「インサイドセールスの立ち上げはどうすればいいの?」
「インサイドセールスの立ち上げに失敗したくない…」
このような疑問や悩みを持っていませんか。
インサイドセールスをうまく利用すると、営業効率化はもちろん、企業の売上アップにもつながります。しかしインサイドセールスを立ち上げるにはどんな準備が必要かイメージつきづらいですよね。
そこで本記事では、以下の内容を解説します。
- インサイドセールスとは
- 立ち上げが成功する道筋
- 失敗しない立ち上げポイント
- 立ち上げ成功・失敗事例
インサイドセールスの立ち上げに失敗したくない方にとって必見の記事です。立ち上げの成功・失敗事例についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【大前提】インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、非対面で見込み客に営業する内勤型営業のことです。以下のITツールを使いながら見込み客にアプローチします。
- メール
- 電話
- ZoomやGoogle MeetなどのWebツール など
インサイドセールスは、獲得した見込み客が自社商品やサービスに興味を持ってもらい、より受注確度の高い状態で、フィールドセールスに引き渡します。
インサイドセールスとフィールドセールスで分業すると、営業プロセスにおける業務の質が向上し、受注率・企業売上を上げられます。インサイドセールスとフィールドセールスの違いについては以下の記事を参考にしてみてください。
インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?連携方法も解説
インサイドセールス立ち上げが成功する道筋【準備から運用まで丸ごと解説】
インサイドセールスの立ち上げが成功する道筋について紹介します。結論からお伝えすると以下の7ステップです。
- 訴求する商品・サービスを決める
- 目的と業務範囲を決める
- 目的を達成するための戦略を決める
- 訴求する手順を決める
- 担当者を選び、育成する
- トークスクリプトを作成する
- ツールを導入する
準備から運用まで丸ごと解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
訴求する商品・サービスを決める
まずはインサイドセールスで訴求する自社商品やサービスを決めます。ここで重要になるのは、訴求する自社商品やサービスは「1つのみ」とします。初めから複数の商品やサービスで立ち上げてしまうと、見込み客にどの商品やサービスを訴求すれば良いかわからなくなります。その結果、立ち上げに失敗してしまうからです。
まずは1つの商品やサービスで立ち上げ、インサイドセールスが成功すれば他の商品やサービスも訴求すると良いでしょう。
目的と業務範囲を決める
次に目的と業務範囲を決めます。インサイドセールスの目的は以下の2つです。
- 新規商談数
- 渡したリードの受注率
インサイドセールスは見込み客が自社商品やサービスに興味を持ってもらい、新規商談まで進めます。また引き渡した商談案件がどれくらい受注になったのかも意識しましょう。
どこから見込み客を獲得するのかを数値化します。数値化すると目指すべきゴールが明確になり、戦略決めや改善がやりやすいからです。たとえばお問い合わせフォームからは〇〇%、セミナーからは〇〇%と明確にします。
数値化できたら、インサイドセールスがどこまでの業務を担当するかを決めます。インサイドセールスは見込み客のニーズをヒアリングして、商談案件までアプローチするのが一般的です。ターゲット層が広かったり、単価が低い商品やサービスであれば、インサイドセールスがクロージングすることもあります。
目的を達成するための戦略を決める
目的が決まれば、達成するための戦略を立てます。インサイドセールスは何をすべきかのルールを作ります。例えば以下のとおりです。
- お問い合わせやセミナーなどから流入したら、〇分後に架電する
- 1日〇〇件アプローチする
- 1日の活動を振り返り、PDCAを回す
これらを設定することで、インサイドセールスは何をすれば良いかが明確になります。
4. 訴求する手順を決める
次に訴求する手順を決めます。訴求する手順を統一すると、新規商談数や受注数にムラがなく、売り上げが担保できるからです。
具体的には顧客のフェーズをカスタマージャーニーに当てはめて考えます。例えば自社商品やサービスを見つけた「認知フェーズ」であれば、メルマガや記事を配信して次のフェーズに誘導します。見込み客が「導入検討フェーズ」であれば、見積もりを出したり、キャンペーンを打ち出したりして購買意欲を高められるでしょう。
このようにどのタイミングでどの営業活動を行うかをカスタマージャーニーで考えるのがおすすめです。
担当者を選び、育成する
戦略や手順がすべて決まれば、インサイドセールス担当者を選んで育成します。インサイドセールスに必要な能力は以下のとおりです。
- ITスキル
- 言語化能力
- マーケティング力
