「ABMのイメージがつかない…」
「ABMを導入するメリットは?」
「ABMを効果的な戦略にする方法は?」
ABMを導入している企業は増えていますが、実際に活用するとなると、自社に取り入れたときのイメージが浮かびにくいでしょう。また実際にあった事例と効果がわからないと、導入を決定するのもためらいますよね。
そこで本記事では以下の内容を解説します。
- ABMの特徴
- ABMの導入事例
- ABMを導入するメリット
この記事を読むことで、ABMを導入したときの効果やイメージが理解できます。
「ABMを導入し、売上を伸ばしたい」という方はぜひ参考にしてみてください!
BtoBスタートアップのマーケティングガイドブック
【簡単に解説】ABMとは?
ABMとは、自社にとって価値のある企業を選び、売上を伸ばすマーケティング手法でAccount Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略です。
ABMにおいて、ターゲット企業や組織を「アカウント」と呼びます。
アカウントを設定し、ニーズを正確に捉えて、コンテンツの作成・発信を実施したり、メッセージを提供したりします。
ここで重要なことは、ターゲットは企業ではあるものの、実際にアプローチする対象は、アカウントにいる意思決定者です。何を求めているのか、どういった属性に位置しているのかなどを理解しましょう。
なお、ABMの特徴は「【これで完璧!】ABMとは?メリットや導入ステップも紹介」で解説しています。
「ABMについて詳しく知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
【徹底解説】ABMの導入事例10選を紹介
ここからはABMの導入事例を以下の10個紹介します。
- ペルソナ設定企業分析からアプローチを最適化
- 製品から最適な提案が可能
- 部署間の連携でBtoB顧客化率が7倍
- 部門間の連携と情報の一斉送信が可能
- 顧客理解のスピードと精度を高めることに成功
- 企業全体の連携と作業効率アップ
- 作成時間とコンタクトにかかる時間を約50%削減
- 4万社のターゲットを2,000社まで絞って効率化
- インサイドセールスの商談獲得率3倍にアップ
- アポイントからの案件化率66%に改善
「ABMを導入したいけどイメージが湧かない」という方はぜひ参考にしてみてください!
1. ペルソナ設定企業分析からアプローチを最適化
スマホ決済サービスを提供しているPayPay株式会社は、新規のターゲット企業を手動で探していました。情報収集・分析などもすべて実施していたので、工数が多く、膨大な時間がかかっていました。
さらに集めた情報は、業種や売上などの企業属性が不足していたので、営業やマーケティングに活用できない状況でした。
PayPay株式会社はABMツールを用いたABMを実施し、効率的なリサーチと企業属性を整備しました。
その結果、ペルソナの設定や企業属性の分析が容易になり、新規アカウントに最適なアプローチが可能になりました。
ABMツールには、多くの企業情報が保存されており、会社が持つ取引実績データを組み合わせると、市場の開拓度が可視化されます。優先度の高いアカウントを選定でき、効率的かつ効果的なアプローチができるようになりました。
2. 製品から最適な提案が可能
おもに電子デバイスの研究や生産、販売をおこなうグローバル企業の村田製作所は、幅広い分野で利用できる製品が多数あり、顧客に合うものはほとんど保有していました。
しかしあまりに多いので、顧客ニーズに合った商品を適切に選定しにくい状況でした。
ABMを導入し、すでに導入していたMAツールを用いて、以下のとおりに進めました。
- アカウント企業の担当者の名刺情報を営業支援ツールに登録
- 登録情報がMAツールに自動連携
- 関心の高いコンテンツをアップロード
- 掲載した履歴をMAツールで配信
- コンテンツのダウンロードを促す
その結果、メールのクリック率が36%も向上し、売上にも大きく貢献しました。
3. 部署間の連携でBtoB顧客化率が7倍
日本最大級のポータルサイトのヤフー株式会社は、時間と場所にとらわれない「新しい働き方」を目指し、ABM導入に踏み切りました。導入後は、以下の3つを重要視したデータ管理に注力しました。
- 精度:どれだけ正しい情報か
- 鮮度:どれだけ新しい情報か
- 粒度:どれだけ細かい情報か
顧客管理とその洗い出しを徹底的に実施したことで、既存顧客に関連した企業や、取引まで至っていない支店へのアプローチも成功しました。
最終的には適切なデータ管理と潜在顧客に最適なアプローチをして、BtoB顧客化率が7倍にアップさせました。
