果を発揮しないとどうするか」などです。
カスタマージャーニーの作成は顧客のフェーズを可視化し、課題や悩みの仮説を立てて解決する必要なステップといえます。
BtoBのカスタマージャーニーについては「BtoBマーケティングのカスタマージャーニーの特徴とは?作り方とBtoCの違いについて」で詳しく解説しておりますので是非ご覧ください。
ステップ3. フレームワークによる分析結果を活用する
自社商材が競合他社よりも優位に進められるように、以下2つの分析を行います。
- 3C分析
- 5フォース分析
3C分析とは、顧客・競合他社・自社の3つを分析し、自社の勝ち筋を見つけるフレームワークです。市場や競合、自社の立ち位置を把握し、商品を訴求したり、マーケティング戦略を立てたりできます。
5フォース分析とは、新規参入者や業界の競合他社、売り手の交渉力などの要素から業界・競合を分析することです。適切に理解・評価できると、自社の立場が明確になり、優位になるための戦略を立てられます。
これらの分析は、競合他社よりも優位になるだけでなく、リスクヘッジにも使えるので、あらかじめ立てておきましょう。
BtoBのフレームワークについては「【図解】BtoBマーケティングに役立つフレームワークを紹介」でで詳しく解説しておりますので是非ご覧ください。
ステップ4. コンテンツとチャネルを決定する
フレームワークによる分析が完了したら、意思決定者が利用するコンテンツとチャネルを決めます。自社商材の接点を増やし、購入までのプロセスを加速させられるからです。チャネルについては以下の種類があります。
- 電話
- メール
- 紙やWeb広告
- テレビCM
- Webメディア
- 新聞
- SNS など
意思決定者がSNSをよく使う場合は、SNS広告で自社商品を露出させ、接点を作るようにします。
またすでに意思決定者との関係構築は済んでおり、検討フェーズに位置しているのであれば、悩みを取り除くコンテンツを発信すると、購入まで促しやすくなります。
意思決定者がどのチャネルに触れているのかを明確にして、最適なコンテンツを決めて、発信しましょう。
ステップ5. アプローチ開始と効果を測定・改善する
ここから実際に運用し、効果を測定します。
始めは完璧にアプローチできないので、成果もすぐに出ません。直す部分があれば、改善し再び運用していくといったPDCAを回していきましょう。
効果測定では、追うべきKPIがあり、具体的には以下のとおりです。
- 商談回数は増えているか
- 既存顧客のLTVが向上しているか
- 意思決定者やキーパーソンと接触できたか
- ターゲティングアカウントの新規顧客を獲得できているか
MAツールを利用すると、数値化して表せられるので、積極的に利用していきましょう。
【戦略→施策へ】ABMで活用する4つの施策
調査や分析で立てたABM戦略を用いて、具体的な施策に移行します。ジャンルで分けられており、具体的には以下のとおりです。
- コンテンツ施策
- タッチポイント施策
- 導入決定者のリード獲得施策
- リードとの接触と見える化施策
それぞれ順番に解説します。
1. コンテンツ施策
コンテンツ施策とは、ターゲットに有益な情報を与えて、自社商材の購買意欲を高めることです。
たとえば、自社商材に関する情報がすべて知れる資料を公式サイトで無料ダウンロードできたり、実際に改善した成功事例集を発信したりします。
同じ自社商材であっても、何のために導入したいのかは顧客によってバラバラです。どのアカウントに対して送るのかを把握したうえで準備しましょう。
2. タッチポイント施策
タッチポイント施策で、意思決定者と訴求したい自社商材の接点を増やします。
商品についてより深く知ってもらうためなので、認知や興味関心フェーズで使える施策だといえます。
具体的な進め方は以下のとおりです。
- カスタマージャーニーから、アカウントがどのフェーズにいるのかを確認する
- アカウント内の意思決定者が情報を得る手段や行動を把握する
- 意思決定者が露出するポイントに対してアプローチする
しかし意思決定者の手段はいくつかあるかもしれないので、複数のタッチポイントを用意しましょう。具体的には展示会、クローズドな勉強会へのお誘い、キーマン向けDM、確度の高いキーワードでのリスティング広告の出稿などです。
3. 導入決定者のリード獲得施策
特定した企業にいる導入決定者の電話番号や、メールアドレスなどの情報を得る施策です。
「自分の個人情報を渡しても、その課題解決について知りたい」と導入関係者に思わせるとアプローチは成功。今後は導入関係者経由でターゲットアカウントの課題やニーズを知ることができます。
企業特有の課題が聞けるチャンスでもあるので、必ず関係を構築したいアカウントに有効な施策です。
4. リードとの接触と見える化施策
