デジタル時代に、顧客との関係性を築き、維持することは企業にとってますます重要な課題となっています。
顧客からのフィードバック対応や問題解決の迅速化、そしてパーソナライズされたサポートの提供が求められる中、カスタマーサポートチームの役割や機能は複雑化し、負担も増加しています。
「顧客からの問い合わせを一元管理して、効率的に解決したい」
「顧客のサポートデータをマーケティングやセールスに活かせていない…」
「カスタマーサービスの質を高め、長期的な関係を築きたい」
このような課題に直面していませんか?
そんな問題をHubSpotの強みである、CRMによる一元的なデータの管理やAIによる簡単で効果的なコンテンツ作成により抜本的な解決が可能です。
本記事では、Service Hubの料金体系から主要な機能、また活用方法やおすすめの企業様の特徴について詳しく解説します。
HubSpot(ハブスポット)とは
HubSpotは営業・マーケティング・カスタマーサクセスを効率化するためのCRM(顧客関係管理)システム兼MAツール(マーケティングオートメーションツール)です。
よく比較されるSalesforceやMarketoなどの違いとしては、HubSpotというツールでCRMとMAツールの両方の機能を有しているという点です。SalesforceにはMarketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)というMAツールが別途あります。
HubSpotで顧客とのやり取りを一元的に管理することで、リードの育成から受注までのプロセスを非常に容易に管理することができます。
また、企業の目的や個性、成長度合いに応じて柔軟にカスタマイズすることが可能なので、例えば、受注時と失注時のプロセス、メールの開封率等を詳細に比較分析し、マーケティングや営業活動を改善することなどができます。
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価格体系と無料で使える機能
HubSpotの購入方法は大きく分けて「まとめて機能を買う方法」と「機能ごとに買う方法」があります。
まとめて購入する場合
“Customer Platform”と呼ばれ、マーケティングや営業に必要な基本的な機能が全て内包された製品です。
料金形態は以下の通りですが、価格によって社内で使用できる人数や一部サービスの上限数が増えます。
“無料”プランはもちろん、”Starter Customer Platform”プランでもマーケティングや営業活動に必要な基本的な機能が備わっています。各種無料プランがあります。無料プランでは機能に制限がかかるものの、一部機能を無料で使用することができるため、気になる方は無料プランで使用感を確かめることをお勧めします。
プランに関して詳しくはHubSpot公式HPをご覧ください。
機能毎に購入する場合
HubSpotは以下の通り、6つ機能を軸にサービスを展開しています。
- サービス
- マーケティング
- セールス
- コンテンツ
- オペレーション
- コマース
今回は顧客サービスの領域である「Service Hub(サービスハブ)」の料金形態と機能についてをご紹介します。プランの詳細は公式サイトからご確認ください。
プラン | 価格(月額) | アップグレードする機能 |
---|---|---|
無料 | 0円 | |
Service Hub Starter | 1,800円 | (無料プランに比べ) ・ウェブチャット ・ミーティングのスケジュール設定 ・Eメールとアプリ内チャットサポート ・コミュニケーションの自動割り当て ・シンプルなチケットの自動化 が追加されます。 |
Service Hub Professional | 10,800円 | (Starterプランに比べ) ・プレイブック ・サービスアナリティクス ・顧客フィードバックアンケート ・カスタマーポータル が追加されます。 |
Service Hub Enterprise | 18,000円 | (Professionalプランに比べ) ・シングルサインオン ・コミュニケーションインテリジェンス ・フィールドレベル権限 ・カスタムオブジェクト ・管理者通知の管理 が追加されます。 |
各種無料トライアルがあり、無料プランでも以下の充分な機能を使うことができますので、ぜひお試しください。
- コンタクト管理
- チケット管理
- アナリティクス
- サービス分析によるサービスレポートの作成
- レポート作成ダッシュボード
- Eメール
- 共有の受信トレイ
- チームの共有アドレス
- ウェブチャットの設置
HubSpotの無料のミーティング調整機能については「【無料で使える】HubSpotの日程調整ツールの機能を徹底解説」で詳細を解説しているので是非ご覧ください。
