エンタープライズ開拓で失敗しないために。BtoBマーケティングのターゲティング戦略と3つの注意点

エンタープライズ開拓で失敗しないために。BtoBマーケティングのターゲティング戦略と3つの注意点

エンタープライズ向けに展開したい、高単価な層にアプローチしたい。これは多くのBtoB企業が一度は考える方向性だと思います。

ただ、ターゲット企業数を絞り込むという意思決定には、見落とされがちなリスクがいくつかあります。

今回は、施策の現場で感じてきた「狭いターゲティング」の難しさと、実際に踏み出すときの進め方についてお話しします。

エンタープライズ開拓でターゲットを絞ると起こる3つのリスク

エンタープライズ開拓でターゲットを絞ると起こる3つのリスク

大企業向けにターゲットを絞り込むという判断は、事業戦略としては自然な発想です。単価も高く、一社決まれば売上へのインパクトも大きい。ただ、実際に施策を動かしてみると、想定していなかった負担が積み重なっていくことが多いです。

まず一つ目は、リードタイムの長期化です。大企業の場合、部署をまたいだ稟議や複数の決裁者の合意形成が必要になることがほとんどで、初回接点から受注まで半年、一年とかかることも珍しくありません。ターゲット企業数がもともと少ないところにこの時間軸が加わると、成果が出るまでの期間はどうしても長くなります。

二つ目は、打てる施策の数が限られてしまう点です。ターゲットリストが数十社、数百社という規模になると、広告のセグメント配信もウェビナー集客も、母数の少なさゆえに反応数自体が伸びにくくなります。施策のPDCAを回そうにも、そもそも試行できる回数が少ないので、改善のサイクルを速く回すこと自体が難しくなってしまいます。

三つ目は、アプローチしても適切なライトパーソンにたどり着けるかが不透明という点です。大企業になるほど組織構造が複雑で、名刺交換した相手が本当に決裁に関わる人物かどうかは、実際に商談を重ねてみないとわからないことが多いです。名前は知っていても、その人が意思決定にどこまで関与しているかは外からは見えにくいというのが実情だと思います。

エンタープライズ開拓で競合とバッティングしやすい理由

もう一つ気になる点として、大企業をターゲットにする発想自体は、自社だけのものではないということが挙げられます。同じ業界、同じ課題感を持つ企業であれば、競合も同様にエンタープライズ層へのアプローチを検討している可能性が高いです。

限られた大企業のリストに対して、複数社が同時にアプローチをかけている状態になりやすく、結果として提案の差別化や関係構築のスピードで競り負けてしまう場面も出てきます。ターゲットを絞れば絞るほど、競争環境も同じように絞り込まれていくというのは、意外と見落とされがちな視点かもしれません。

エンタープライズ開拓に着手する前に確認しておきたいこと

エンタープライズ開拓に着手する前に確認しておきたいこと

ここまでの三つのリスクを踏まえると、エンタープライズ戦略を検討する際にまず考えておきたいのは、「その戦略に、どれだけ我慢できるか」という点です。リードタイムが長く、施策の打席数も少ない領域で成果を出そうとすると、一年、二年という期間、目立った受注がない状態が続く可能性があります。その間の営業活動やマーケティング投資を支えられるだけのキャッシュフローがあるか、組織としてその期間を乗り切れる体力があるか。ここは戦略設計そのものよりも先に、現実的な問いとして向き合っておきたいところです。

あわせて、「今、本当にエンタープライズ企業に需要があるか」という視点も持っておきたいところです。自社から「大企業を狙うぞ」と決めるだけでなく、大企業側のサービス選定の場面で、すでに自社の名前が挙がるようになっているか。

もう少し具体的にいうと、問い合わせが偶発的ではなく安定的に増えているか。成功事例と呼べる実績が、少なくとも一つ二つ積み上がっているか。こうしたサインが見え始めているタイミングであれば、無理のない形でチャレンジに踏み出しやすくなります。逆に、こうしたサインがまだ乏しい段階で号令だけをかけてしまうと、体力を消耗するだけで終わってしまうリスクが高まります。

エンタープライズ開拓の具体的な進め方

体力とタイミングの両方が整い、いざエンタープライズ企業向けにアプローチすると決めたときは、進め方そのものにも工夫の余地があります。ここでは実際の現場でよく見られる打ち手をいくつかご紹介します。

まず土台になるのが、ターゲットリストの設計と運用です。過去の受注データやLTVの傾向をもとに狙う企業像を定義し、企業単位のリストを組んだら、そこからさらに人物単位のリストへと広げていきます。経営層そのものよりも一段下の、事業部長や部門責任者クラスまで解像度を上げてリスト化すると、数百社のリストが数千人規模の人物情報にふくらんでいきます。

