【図解】BtoBマーケティングに役立つフレームワークを紹介

BtoBマーケティングにおける現状分析や戦略策定において、フレームワークを活用することは非常に有効です。

フレームワークを活用することで、効率的に一定の成果を得られやすくなり、客観的なデータに基づいた意思決定が可能になります。

本記事では、BtoBマーケティングで使えるフレームワークを目的別に、図解を用いてわかりやすく解説します。

BtoBマーケティングのフレームワークとは

BtoBマーケティングのフレームワークとは、企業間取引におけるマーケティング活動を体系的に整理し、戦略立案や実行を支援するための概念的な枠組みのことです。

フレームワークは、マーケティングの目的や対象、手法などを明確化し、複雑なビジネス環境の中で効果的なアプローチを見出すための指針となります。BtoB企業は、自社の製品やサービスの特性、ターゲット企業の属性、意思決定プロセスなどを考慮しながら、適切なフレームワークを選択し、活用することが求められます。

本記事では、BtoBマーケティングで広く用いられている16つの主要なフレームワークについて、それぞれの概要と適用方法、事例を交えて詳しく解説します。これらのフレームワークを理解し、自社の状況に合わせて適切に組み合わせることで、BtoBマーケティングの成果を最大化することが可能になるでしょう。

マーケティングにおいて現状分析や戦略策定などのさまざまな場面で活用できます。

BtoBマーケティングにフレームワークを活用するメリット

BtoBマーケティングにフレームワークを活用することで得られるメリットは下記の2つです。

  • 情報を整理し、体系化できる
  • 定量的な根拠を基にした戦略立案がしやすくなる

BtoBマーケティングにフレームワークを活用することで、時間を削減して効率的に情報を整理できます。また、定量的な根拠に基づいた戦略立案ができるため、PDCAを回しやすい点もメリットとして挙げられます。

情報を整理し、体系化できる

BtoBマーケティングでフレームワークを活用することで、情報を整理し、体系化できます。

フレームワークでは名前の通り、型にはめて思考を整理するため、ゼロから考える必要がありません。また、型にはめて情報を整理することで、課題や問題がわかりやすくなり、メンバー間の共通認識として共有しやすくなります。

定量的な根拠を基にした戦略立案がしやすくなる

フレームワークを活用することで、自社の状況や市場の構造を定量的な数字を基に考えられるようになります。

戦略立案をする際も、主観的な判断ではなく、数字を基にして考えられるほか、戦略の実行後も理論的に分析ができます。

また、多くの情報の中から適切に取捨選択ができるため、効率的に正しい解決法が導き出せるようになる点もメリットです。

BtoBマーケティングで使えるフレームワークを目的別に紹介

BtoBマーケティングにおける環境分析・戦略立案・施策立案の際に使えるフレームワークを目的別に紹介します。

BtoBマーケティングにおけるフレームワークの種類

環境分析で使えるフレームワーク

環境分析で使えるフレームワーク5つと、解決できる課題、活用の目的は下記の通りです。

フレームワーク活用の目的・解決できる課題
3C分析マーケティング環境を分析し、自社だけができる市場に求められていることを把握する
PEST分析自社に影響を与える外部要因を分析し、事業をおこなううえでの脅威と機会を把握する
5F分析外部環境による脅威を分析し、自社の収益にどのような影響を与えるかを把握する
SWOT分析内部環境と外部環境による脅威と機会を分析し、既存事業の改善点や新規事業のリスクを把握する
VRIO分析自社の経営資源を把握し、競合他社と差別化を生み出す

3C分析

3C分析とは、「自社(Company)」「他社(Competitor)」「市場・顧客(Customer)」の3つの視点から分析をおこなうフレームワークです。自社を取り巻く環境の整理に有効です。3C分析をおこなう際は、主観的な情報ではなく、事実を集めるようにしましょう。

BtoBマーケティングにおいては、自社の3C分析のほかに、顧客企業から見た3C分析も行う必要があります。これを自社の3C+顧客企業の3Cで6C分析と表現することもあります。

PEST分析

PEST分析は下記4つの外部環境が、自社にどのような影響を与えるかを予測するためのフレームワークです。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