HubSpotのService Hub(サービスハブ)とは?他のHubとの違いを解説
前述した通り、HubSpotは6つの製品で構成されています。すべてに”Hub”と記載されているため、違いがわかりにくい部分はありますが、それぞれの製品の機能は以下の通りです。
- Service Hub(サービスハブ)
- カスタマーサポート対応の一元管理
- チケットによる応対管理、オムニチャネル対応のヘルプデスク
- FAQサイト(ナレッジベース)による独自のヘルプ記事ライブラリー構築
- Marketing Hub(マーケティングハブ)
- 見込み顧客・リード管理を目的としたMAツール(マーケティングオートメーション)
- マーケティングキャンペーン管理、比較
- Sales Hub(セールスハブ)
- 商談管理を中心としたCRM・SFAツール
- パイプライン管理やインサイドセールスのコール管理
- 営業活動(商談数、受注数、受注金額)の進捗・フォーキャスト管理
- Content hub(コンテンツハブ)
- CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)ソフトウェア
- 柔軟性の高いテーマやドラッグ&ドロップ操作のページエディターでサイトを簡単に構築可能
- 流入数やコンバージョン数などのウェブサイトのパフォーマンスを分析
- Operations Hub(オペレーションハブ)
- さまざまなアプリ間の同期、顧客データのクレンジングや整理
- JavaScriptまたはPythonベースのアクションをもとに自動ワークフローを構築可能
- Commerce Hub(コマースハブ)
- 見積もり、決済、レポート、顧客データの全てを一元管理
Service Hubを一言で表すと、CRM(顧客関係管理)を基盤としたカスタマーサクセスツールです。
CRMの一元管理で顧客情報を集約することによって、迅速かつ統一された顧客対応を可能にします。また、蓄積データを分析してサポートプロセスを最適化し、顧客満足度の向上をさせていくようなツールです。
また、Service Hub以外のHubの解説もしています。併せてご参照ください。
SalesHubについては「【HubSpot】Sales Hub(セールスハブ)とは?他のHubとの違いを解説」でプランやできることを解説しています。
MarketingHubについては「【HubSpot】Marketing Hub(マーケティングハブ)とは?他のHubとの違いを解説」でプランやできることを解説しています。
HubSpot Service Hubの大型アップデート紹介(2024年4月アップデート)
2024年4月のアップデートでは、高度な自動化機能と統合機能を通じてチームのワークフローを効率化し、顧客とのやり取りを改善するために設計された様々な機能が導入されました。特に、AIが搭載された予測ツールやアナリティクスツール、またチャットBOTなどのGPT機能が大きくアップデートされました。
詳しくは、こちらのHubSpot公式HPをご覧ください。
Service Hub(サービスハブ)で使える機能について
今回は「Service Hub(サービスハブ)」について、以下の三つを切り口に使用可能な機能や用途について解説します!!
- 問い合わせ数削減と顧客満足度向上
- セールスやマーケティングと連携した一貫性のある顧客対応
- 蓄積データによる詳細なカスタマーサービスの分析と活用
順番に詳しく解説します。
問い合わせ数削減と顧客満足度向上
Service Hubは、洗練されたヘルプデスク機能とCRMで蓄積された顧客情報を元に、迅速でポイントを突いた効果的な顧客対応を自動で行うことが可能です。
これにより、問い合わせ数の削減に加え、対応の遅れを改善を促し、顧客の更なる興味を引き出すことが可能です。適切なアクションをタイムリーに自動で実施することで、顧客満足度を大幅に向上させます。
また、Service Hubでは、CRM上に問い合わせ内容とその対応履歴を集約することが可能です。これに基づいてHubSpotのAIが瞬時に対応を行うため、顧客が何度も同じ説明を繰り返す必要がなくなり、ヘルプデスクの効率化が図れます。
さらに、FAQページやチャットBOTの作成は、初めてカスタマーサポートシステムを導入する企業にも、新たにService Hubを自社システムと併せて導入する企業にも最適です。直感的なインターフェースでデザインでき、また高機能なAIシステムを兼ね備えているため、現場での迅速な導入と効果が見込めます。
Service Hub(サービスハブ)具体的な機能紹介
