「ABMって何?」
「ABMのメリットは?」
「ABMを導入するステップを知りたい」
BtoBマーケティング領域において、注目されている手法がABMです。もともと2000年初めにありましたが、新型コロナウイルスの影響から徐々に注目され始めたABM。とはいえ「ABMがどのような手法だったのか忘れてしまった」という方も多いのではないでしょうか。
ABMを導入すると、費用対効果が高く、顧客に最適なアプローチができるので、売上アップには有効な手段であるといえます。
本記事では、以下の内容を解説します。
- ABMの特徴
- メリット・デメリット
- 売上最大化できる7ステップ
「ABMで売上を伸ばしたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
株式会社リードファクトリーでは、ABMを含めたBtoBマーケティング支援を実施しています。ABMの構築・運用をサポートしておりますので、「ABMの運用に不安がある」という方は無料相談までお気軽にお申し付けください!
ABMとは、価値の高い企業を選定し、売上最大化を狙うマーケティング手法
ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略で、価値の高い企業を選定し、売上最大化を狙うマーケティング手法です。
具体的な方法としては、ターゲット企業を設定し、その企業のニーズを正確に捉えて、コンテンツを発信したり、メッセージを提供したりします。
ABMという言葉は近年から出てきましたが「繰り返し訪問して課題を読み取る方法」という体制が昔からあり、自然とABMと似た営業活動が行われてきました。
リードベーストマーケティングの違いは?
ABMはリードベーストマーケティングと比べられることが多いですが、ここでは違いを表を使って解説します。
ABM | リードベーストマーケティング | |
---|---|---|
ターゲット | 企業(アカウント) | 個人(リード) |
KPI | 質 | 量 |
規模 | 中堅〜大企業 | 中小企業 |
ビジネスの特性 | 既存ビジネスを広げる | 新規ビジネスをサポートする |
営業方法 | 電話をかける | 電話を受け取る |
ABMでは大企業をメインに営業をかけていきます。どこの企業に営業をかけるかは決まっているので、その企業のニーズにあった自社商材を提案します。
また決まった企業を狙っているので、量ではなく質で勝負することが多いでしょう。
一方でリードベーストマーケティングは、名前のとおりリードをターゲットにした営業手法です。中小企業をメインターゲットにしており、基本的には質より量勝負で営業していきます。
カスタマージャーニーに沿ったコンテンツから自社に興味や関心を高めていくインバウンド営業となっています。
ABMが注目されている3つの理由
徐々に頭角を表してきたABMですが、なぜ注目されているのでしょうか。理由は以下のとおりです。
- 高LTV顧客にリソースを集中したいから
- ツールが進化したから
- 営業活動が変化したから
順番に詳しく解説します。
1. 高LTV顧客にリソースを集中したいから
ABMは特定の高価値顧客(エンタープライズ企業)にリソースを集中させるため、より効率的にマーケティング予算を使用できます。これにより、ROI(投資収益率)の向上が期待できます。
エンタープライズ企業を中心とした高LTV顧客に集中することで、1アカウントあたりの顧客生涯価値(LTV)を最大化する機会が増えます。これは一時的な売上増加だけでなく、中長期的な観点から持続的な成長に直結します。
2. ツールが進化したから
ツールが急激な進化をしたことで、ABMが実施しやすくなっています。これは技術が進化し続けているからが主な原因です。
これまでは、膨大なデータ数があったので、企業を理解するまでにかなりの時間を有していました。しかし、情報収集と管理に特化したMAツールやCRMツールが普及したことで、効率的なリサーチができるようになったのです。
3. 営業活動が変化したから
新型コロナウイルスの影響で営業活動のあり方に変化が生じました。今までは対面での営業が多くなっていましたが、オンラインでの営業に変化しています。これにより新規開拓が難しくなり、新規売上も低くなっている状況です。
そこでMAやCRMに蓄積されているデータをどのように活用していくかが重要視され、接点のある顧客のLTVを高めるといった関係値を伸ばしています。
現在はコロナ禍が落ち着き、新規顧客を獲得していくなかで、データから顧客を選定し、アカウントに最適なメッセージを送る手段として、ABMも注目されています。
ABMを導入する4つのメリット
ABMの特徴は理解できたでしょう。ここでは実際にどのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。メリットは以下のとおりです。
- 費用対効果が高くなる
- PDCAを回しやすくする
- 顧客に最適なアプローチができる
- 営業とマーケティングとのスムーズな連携がとれる