4. 部門間の連携と情報の一斉送信が可能
ITサービス事業の日本電気株式会社(NEC社)は以下の3つをABMで実践しました。
- 迅速な情報共有
- インサイドセールスの重視
- 一貫性に基づいたメッセージの発信
情報共有では、MAツールに登録されるリードが、SFAツールにも自動で共有できるように設定し、マーケティング部から営業部にフォロー呼びかけとチャットを活用しました。
またインサイドセールスによってリードが最適化されたことで、確度の高い案件のみが営業部に引き渡しが可能。営業は顧客課題を把握した状態で商談できるので、スムーズに進められ、受注確度が上がりやすくなりました。
顧客によって見ているコンテンツが異なるので、幅広くコンタクトポイントを持つように顧客に知ってもらう機会を増やしています。
現在は、メディアやクリエイティブを用いながらも「一貫したメッセージ」となるようコンテンツマネジメントに統制しています。
5. 顧客理解のスピードと精度を高めることに成功
クラウドアプリケーション・プラットフォームを提供している株式会社セールスフォース・ジャパンは中小・中堅企業に営業する前のリサーチで、公式サイトから得られる情報が少なく、情報収集に時間がかかり、情報の質も高くありませんでした。
そこで、ABMとともにABMツールも導入した結果、業界レポートで顧客をスピーディに理解できたので、営業前の調査時間が1社あたり2時間から30分程度に削減しました。
既存顧客の分析も活用したことで、ターゲットリストの精度・契約率も向上しました。
6. 企業全体の連携と作業効率アップ
経済情報サービスを提供する株式会社ユーザベースは、顧客管理やターゲットの絞り込み、失注案件のフォローにも手が回らず、アプローチが困難な状況でした。
またイベントやセミナーを実施する際も、メール配信ツールがなかったので、集客にかなりの時間を要していました。
そこでABM戦略を実施し、MAツールを導入した結果、顧客管理の自動化と全体の情報共有を強化し、連携を強めました。
さらに顧客情報の分析により、成約への見込みが高いターゲットを絞り、アプローチに成功。営業効率アップに加えて、受注率は約5倍になり、売上は前年の約2倍伸ばせました。
7. 作成時間とコンタクトにかかる時間を約50%削減
機械部品の仕分けや検品、運搬といった倉庫作業を請け負う株式会社LGIは、リスト作成の際に、特定のホームページを閲覧したユーザーからリストを作成し、営業活動していました。
しかし、リスト作成に時間がかかってしまい、それと同時に営業するタイミングも遅くなりました。
ABMを導入した結果、企業情報の網羅性と分析レポートによって、リスト作成時間と商談までにかかっていた時間を50%に削減しました。
従来の作業時間を設けると、単純計算で2倍早くなるので、効果も2倍以上でした。
8. 4万社のターゲットを2,000社まで絞って効率化
コンピュータソフトウェアの開発と販売を実施しているSAPジャパン株式会社は、保有データが日本企業と合わない場合が多く、新たな情報収集や分析に時間がかかり、非効率なインサイドセールスをおこなっていました。
またアカウントへのアプローチは経験が要する属人的な営業だったので、ABMによる改善が必要だったので、導入を決意しました。
これにより、データに基づくアカウント選定やインサイドセールスの動きも変化が起こり、情報を集めたり、分析したりする時間が削減できたので、、インサイドセールスのコール数が1〜2割増加しました。
ターゲットのBANT情報を確認して営業に持ちかけるようになり、リード獲得の効率化も実現しました。
9. インサイドセールスの商談獲得率3倍にアップ
コンテンツマーケティングによる集客支援を提供している株式会社ウィルゲートはマーケティングチームを立ち上げたことで、インサイドセールス部門は作成したリストを営業部に渡すだけだったので、部署間での連携が取れない状態でした。
インサイドセールスの生産性向上と効果的なアプローチを実施するためにABMを導入しました。その結果、アカウントリストを精査して見込みのある企業にメール配信しクリック率は3倍に増加し、セミナーへの申し込み数も2倍に増えました。
またインサイドセールスはリストを上から順にコールしていくだけでしたが、ABM導入後はアポイント獲得のための仮説を立てて、リスト作成もするようになりました。
なお、こちらの記事「インサイドセールスとは?メリットや成功する会社の特徴を解説」では、インサイドセールスについて解説しています。
「インサイドセールスの基本を知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください!