意思決定者と接触を試みることと、行動を見える化させる施策です。自社商材に興味を持っているフェーズに有効で、具体的にはWeb上での行動を見える化できます。
定期的なメルマガ発信で自社商材の情報を提供していると同時に、開封しているか、サイトに遷移したかなどを調べられます。
しかし、具体的な数値を割り出すのは難しいので、MAツールを利用しましょう。Web上の行動が数値化され、適切なアプローチに改善できます。
ツールを用いて購入フェーズまで一気進めましょう。
なお、こちらの記事「BtoBにおすすめのMAツールを一覧で紹介|選びかたも解説」ではBtoB企業におすすめのMAツールを紹介しています。
MAツールに少しでも興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
これ1本で丸わかり!MAツールの選び方(50P超)
ABM戦略・施策で気をつけるべき3つのポイント
戦略や施策をそのまま活用しても、ABMが秘めている効果を十分に発揮できない、もしくは失敗に陥る可能性があります。
そこで、以下の3つのポイントに気をつけることで高い効果が期待できます。
- ターゲットアカウントに優先順位をつける
- ABMの専門チームを作る
- ABMツールを利用する
それぞれ順番に詳しく解説します。
1. ターゲットアカウントに優先順位をつける
ABMでは、ターゲットアカウントが少ない分、どの企業を優先的に獲得するかを決めます。
優先的に進めるべきかどうかの指標は以下のとおりです。
- 企業規模
- 業界内での影響力
- LTV など
例えばですが、Tier1企業は「従業員数が500名以上で、業種は○○、競合の○○製品を導入している、××に課題を抱えている」など、具体的に決めることが非常に重要です。ここまで解像度高く設定できていること=ターゲット顧客の解像度が高い状態であり、営業提案が刺さりやすくなります。
2. ABMの専門チームを作る
ABMを行うときは、専門チームで動くのがおすすめです。
ABMはアカウント選定からコンテンツ作成、効果検証まで一連のプロセスで成り立っています。チーム内で役割分担するとうまく連携でき、情報の反映も容易なので、スムーズかつ効果的なABMに進められるでしょう。
そもそもABMは営業部門とマーケティング部門で構成することが多く、それぞれ以下のような役割があります。
営業部門 | マーケティング部門 |
---|---|
ターゲット選定 | コンテンツ作成 |
意思決定者の確認 | マーケティング戦略 |
自社商材の提案営業 | リードナーチャリングの設計 |
カスタマージャーニーの作成 |
営業部門は名前のとおり、営業活動に関係している業務を担当します。
提案する自社商材からどの企業がマッチしているか選定したり、決めたターゲット企業にいる意思決定者は誰なのかを探したりします。
「【戦略→施策へ】ABMで活用する4つの施策」で紹介した施策を実施して意思決定者の動きを確認したのちに接触を図り、自社商材の提案営業を実施しましょう。
一方で、意思決定者と直接関わることはないが、営業部門と意思決定者が直接接触できるようにサポートするのがマーケティング部門です。
意思決定者の興味を引くようなコンテンツを作成したり、自社商材を求める人に届けられる導線を引くマーケティング戦略を立てたりします。
さらに意思決定者の購買意欲を高めるリードナーチャリングの設計と意思決定者が今どの段階にいるのか判断できるカスタマージャーニーの作成を行います。
営業部門・マーケティング部門それぞれ数人を選んで、チームを編成しましょう。
3. ABMツールを利用する
ABMツールとは、企業情報の収集や顧客選定、営業をサポートしてくれるツールです。具体的な機能は、以下のとおりです。
- 企業情報の集約
- 企業名寄せ
- 企業分析 など
工数がかかるリサーチや分析を短時間でできるので、業務効率化が見込めます。詳しい分析もできるので、質のよいアプローチも可能になるでしょう。
なお、こちらの記事「プロがおすすめするABMツール5選!基本機能や選定ポイントも解説」では、ABMツールについて詳しく紹介しています。
「ABMツールを使ってみたい」という方はぜひ参考にしてみてください!
ABM戦略で自社の売上を伸ばしていこう
ただ闇雲にABMを導入しても、効果はあまりなく、かけたコストや時間が水の泡になってしまいます。導入前には戦略を立てて、売上が伸ばせるか確認するようにしましょう。
とはいえ「売上が伸びる」と判断しても、本当に伸びるかどうか確信が持てない方も多いのではないでしょうか。
株式会社リードファクトリーでは、ABMやその他のBtoBマーケティングの相談を受け付けております。今なら無料で相談できるので「自社のABM戦略について教えてほしい」という方はお気軽にご相談ください!
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。