「ABMを導入したい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
費用対効果が高くなる
1社あたりの売上が高ければ高いほど費用対効果は高くなります。企業単位でやり取りをしているので、今後も継続的に自社商品を購入する可能性が高いからです。
1社あたりの売上が自社で設定した平均顧客単価よりも非常に高いのであれば、通常よりもたくさんリソースを割いても、大きな利益になるかもしれません。また、エンタープライズ企業との取引については、開始するのは非常に大変である(セキュリティ要件、稟議など)ものの、一度取引が開始すれば継続することが多いです。
従って、必要な部分にコストをかけて、大きな利益をとる体制を取ることができ、中長期的にLTVをあげられます。
PDCAを回しやすくする
成功に導く方法で重要なPDCAを高速で回せます。少数の顧客をターゲットにしているので、回転率が非常に高くなるでしょう。
ABMは企業単位でのリサーチが必要です。組織図のリサーチ、部門ごとのセールスストーリーの考案、アプローチ戦略などを実施するためABM開始直後はどうしても時間がかかってしまいます。
しかし、特定のアカウントを特定し焦点を当てることで、各施策の効果をより正確に測定し、戦略の継続的な改善が可能になります。
顧客に最適なアプローチができる
ABMは限られたターゲットにアプローチでき、1つのアカウントに多くのリソースを費やします。その結果、顧客ニーズに合わせた最適なアプローチが可能です。
より多くのリソースを割けるので、ターゲットのニーズを明確に汲み取り、顧客に合わせた施策が行えます。ターゲットからの信頼も構築できるので、今後の関係性にもメリットがあります。
また不特定多数に向けられたメッセージよりも、自分のために送られてきたメッセージのほうが刺さりやすいので、成約しやすいかもしれません。
対応数が限られている中で、最高のパフォーマンスがとれる体制がABMなのです。
営業とマーケティングとのスムーズな連携がとれる
営業とマーケティングはそれぞれ目標が異なるので、意思疎通ができず、バラバラになる可能性が高いといわれています。
具体的には以下のとおりです。
- マーケティング部門の目標:多くのリードを獲得する
- 営業部門の目標:多くの成約・受注をもらう
そこで隅々までリサーチをしたABMが介入することで「顧客のニーズを解決するにはどうしたら良いか」という目標を確立させます。すると営業とマーケティング、ABMは同じ目標に向かっているので、質のよい徹底した価値提供ができるでしょう。
ABMはマーケティング・営業含めて一つの目標に向かう体制を構築します。
ABMを導入する3つのデメリット
ABMはメリットだけでなく、デメリットも存在します。しかし知っておくことで、軽減する対策はとれます。デメリットは以下の3つです。
- 結果が出るまで時間がかかる
- 1企業に対するリソースが大きくなる
- 自社商材を複数持っていなければならない
それぞれ順番に解説します。
1. 結果が出るまで時間がかかる
ABMは会社全体で取り組むべき体制なので、軌道に乗せるには、ある程度の時間が必要です。
会社全体が抱える施策なので、部署でも多少のリスクは生じます。とくにABMと密に関わる営業部門は、良好な関係の顧客を打ち切る形になるかもしれません。その結果。ABMに対して将来性を感じなくなり、導入とは反対の姿勢を見せる可能性があります。
またさまざまな部門や支店・事業所があると、連携も必要となります。
導入してすぐにできるわけではないので、まずは会社全体でABM導入の目的や将来性について伝えましょう。
2. 1アカウントに対するリソースが大きくなる
1アカウントにフォーカスしているので、リソースの消費が大きくなりがちです。一つひとつのアカウントに対して徹底したリサーチと顧客理解をしなければなりません。
一般的なセールスやマーケティング手法と比べるとリソースの使い方が全く異なります。
3. 自社商材を複数持っていなければならない
1つのアカウントから多くの売上を獲得するときに、自社商材を複数持っていなければなりません。なぜならクロスセルやアップセルで売上を最大化させるからです。
具体的にはメインの自社商材に関連する商品の購入を促して、売上を伸ばします。そのため関連商品がないと、売上を伸ばし切れません。
また自社商材が低単価だとABMを導入しても成果は上げにくいでしょう。
【売上最大化!】ABMを活用するための7ステップ
ここからは売上最大化できるABMの活用7ステップを紹介します。7ステップとは以下のとおりです。
- ステップ1. 自社の目標でABM導入が必要か確認する
- ステップ2. チームを編成する
- ステップ3. ターゲット企業をリスト化する
- ステップ4. 特定のニーズや課題を探す
- ステップ5. アカウントの決裁権者を見つける
- ステップ6. アプローチ方法を決める
- ステップ7. ABMツールを導入する
順番に解説します。
ステップ1. 自社の目標でABM導入が必要か確認する