・ナレッジベース:一般で言うFAQサイトを作成することが可能です。よくある質問やトラブルシューティングガイドなど、顧客が自力で問題を解決できる情報をCRMのデータを元に提供します。これにより、サポートチームへの問い合わせ件数を減らしつつ、検索エンジン最適化(SEO)にも貢献します。
・ウェブチャット作成:GPT搭載のHubSpot自社Aiによって、顧客とリアルタイムでコミュニケーションを取ることが可能になります。Webサイト訪問者の疑問に即座に答えることで、コンバージョン率を高め、顧客体験を向上させます。さらに、チャットボットを導入することで、24時間対応が可能になり、業務時間外でも顧客に価値を提供します。
・コールのトラッキングと分析:顧客との電話対応をCRM上に詳細に記録し、そのパフォーマンスを分析することができます。これにより、どの通話が効果的か、どの通話が改善を要するかを把握し、セールスやサポートの効果を向上させるためのインサイトを得ることができます。また、通話のデータをマーケターやセールスチームと共有することで、効果的な戦略や顧客対応を実現することが可能です。
セールスやマーケティングと連携した一貫性のある顧客対応
Service Hubは、ヘルプデスクやマーケティング、営業職間の連携を強化し、顧客サポートの効率化を目指す企業にとって理想的なツールです。このプラットフォームは、顧客の問い合わせなど顧客の動向に関する情報を統合し、それを社内の各部門で共有することで、組織全体で協調した顧客対応を可能にします。
具体的には、蓄積されたサポートデータを分析し、どの顧客がどの段階のフォローアップを必要としているのかを判断し、マーケティングが必要とした場合は顧客のニーズに即したキャンペーンや情報発信を行うことで、顧客満足度の向上に貢献できます。
一方、営業にトスアップしても問題ないと判断した場合は、過去の問い合わせ履歴を参考に、個々の顧客に最適化されたアプローチを取ることができます。
さらに、HubSpotのCRM機能により、顧客情報が一箇所に集約され、社内での情報共有が容易になります。
これにより、顧客対応の質が全体的に向上し、一貫性が増すことで、最終的には顧客との長期的な関係構築につながります。
Service Hub(サービスハブ)具体的な機能紹介
・チケット管理:Service Hubのチケット管理機能は、自社のお問い合わせフォーム、メールでの問い合わせ、またFacebookチャットなど多種多様なチャンネルと接続し、HubSpot上で一括管理することが可能です。また各チケットに対して担当者を自動で割り当て、進捗状況を追跡することで、対応漏れを防ぎ、迅速な解決が図れます。
・オムニチャネル:顧客とのあらゆる接点で一貫した体験を提供します。メール、電話、問い合わせチャット、各SNSのメッセージなど、複数のチャネルからの問い合わせを一元的に管理し、顧客がどのチャネルを利用しても、同じ水準のサポートを受けられるようにすることで、ブランド全体での顧客満足度を向上させることが可能です。
・共有の受信トレイ:顧客からの問い合わせを一元管理し、チーム全員がリアルタイムでアクセスできる機能です。これにより、誰がどの問い合わせに対応しているかを即座に把握でき、対応の重複や漏れを防ぎます。また、過去のやり取りも簡単に参照できるため、顧客とのコミュニケーションの一貫性が保たれます。チーム間の連携が強化されるだけでなく、迅速かつ効果的な顧客対応が実現します。
・プレイブック:様々な要件対応に対するベストプラクティスを社内間で共有し、チーム全員が一貫した方法で対応できるようにするためのツールです。新しいチームメンバーでも、対応者が異なっても、ある一定の高いレベルの顧客対応を実現させることができ、顧客との関係がより強固なものになります。
・ヘルプデスク:HubSpotのヘルプデスク機能は、自動搭載されたAIを活用してチケット処理の効率化を図ります。AIは問い合わせ内容を分析し、適切な担当者への自動割り当てや、よくある質問への即時対応を行います。また、様々なソート機能が搭載されているため、必要に応じたカスタマイズが可能です。
蓄積データによる詳細なカスタマーサービスの分析と活用
HubSpotのService Hubでは、顧客からの問い合わせやサポート履歴などのデータを蓄積し、そのデータを活用して詳細なカスタマーサービスの分析を行うことが可能です。これにより、顧客対応の効率化や、頻繁に発生する問い合わせのパターンを把握し、プロアクティブな対応を取ることにより顧客のインサイトを得ることができます。
これらの分析結果は、単なる問題解決にとどまらず、カスタマーサービスの品質向上や、全体的な顧客体験の向上にも寄与します。具体的には、よくある問い合わせや問題点に対する標準的な対応フローの整備や、FAQの充実、チャットボットの精度向上などが考えられます。また、顧客の反応やフィードバックをもとに、より効果的なサービス提供の手法を見つけ出し、業務の最適化を図ることが可能です。