PEST分析は外部環境の中でも特にマクロ環境を把握する際に活用され、主に事業戦略を考える際に使用されます。

5F(ファイブフォース)分析

5F(ファイブフォース)分析

5F(ファイブフォース)分析は業界の収益構造から、自社の利益の上げやすさを分析するフレームワークです。ファイブフォースとは、下記の5つの脅威のことを表しています。

  • 既存競合他社
  • 新規参入企業
  • 買い手
  • 売り手
  • 代替品

これら5つの脅威を分析するには、収益性を上下させる要因を掘り下げ、十分な収益性を確保できるような戦略へと落とし込んでいくことが重要です。

SWOT分析

SWOT分析

SWOT分析は自社の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワークです。下記の4つの視点から環境を洗い出します。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

SWOT分析は内部環境と外部環境を分析し、現状を把握し、今後の戦略を立てる際に活用します。SWOT分析をおこなう際は、ブレなく分析をするために、分析の目的を明確にしておきましょう。

VRIO分析

VRIO分析とは、自社の経営資源を下記4つの視点から評価する際に活用します。自社の経営資源を明確化し、自社の強みと弱みを把握できます。

  • Value(価値)
  • Rareness(希少性)
  • Imitability(模倣可能性)
  • Organization(組織)

VRIO分析では、自社の経営資源や競合優位性を有形資産、無形資産、組織力などを考慮して分析します。社員の能力や、所持している不動産、自社のビジネスの独自性や組織体制なども経営資源に含まれます。

戦略立案で使えるフレームワーク

戦略立案で使えるフレームワーク6つと、その意味、活用の目的は下記の通りです。

フレームワーク活用の目的・フレームワークの意味
STP分析市場にける自社や商品の立ち位置を把握する
6RSTP分析をおこなううえでの6つの注意点
AIDMA消費者の購買行動プロセスの代表的なモデル
AISCEASリードナーチャリングが重要視されるなった近代的な消費者の購買行動プロセス
LTV分析1人の顧客から生涯に得られる利益の総額
PPM分析自社の事業や製品の立ち位置を明確にして、経営資源の適切な投資配分を決める

STP分析

STP分析は「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つの頭文字を取って名付けられた分析方法です。

顧客のニーズや自社製品の強みの把握、他社との差別化ポイントの明確化ができ、ターゲットの絞り込みや自社のポジショニングを考える際に活用できるフレームワークです。

マーケティングの根幹である、「誰に(WHO)、何を(WHAT)、どうやって(WHO)」を決める上で非常に役に立つため、マーケティング戦略を考える上では非常に重要な考え方になります。

STP分析をおこなった後には、市場規模や成長率も意識して、4P分析やPEST分析などの別のフレームワークも活用してSTP分析の結果が適切かどうかを判断する必要があります。

6R

6RはSTP分析をおこなう際に用いる6つの指標を指す言葉です。6Rは下記の6つの言葉の頭文字から名付けられています。

  • Realistic scale(市場規模)
  • Rate of growth(成長性)
  • Rival(競合の状況)
  • Rank(優先度)
  • Reach(到達可能性)
  • Response(測定可能性)

この6つの指標を用いることで、STP分析をおこなう際に分析内容が偏ってしまうことを防げます。マーケティングにおいて分析をおこなう際に、よく自社の視点に偏ってしまうことがありますが、6Rの指標を用いることで、顧客やユーザー視点でも考えられるようになります。

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買プロセスの代表的なモデルの1つです。消費者が辿る下記の流れの頭文字を取って名付けられました。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

マーケティングにおいて、消費者の行動プロセスに合わせたアプローチが重要です。同様の消費者の購買プロセスにAISASやAISCEASなどのプロセスもあります。

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)は、AIDMAと並ぶ購買プロセスモデルの1つで、下記の購買プロセスの頭文字を取って名付けられたものです。

  • Attention (注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Comparison(比較)
  • Examination(検討)
  • Action(購買)
  • Share(共有)

この購買プロセスはBtoBでもBtoCでも変わりませんが、BtoBの場合は扱う金額が大きいことや、意思決定社が複数いることが多いため、より購買プロセスが複雑化する傾向にあります。