自社が掲げる目標の中で、ABMの導入は必要かどうか確認しましょう。全ての企業が必要とは限らず、意味もなく導入しても、無駄になってしまうからです。
以下の条件に当てはまるのであれば、ABMで売上は伸ばせるでしょう。
- ターゲットが限られる
- 高単価な自社商材を販売する
自社が達成したい目標に合うかどうか一度立ち止まって考えます。
ステップ2. チームを編成する
ABM導入が必要であれば、チームを構築するほうが良いでしょう。顧客の特性によって適切にアプローチできるからです。
たとえば、顧客管理ツールのCRMを提案する際は、ターゲットがマーケティング担当者であれば、機能の使いやすさや正確に分析できるスペックなのかが判断基準です。一方で経理担当者は、情報共有できるかや、いくらかかるのかなどで判断します。
そこで、チームからマーケティング目線で商談できる担当者、経理面から商談できる担当者をそれぞれアサインすれば、機会損失に陥ることなく、アプローチできます。
ステップ3. ターゲット企業をリスト化する
チーム編成ができたら、ターゲット企業のリストを作成します。どのような属性を持つ企業にアプローチすべきかがわかるからです。
具体的には以下の点を押さえて作成しましょう。
- 売上規模はどれくらいか
- リピーターになってくれるか
- アップセルかクロスセルどちらが最適か
蓄積された顧客データを分析して、どの属性にアプローチすべきかをリスト化していくのがおすすめです。
ステップ4. 特定のニーズや課題を探す
リストを作成できれば、特定のニーズを満たす課題を探します。ニーズに当てはまらないと商品は売れません。
具体的な方法は、ターゲットの業種や規模感、市場の動きなどを中心に分析します。その結果、企業が抱える問題やニーズを把握できます。
またアンケートで調査したり、同じ業種のクライアントを持っている担当者に聞いたりもできます。分析だけでは判断できないニッチな顧客ニーズが見つかるかもしれません。
ステップ5. アカウントの決裁権者を見つける
スムーズな取引を実現させたいから作成したリストの中から決裁権者やキーパーソンを見つけます。
会社規模が大きいと決裁権者は複数人いるので、立場や役職を確認しておきましょう。
決裁権者をスムーズに見つけられなければ、以下のようなオフラインイベントで接触できるかどうか試す必要があります。
- 説明会
- セミナー
- 展示会 など
またSNSでアカウントを見つけて、DMを送るといった方法も効果的です。
ステップ6. アプローチ方法を決める
アカウントの決裁権者を見つけたら、アプローチ方法を決めましょう。
ターゲットを絞っているため、最適なアプローチになるコンテンツ、もしくはメッセージにしなければなりません。営業と密に連携し、相手企業の検討プロセスや受注までの課題を確認しながら、課題解決できるアプローチにしていきます。
とくに決裁権者をペルソナとして、刺さるような情報をコンテンツにして発信しましょう。またどの媒体で発信するかも重要で、ターゲットがどのような媒体で情報収集しているのか、どのコミュニケーションツールを使っているのかが把握する必要があります。
あらゆる接触方法を見つけ出し、最適な手段でアプローチしていきましょう。
ステップ7. ABMツールを導入する
ABM施策をより効果的にするためにツールを導入します。ABMツールを導入すると、企業データの管理やターゲットやキーパーソン選定、効果測定ができます。
ABMツールは特化したツールですが、MAツールやSFA/CRMツールでも代用可能です。MAツールは企業が行うマーケティング活動をサポートするツールで、業務効率化はもちろん、リードのスコアリングする機能があります。そのため、受注確度の高いアカウントを優先的にアプローチできます。
一方でSFA/CRMツールは、顧客情報を一元管理できたり、営業を効率化したりできるツールです。顧客の購入頻度や行動から分析し、最適なアプローチを打ち出しやすくなります。またメッセージのやり取りや定型的な業務に関しても自動化できるので、業務効率化も図れます。
業務効率化と最短で最大効果を得るために、ツール導入は必須といえるでしょう。
なお、こちらの記事「プロがおすすめするABMツール5選!基本機能や選定ポイントも解説」ではABMツールについて詳しく解説しています。
「ABMツールが気になる」と少しでも思った方は、ぜひ参考にしてみてください!
ABMを導入し、売上最大化を目指そう
ABMのメリット・デメリットを理解した状態で、構築・運用すると売上が伸びたり、継続的な受注をいただけたりします。ABMを導入し、売上最大化を目指していきましょう。
株式会社リードファクトリーでは、ABMはもちろんBtoBマーケティング全般の支援をおこなっています。お客様の状況から最適な方法でABMの構築・運用をサポートいたしますので「ABMで売上最大化を目指したい」という方はぜひお気軽にご相談ください。
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。