さらに、蓄積データをマーケティングやセールスと共有することで、顧客ニーズを的確に反映したプロモーションや営業活動を展開できます。これにより、顧客との関係性がより深まり、長期的な信頼関係の構築が促進されます。
Service Hub(サービスハブ)具体的な機能紹介
・カスタマーサービスアナリティクス:顧客対応のデータを詳細に分析し、サービスのパフォーマンスを測定するためのツールです。これにより、サポートチームの対応時間、解決率、顧客満足度などの重要な指標をリアルタイムで把握できます。トレンドやパターンを可視化することで、改善が必要な領域や最も効果的な対応方法を特定し、カスタマーサービスの効率化と品質向上を目指します。
・フィードバックアンケート:顧客のサービスや製品に対する意見や感想を自動で収集するツールです。アンケートを通じて得られる顧客の声は、サービスの改善点や新たなニーズを把握するのに役立ちます。これにより、顧客の期待に応えるための具体的なアクションプランを策定でき、顧客満足度の向上や、リピーターの獲得に繋げることができます。HubSpotのフィードバックアンケートは、簡単に作成・配信でき、収集したデータは自動で集計・分析されます。
・カスタマーポータル:顧客自身が問い合わせ履歴や対応状況、またナレッジベースをオンラインで確認できる専用のポータルを設置することができます。これにより、顧客は自分の問題の進捗状況をリアルタイムで把握でき、必要な情報にすぐにアクセスすることができます。ポータルはまた、過去の問い合わせ内容やFAQなども参照できるため、自己解決を促進し、サポートチームへの依存度を減少させることができます。
Service Hubの導入がおすすめな企業の特徴
HubSpotのService Hubは紹介させていただいた通り、顧客対応の段階で生じる課題を解決しつつ、マーケティングやセールスに活かし企業活動を促進するには最強のツールです。
以下のような企業にはマッチすると考えられます。
・質の高い顧客対応を維持しながら、迅速化と業務負担の軽減を目指す企業
社内で蓄積したベストプラクティスの共有や一部自動化を通じて、サポートチームの業務をより効率的し、顧客満足度を向上させることができます。特に、AI駆動のナレッジベースやヘルプデスク、チケット管理機能がサポートチームの業務を強化します。
また、顧客の自己解決を促進し、サービス業務の負担を軽減したい企業にもおすすめです。ナレッジベースやカスタマーポータルを活用することで、顧客が必要な情報に簡単にアクセスできるようになり、サポートチームの負担を軽減します。
セールスとマーケティング部門との連携を強化したい企業
顧客情報を一元管理し、セールスやマーケティングと連携して統一された顧客対応を実現したい企業には、Service Hubが最適です。ご紹介した様々な機能を駆使し、社内で統一した協力体制を構築し、一貫性のある顧客体験を提供できます。また、蓄積された顧客データを分析することで、ニーズやトレンドを把握し、より効果的なサービス提供やマーケティング戦略の立案が可能です。カスタマーサービスアナリティクスやフィードバックアンケートの機能により、データドリブンなアプローチを実現し、戦略的な意思決定がサポートされます。
多チャネルでの顧客対応が必要な企業
顧客との接点が多様で、メール、電話、自社サイト、各SNSチャットなど複数のチャネルを管理する必要がある、または目指している企業に向いています。Service Hubのオムニチャネル機能により、どのチャネルからの問い合わせも一元的に管理し、全ての顧客に対して一貫したサポートを提供できます。
まとめ
本記事では、HubSpotのService Hub(サービスハブ)で使用できる機能からその用途までを解説しました。
Service Hub(サービスハブ)を活用することで、顧客対応の段階で生じる課題を解決しつつ、マーケティングやセールスに活かし企業活動を促進することが可能です。
リードファクトリーでは、HubSpotの導入支援をおこなっています。無料相談もおこなっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
これ1本で丸わかり!MAツールの選び方(50P超)
一橋大学商学部卒。ENEOS株式会社に新卒で入社。日本最大級の屋内型テーマパークの立ち上げ、ベンチャー企業でマーケティング責任者としてBtoBマーケティング、インサイドセールス等の立ち上げ。その後、プライム市場上場のグローバル医療メーカーにて、海外BtoBマーケティングに従事。その後、BtoBマーケティング・営業DX支援の株式会社LEAD FACTORY.を創業。