10. アポイントからの案件化率66%に改善
企業のサイバーセキュリティ対策を提供しているファイア・アイは、2018年にマーケティングの基本的な基盤が整っておらず、営業と連携もできていませんでした。
またマーケティング部門と営業部門でゴールも共有できておらず、どのゴールに対して行動すればよいかわからず、具体的なアクションができていません。
ABMレポートを導入し、マーケティング部門と営業部門がお互いの役割から連携させ、効率的に質の高い案件創出を目指しました。
マーケティング部門と営業部門の連携を強化し、適切な営業タイミングを把握できるようになったので、アポイントからの案件化率66%を達成しました。
【事例から】ABM導入の5つのメリット
事例からわかるAB導入の5つのメリットは以下のとおりです。
- ROIの向上
- リソースの最適化
- 効果測定の簡易化
- 企業ごとにパーソナライズ化
- 営業部門とマーケティング部門の連携
それぞれ順番に解説します。
1. ROI(投資対効果)の向上
ROIとは、Return on Investmentの略で、特定の期間に行うマーケティングの投資に対して、どれくらいの利益を得たのかを表す指標です。
限られたリソースの中で、成約見込みの高いアカウントに絞ってアプローチしているので、売上につながりやすくなっています。
前項の導入事例で紹介した株式会社LGIは、ABMを導入したことで、これまでかけてきた時間の半分でリスト作成と営業担当者によるアプローチが可能になっています。
とくに営業リストや分析は、工数がかかるので、ABMに特化した「ABMツール」を導入するのがおすすめです。
正確なリスト作成・分析を瞬時に出せるので、効率化に最適なツールです。
ABMツールについては「プロがおすすめするABMツール5選!基本機能や選定ポイントも解説」で解説しています。
「おすすめのABMツールを知りたい」という方におすすめなので、ぜひ参考にしてみてください!
これ1本で丸わかり!MAツールの選び方(50P超)
2. リソースの最適化
見込みのあるアカウントを選定しているために、リソースに最適化したアプローチができます。
従来の営業方法の1つとして、リストにあるリードを順番にアプローチする方法で、受注確度が低い企業にも営業します。
しかし、全リードにアプローチしても、契約、具体的な商談につながる見込みは低いので、時間やコスト、さらには人などが無駄になるかもしれません。
ABMは受注確度の高いアカウントのみに絞り込み、アプローチするので、コストや人材などが無駄になりにくく、手法によっては高額な広告費でさえも抑えられます。
3. 効果測定の簡易化
どのマーケティング施策でも、どれくらい効果が出たのかを数値で確認しなければなりません。とくにABMはアプローチするアカウント数が少ないので、効果測定が比較的簡易にできます。
従来であれば、多くのリードを対象にマーケティング施策を行い、効果を測定します。しかし、数が多ければその分測定しなければなりません。
また数が少ないと、より効果的なアプローチになるように改善でき、具体的な仮説も立てられます。
そこから出た効果的な施策を実施する、といったPDCAを回せるので精度の高いマーケティング施策を実施できるようになります。
4. 企業ごとにパーソナライズ化
企業ごとに特定のコンテンツを発信するといったパーソナライズ化ができます。なぜなら自社に関心をもってもらい、受注確度をあげられるからです。
リードが多い状態で、パーソナライズ化した対応だと、時間がかかってしまい、他の業務に支障をきたすかもしれません。
仮に1件1件質のよいメッセージを送り、どこかのタイミングで、簡易的なメッセージが送られると、顧客としては不審感を抱き、受注確度は下がる可能性があります。
ABMだと対応する企業は少ないので、興味・関心から最適なメッセージやコンテンツが届けられます。
5. 営業部門とマーケティング部門の連携
「何のためにこの業務をしているか」という共通認識が必要で、部署全体の連携がとれていると、目的に一貫性があり、成約につながりやすいと考えられます。
こうした中でもABMは営業部門とマーケティング部門の連携に特化しており、見込み客のニーズや課題を十分理解したうえでアプローチや見込み客に対して発信するメッセージを送ります。
営業部とマーケティング部の連携がうまく取れなければ、目的が共有されず、ズレたまま進み、期待していた効果が生まれず、失敗してしまいます。
ABMの成功事例から導入イメージを持とう
ABMを導入したいと考えても具体的なイメージがつかないと躊躇ってしまうものです。しかし、今回紹介した導入事例で、自社で使っている想像ができた方も多いのではないでしょうか。
ABMはターゲット対象が少なくなる分、リサーチや正確な分析ができると、自社の売上があがるといったポテンシャルが十分にあります。「ABMに興味がある」「導入してみたい」という方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
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