インサイドセールスはITツールを使うので、ある程度のITスキルが必要になってきます。見込み客とのコミュニケーションは、テキストが一般的です。自社商品やサービスの特徴を言語化できると良いでしょう。
自社商品やサービスを必要な人に届けるには、マーケティング力も必須です。ターゲット層はどこから情報を得ているのか、メールかセミナーどちらが最適なのかを決められる人材はインサイドセールスでも大きな戦力になります。
トークスクリプトを作成する
次にトークスクリプトを作成します。ここで注意するのは、テレアポのようなトークスクリプトにしてはいけません。なぜならインサイドセールスは、新規商談数だけでなく、見込み客の受注確度を上げるのも目的だからです。
具体的には「はい」や「いいえ」のようなクローズドクエスチョンではなく、「どうでしょうか」といったオープンクエスチョンを取り入れます。見込み客の状況をヒアリングするトークスクリプトを作成しましょう。
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ツールを導入する
最後にツールを導入します。理由は以下のとおりです。
- インサイドセールスと情報共有できるから
- 見込み客を分析し、数値で教えてくれるから
インサイドセールスは商談案件をフィールドセールスに引き渡すので、顧客情報を正確かつスムーズに共有しなければなりません。一例ですが、CRMツール(営業管理ツール)を用いると、フィールドセールスと連携しやすくなります。
見込み客の動きを分析して、最適なタイミングでアプローチできると、受注確度が向上しやすいです。そこでMAツール(マーケティングオートメーション)を使います。MAツールは受注確度を数値化して知らせてくれます。どんなアプローチをすれば良いか、またフィールドセールスへの引き渡しタイミングも判断可能です。
【失敗防止!】インサイドセールスの立ち上げポイント5つ
インサイドセールスを立ち上げるポイントについて解説します。結論からお伝えすると以下の5つです。
- 周りの協力を得る
- 決裁権者も参加する
- 成果基準を明確にする
- 内容を分析し、共有する場を作る
- 規模は小さくスタートし、徐々に大きくする
これらを守ると、インサイドセールス立ち上げに失敗しにくくなります。ぜひ取り入れてみてください。
周りの協力を得る
インサイドセールスの活動範囲は営業活動に留まらず、マーケティングにまで及びます。関連する幅が広いため、関わる社員も多いです。インサイドセールスの立ち上げ段階において、関係している部門にはあらかじめ説明します。伝える内容は以下のとおりです。
- 目的と目標
- 戦略
- 体制
- どんな協力を希望するか など
インサイドセールスはまだまだ浸透していない営業方法です。導入する際は社員に正しく伝わるように心がけましょう。
上司とKPIを握る
インサイドセールスの立ち上げ成功には、上司とのコミュニケーションも大事です。特に、目的のあやふやなまま立ち上げをしてしまうと失敗する確率が高いので、必ず上司を巻き込み、KPIのすり合わせをしましょう。
具体的には以下のシーンで携わると良いでしょう。
- 追うべき数字は何か
- 定期ミーティングの開催
- 各案件の進捗を確認
- うまく運用できていないときの改善案を考える
決裁権者が積極的に参加すると、現場のモチベーションにもつながり、インサイドセールスの立ち上げが成功する可能性が上がります。
リードのトスアップの基準を明確にする
インサイドセールスでは、トスアップの基準を明確にすると成功につながりやすいです。インサイドセールス導入初期は、フィールドセールスとの認識のズレが生じるかもしれません。
例えばインサイドセールス側は「受注確度が高く、ニーズにあっていたからフィールドセールスに引き渡した」とします。しかしフィールドセールス側は「確度が低かったので、受注できなかった」という食い違いが発生します。
このような食い違いはよくあるパターンです。インサイドセールスのトスアップ基準を明確にし、フィールドセールスも基準を知っておくと、食い違いを減らせます。
を分析し、共有する場を作る
インサイドセールスが立ち上げ初期に活動した内容を分析し、社内で共有する場を設けます。立ち上げ時はどんな活動をして、どんな成果だったかを確認・分析します。具体的には以下の内容です。
- 商談案件数と受注率
- 見込み客とのコミュニケーション内容
- トークスクリプトのチェック
- 見込み客の課題
分析すると見込み客とのコミュニケーションが悪かったり、トークスクリプトが活用できなかったりがわかります。
分析した結果をミーティングで共有します。分析結果から改善することや目的の再確認などはもちろん、インサイドセールス全体の評価も伝えましょう。インサイドセールスはモチベーション維持が課題になりやすいです。良いところと改善するところを伝えると、モチベーション維持につながります。
こうしたミーティングは最低でも月に1回は必要です。期間が空いてしまうとインサイドセールスのPDCAを回すサイクルが遅くなり、改善点を修正できず失敗してしまうリスクが高くなります。定期的なミーティングはインサイドセールスの運用が浸透していき、目的達成に貢献するでしょう。