接点づくりの手段は、一つに絞らず複数を並行して試しておくのがおすすめです。実際によく使われている手法を挙げると、次のようなものがあります。

エンタープライズ開拓の具体的な進め方
  • 手紙によるアプローチ(CXOレター):個別にカスタマイズした手紙を継続的に送る方法です。デジタルな接触が飽和しているキーパーソンほど反応しやすく、月によってはアポ獲得率が1割を超えるケースも見られます
  • リファラル:既存クライアントや協業先からの紹介です。すでに信頼関係がある紹介経由のため、初回から警戒されにくく話が早い傾向があります
  • マッチングサービスの活用:エンタープライズ企業との接点を持つプラットフォームを使い、自社だけでは届きにくい層との出会いをつくる方法です
  • 業界カンファレンスへの出展・登壇:インバウンドに近い形でキーパーソンと自然に接点を持てる場です。名刺交換の質そのものが高くなりやすいのも特徴です
  • クライアントを招いた勉強会:既存クライアントに登壇や参加をしてもらい、周辺の企業やパートナーを巻き込みながら関係を広げていく方法です
  • エンタープライズ企業限定のクローズドイベント:対象を絞って定期開催することで、営業色を出しすぎずに信頼関係を積み重ねやすくなります

架電やメールだけに頼らず、こうした手段を組み合わせておくと、限られたターゲット数の中でも接点の総量を確保しやすくなります。

受注後の展開でも、セグメントごとに提案のつくり方を変えておくと成果につながりやすくなります。

エンタープライズ向けには個社ごとのオーダーメイド提案、中小企業向けにはパッケージ化した提案というように、資料や売り方をあらかじめ分けておくイメージです。実際、こうした提案品質の整備によって受注率が数倍に伸びたという事例も見られます。

また、事例コンテンツづくりは単なる販促目的にとどまらない価値を持ちます。導入企業への取材はそれ自体が決裁者と直接話せる貴重な商談機会になり、そこで語られる本音から次の提案の糸口が見つかることも少なくありません。

エンタープライズ開拓の成果を正しく評価するための指標の置き方

エンタープライズ領域は自社の過去データが少なく、商談数やリード数だけを追っていると、実態と評価がずれてしまうことがあります。中小企業向けの施策と同じ感覚で「今月のリード獲得数」や「商談化率」を見てしまうと、母数が少ないぶん数字が安定せず、施策が良かったのか悪かったのか判断がつきにくくなります。

例えば、月に数件しかアプローチできない大企業リストに対して、ある月は商談化率が高く出て、翌月はゼロになるということも普通に起こります。ここで一喜一憂して施策の方向性をコロコロ変えてしまうと、本来評価すべき中長期の傾向が見えなくなってしまいます。
だからこそ、短期の費用対効果だけで判断せず、四半期や半期といった単位で「投資」として捉える割り切りが必要になってくる場面があります。評価軸としては、月次のリード数よりも、一定期間を通じた受注件数や、商談が着実に前に進んでいるかというプロセスの進捗を見ていく方が実態に近い判断ができます。

あわせて、受注そのもの以外のシグナルも評価に組み込んでおきたいところです。たとえば、決裁者クラスとのアポイントが継続的に取れているか、同じ企業から複数部署への横展開の話が出ているか、業界内での紹介や引き合いが増えているか。こうした兆しは、すぐに数字には表れなくても、エンタープライズ開拓が着実に前進しているかどうかを判断する材料になります。

社内で報告する際も、営業やマーケティングのメンバーが数字だけで詰められてしまうと、施策自体を続けづらくなってしまいます。エンタープライズ開拓は成果が出るまでの時間軸が長いという前提を経営層とも共有したうえで、評価のタイミングと基準をあらかじめすり合わせておくことが、施策を継続していくうえでの支えになると思います。

まとめ:エンタープライズ開拓を成功させるには

ターゲットを絞ることは、決して悪い選択ではありません。ただ、絞り込むという判断には、リードタイム・施策数・ライトパーソンへの到達可能性という三つの負担がついてくることは、事前に理解しておきたいところです。そして踏み出すときは、リスト設計から接点づくり、提案の出し分け、評価指標の見直しまで、いくつもの要素を組み合わせて進めていく必要があります。

リードファクトリーでも、クライアントの事業フェーズや体力を踏まえたうえで、ターゲットの広さと施策の組み立てを一緒に設計するご支援をしています。ターゲティングの方向性で迷われている方は、一度現状を整理するところから、お気軽にご相談いただければと思います。

資料請求

サービス資料をダウンロードいただけます。
BtoBマーケティング支援や営業DXのサービスをご検討の方はぜひご一読ください。

資料ダウンロード

お問い合わせ

お客様のBtoBマーケティングや営業活動における課題解決をサポートいたします。まずは、お気軽にご相談ください。

無料で相談する

メルマガ登録

BtoBマーケティング・インサイドセールス・営業DXに役立つ情報をお届けします。