LTV分析

LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値とも呼ばれ、一人の顧客から得られる利益の総額を指します。このLTVは複数の計算式で求められるため、着目するポイントによって使い分ける必要があります。

LTVの算出方法の例は下記です。

  • LTV=年間取引額×収益率×継続年数
  • LTV=平均購入単価×購入回数×収益率
  • LTV=(売上高 ー 売上原価)÷購入者数

LTVを高めるためには、単価や利益率を上げるほか、顧客ロイヤリティを高めて購入単価や購入回数を上げる方法も有効です。

PPM分析

PPM分析

PPM分析とは「Product Portfolio Management(プロダクトポートフォリオマネジメント)」の略称です。PPM分析では、市場成長率と市場占有率の2つの軸で、事業や製品、サービスを下記4つに分類し、経営資源の適切な投資配分を判断します。

  • 花形(Star)
  • 金のなる木(Cash Cow)
  • 問題児(Problem Child)
  • 負け犬(Dog)

市場成長率、市場占有率がともに高い花形に対しては、利益が出しやすいものの、競争率も高いため、積極的な投資判断をおこないます。一方で、市場成長率も市場占有率も低い負け犬に対しては、撤退をする、もしくは花形事業で得た余剰資金を再分配していく判断をするケースが多くあります。

施策の立案で使えるフレームワーク

施策の立案で使えるフレームワーク4つと、解決できる課題、活用の目的は下記の通りです。

フレームワーク活用の目的・解決できる課題
4C分析顧客視点の4つの観点から自社製品を分析する
4P分析製品・サービス視点で施策を立案する
4E分析4Cに変わる分析方法で顧客に与える付加価値を明確にする
ペルソナ/カスタマージャーニーマップ自社の製品やサービスを購入してくれる理想的な顧客像と、ペルソナの購買プロセスを明確にする

4C分析

4C分析は、顧客視点で考えるためのフレームワークで、下記4つの頭文字を取って名付けられたものです。

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(顧客コスト)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

4C分析では、顧客目線で自社商品の強みを分析することができ、顧客にもたらす価値を再確認することができるのがポイントです。顧客視点で求められている商品やサービスを把握できるため、新商品やサービスを開発する際にも有効です。

4P分析

4P分析はマーケティング施策を考える際に用いられるフレームワークで下記4つの頭文字を取って名付けられたものです。

  • Product(製品・サービス)
  • Price(価格)
  • Place(販売場所・提供方法)
  • Promotion(販促活動)

顧客視点の4C分析と異なり、4P分析では、製品・サービス視点で分析をしていきます。戦略立案よりも施策立案に近いかたちで、具体的にどのような内容をしていくのかに着目しているのがポイントです。

4E

4Eとは、4Pに置き換わる新しい考え方として注目されています。

  • Experience(体験)
  • Exchange(交換)
  • Evangelism(伝道)
  • Every Place(どこでも)

これら4つの言葉の頭文字を取ったもので、モノではなくコトに着目して、顧客目線に立った商品設計や体験のような付加価値を顧客に与えることを重要視しています。

ペルソナ/カスタマージャーニーマップ

ペルソナは、自社の製品やサービスを購入してくれる理想的な顧客像のことを指します。この顧客像を明確化することによって、共通認識を持つことができ、顧客の具体的なニーズを予測することが可能です。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナが商品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動を旅に見立てて図式化したものです。カスタマージャーニーマップを作成して全体を見渡すことで、顧客の段階に応じた適切なマーケティング施策を策定できます。

詳細は以下の記事で解説していますので、よければご覧ください。

BtoBマーケでのペルソナ作成手順やポイント【無料テンプレ有】

BtoBマーケティングのカスタマージャーニーの特徴とは?作り方とBtoCの違いについて

まとめ

BtoBマーケティングにおいてフレームワークを活用することで、効率的な意思決定が可能です。また、定量的なデータを用いて意思決定をするため、一定の成果が誰でも出しやすく、PDCAも回しやすいメリットもあります。

リードファクトリーでは、環境分析や戦略策定のための無料相談をおこなっております。BtoBマーケティングのフレームワークを用いて、効果的な戦略や施策をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。