最初は小さくスタートし、徐々に大きくする
インサイドセールス立ち上げ時は小さくスタートします。立ち上げ当初は少人数で活動するとうまくいく可能性が高いです。これはPDCAが行いやすく、成果が早く反映されるのでスムーズな運用ができます。
成功した場合、どんな要因で成功したのかを分析します。分析結果を再度インサイドセールスで運用し、何度か成果が出て、増員するといった流れです。いきなり規模を大きくしてしまうと、修正しづらくなり結果的に失敗します。
このように少しずつ成果を出していき、拡大することが重要です。
インサイドセールス立ち上げに失敗した事例【失敗から学ぶ】
ここではインサイドセールスの立ち上げに失敗した事例を紹介します。結論からお伝えすると以下の2社です。
- IT会社A|ターゲット設計に失敗した
- 広告代理店会社B|計画を誤った
失敗から学べることもたくさんあるので、参考にしてみてください。
IT会社A|ターゲット設計に失敗した
ITサービスを提供しているA社では、新サービスをリリースしてから数年が経過し、営業結果が思うように伸びなくなっています。そこで新規顧客を獲得するために、インサイドセールスを立ち上げます。
新規顧客を獲得するために、作成した見込み客リスト1,000件に架電でアポイントを実施。しかし成果につながった案件は10件のみ、そして受注につながったのは0件でした。
ここでの失敗は、ターゲット設計が大きな要因でした。A社が提供しているITサービスは中小企業がメインターゲットと誤認。これまで中小企業への導入実績があったので、中小企業にばかり電話していました。
本来は急成長のベンチャー企業がメインターゲットでした。中小企業同士の繋がりが多く、紹介営業で売上が伸びていたことが判明しました。
訴求する自社商品やサービスはだれに向けたものなのかを明確にする必要があります。闇雲に新規顧客のアポイントを獲得するのは、インサイドセールスの目的ではありません。ターゲット設計は怠らないようにしましょう。
広告代理店会社B|計画を誤った
広告代理店会社のB社は見込み客リストは十分にあり、営業をかける準備は完了しています。しかしフィールドセールスが既存顧客の対応で新規開拓まで手が回らない状態です。
そこで、急遽規模の大きいインサイドセールスを立ち上げて、商談案件までアプローチします。しかし立ち上げ時の規模の大きさや引き渡しタイミングが明確ではなかったので、結果的にフィールドセールスの業務が増えてしまいました。
ここでの失敗は、インサイドセールス立ち上げの計画を入念に組まなかったことです。インサイドセールス立ち上げ時は訴求する商品やサービスの決定から戦略、人員確保、ツールの決定まで行わないといけません。さらに少人数で動かし、PDCAを回すところを飛ばして立ち上げているので失敗しました。
インサイドセールス立ち上げは入念な計画が必要です。見切り発車で進めてしまうと、見込み客リストを消化してしまい、成果が全く得られないかもしれません。会社に大きな影響を与えてしまう場合があるので、注意しましょう。
インサイドセールス立ち上げに成功した事例
次にインサイドセールス立ち上げに成功した事例を紹介します。
- コンサルティング会社C|人材を入念に選定した
それぞれ順番に解説します。
コンサルティング会社C|人材を入念に選定した
コンサルティング会社のC社はインサイドセールスの目的やトークスクリプトの準備・改善は正社員が行い、架電はアルバイトが行う体制です。単にアルバイトを決めているわけではなく、本業が俳優や劇団員といった「演者」や「表現者」を採用しています。
演者や表現者なので、声質や表現力が高く、見込み客に寄り添ったコミュニケーション能力が備わっているので、商談案件になりやすいです。
先述しましたが、インサイドセールスはモチベーション維持が難しいです。しかし本業が演者や表現者であると、「このように話すともっと伝わりやすい」といった発見が本業でも使えるので、自然とモチベーションを維持できます。
まとめ:インサイドセールス立ち上げの成功計画を立てよう
インサイドセールスの立ち上げを成功させるには、以下の内容が重要です。
- 訴求する商品・サービスを決定し、戦略や人材選定を入念に計画する
- 立ち上げ時は少人数で行い、成果が出たら増員させる
- 過去の実績や導入例を細部まで分析し、明確なターゲティングを行う
インサイドセールスを闇雲に立ち上げると、フィールドセールスに負担がかかるだけでなく、企業の売上に悪影響を及ぼすかもしれません。立ち上げは慎重に行い、スモールスタートで進めていくと徐々に成果が出ます。仮に失敗したとしても最低限の損害だけで済むでしょう。
インサイドセールスの立ち上げに成功したい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。リードファクトリーでは、インサイドセールスに関する無料相談をおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。